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スコットランドが英国から独立

するための住民投票の

経緯と手順について

 

青山貞一 Teiichi Aoyama
池田こみち Komichi Ikeda

April 30, 2014
Alternative Media E-wave Tokyo

 スコットランドの英国からの独立に向けた住民投票について、2012年7月、青山貞一、池田こみちがスコットランドのエジンバラにあるスコットランド議会で、2014年秋に住民投票が実施されることを確認している。

 以下は2012年7月の現地調査後に執筆し公表している論考である。

  ◆青山貞一・池田こみち: E再独立に燃える国民と議会


スコットランドの地理的位置(赤色部分)


スコットランドの首都、エジンバラ。丘の上に立つ要塞がエジンバラ城
 出典:Wikipedia


現在のスコットランド議会議員
よく見ると女性議員がたくさんいる 2012年7月
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8


復権なったスコットランド議会にて 2012年7月
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8


復権なったスコットランド議会にて 2012年7月
撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10

スコットランドといえばやはりこのキルトとバグパイプエジンバラ城にて 
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 
昔のスコットランドの首都、パースにて
 撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10


スコットランドと言えば、悲劇の女王として知られるメアリースチュアート女王。身長が180cmあったというメアリー・スチュアートのレプリカの前の池田こみち。
本物は息子のジェームス6世によりロンドンのウエストミンスター寺院にエリザベス一世と並んで葬られている。
スコットランド国立博物館にて撮影 
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8


 このたび、財)自治体国際化協会ロンドン事務所 マンスリートピック(2013 年 3月)からスコットランドが英国から独立するための住民投票の経緯と手順の詳細が分かったので以下にその全容を紹介したい。

 なお、住民投票の期日は、2014 年 9 月 18 日 、16歳以上のスコットランド住民による投票が予定されている。その際の設問は、ただひとつ、すなわち独立に対して Yes か No かだけとなる。



 【スコットランドで独立の賛否問う住民投票の実施へ
  準備着々 〜投票日は
2014 年 9 月18日

  英・スコットランド政府は住民投票が「明確な法的根拠を持つ」ことで合意


  出典:(財)自治体国際化協会ロンドン事務所
  マンスリートピック(2013 年 3月)

 デービッド・キャメロン英国首相とスコットランドのアクレックス・サモンド首席大臣1)は 2012 年 10 月15 日、スコットランドの独立の是非を問う住民投票の実施に向けて両政府が協力することで合意する合意書に署名した。

 「エジンバラ合意(Edinburgh Agreement)」と呼ばれるこの合意書は、スコットランドの首都エジンバラの中心部に位置するスコットランド政府庁舎である「セント・アンドリューズ・ハウス」で行われた署名式で署名され、これにより、スコットランド独立を巡る住民投票の実施に向けた道筋がつけられた。

 「エジンバラ合意」において、英国とスコットランドの両政府は、「1998 年スコットランド法(Scotland Act 1998)」の第 30章2)の規定に従って、スコットランド独立の賛否を問う住民投票の実施に必要な立法措置を行う権限を英国国会からスコットランド議会へ移譲することを目的とした「枢密院令(Order in Council)」3)をスコットランド議会と英国国会に提出することに合意した。これによって、スコットランド独立を巡る住民投票を、その実施方法の決定を含めてスコットランド政府が行うことが確定的になった。

 両政府はさらに、住民投票が「明確な法的根拠を持つ」ことで合意した。このことは、両政府に対し、住民投票の結果を最大限に尊重することが求められることを意味する。両政府はまた、住民投票の実施日は 2014 年末までとし、投票用紙に掲げる質問の数は一つのみとすることで合意した。スコットランド政府は、この合意の締結を伝えるプレスリリースで、「スコットランド政府と英国政府は、公平性、透明性、適切性といった点において最高の水準を満たす住民投票をスコットランド政府が実施することを可能にするべく協力する」と述べた。

 上で述べた「枢密院令」は、2012 年 12 月〜2013 年 1 月にスコットランド議会と英国国会で承認された。さらに 2013 年 2 月、枢密院の承認を受けた。これを受け、スコットランド政府は 2013 年 3月、住民投票の実施を目的とした 2つの法案をスコットランド議会に提出した。

 この2 つの法案の名前は、「スコットランド独立住民投票法案(Scottish Independence Referendum Bill)」及び「スコットランド独立住民投票(選挙権)法案(Scottish Independence Referendum (Franchise) Bill)」である。これら 2 法案は、住民投票の投票日、選挙権、投票用紙に掲げる質問の文言、スコットランド独立賛成または反対派によるキャンペーン運動の費用の上限額、キャンペーン運動に関するその他のルールなどについて規定している。

 選挙権年齢は 16 歳に引き下げ、質問は一つのみに限定〜議会で審議中のスコットランド政府案

 スコットランドの独立の是非を問う住民投票の実施についてこれまでの経緯を振り返ると、まず2012 年 1 月、スコットランド政府は、「あなたのスコットランド、あなたの住民投票(Your Scotland, Your Referendum)」と題する協議文書を発表し、住民投票に関して専門家や一般の人々などから意見を募った。

 続いてスコットランド政府は 2012 年 10 月 22 日、この意見集約作業で寄せられた回答を分析した報告書を発表した。回答の分析作業は、政府から独立の立場にある民間のコンサルタント会社が手掛けた。この意見集約作業に対しては、個人や団体から何千件もの回答が寄せられ、回答の件数は、スコットランド政府がこれまでに実施した全ての意見集約作業のうちで 3 番目に多かった。

 報告書によると、意見集約作業では、

◎住民投票で投票用紙に掲げる質問の文言、
◎住民投票の実施時期、
◎16、17 歳の若者への投票権の付与、
◎スコットランド独立の賛成派または反対派によるキャンペーン運動の費用の上限額――

についてスコットランド政府が協議文書で示した案に対し、幅広い支持が得られていることが分かった。

 また、回答者の大半は、住民投票の投票用紙に掲げる質問の数を一つのみに限るとの案に賛成であった。一方、投票日を土曜日にするとの案については、賛成意見と反対意見の割合がほぼ同程度であった。

 16、17 歳の若者に投票権を付与するとの案は、前述の 2 法案のうち、「スコットランド独立住民投票(選挙権)法案」に盛り込まれている。英国の選挙権年齢は 18 歳以上であるが、同法案は、この住民投票に限り、これを 16 歳に引き下げることを提案している。「スコットランド独立住民投票法案」と同様、同法案も、現在スコットランド議会で審議中である。

 続いて 2013 年 2月、スコットランド政府は、「スコットランドの未来: 住民投票から独立、そして成文憲法の制定へ(Scotland’s Future: from the referendum to independence and a written constitution)」と題する文書を発表した。これは、住民投票でスコットランドの独立が可決された場合、実際にどのような手順を経て独立を実現するかについて、スコットランド政府の計画を明らかにした文書である。

 同文書では、下記の点に関するスコットランド政府の計画が掲げられている。

・住民投票でスコットランドの独立が可決された場合に 2014〜2016 年に実行される秩序ある協調的な独立へのプロセス。

・独立国スコットランドの実現に向けた法制面及び行政機構に関する枠組みの整備。スコットランドが正式に独立を果たすのは 2016 年 3 月で、その直後にスコットランド議会選挙の選挙戦が開始する計画。

・スコットランド国民党以外の政党及びスコットランド住民の代表者が参加して行われるスコットランドの独立に関する取り決め4)の内容の決定作業。

・スコットランド独自の成文憲法の制定。憲法の起草は、スコットランドの政府及び自治体と市民社会の幅広い利益を代表する人々が参加する「憲法制定会議(constitutional convention)」

<参照・引用文献>
1)スコットランドでは、2007 年以降現在まで、スコットランドの英国からの離脱と独立を訴える「スコットランド国民党(Scottish National Party、SNP)」が政権を握っており、サモンド首席大臣は同党の党首である。
2)「1998 年スコットランド法」は、スコットランド議会とスコットランド政府の設置を規定した英国法である。同法の第 30章では、「枢密院令」の制定によって、英国国会が権限を留保する分野において特定の事項に限り立法措置を行う
権限を英国国会からスコットランド議会へ移管することができると規定されている。
3)「枢密院令」とは、議会で制定される法律(Act of Parliament)に含まれる授権規定によって制定される第二立法(secondary legislation)の一つである。「枢密院」とは、君主の顧問官の集合体として始まった古い歴史を持つ政府の機関である。枢密院のメンバーの大半は、全ての閣僚を含む古参議員または元議員であり、君主に対する君主の特権(royal prerogative)の行使に関する助言などを役割とする。枢密院は、定例会議で「枢密院令」を承認す
4)スコットランドの独立が住民投票で可決された場合、英国政府とスコットランド政府の間で決定されるスコットランド独立に関する取り決めを意味し、英国とスコットランド間の税収の配分方法等がその内容に含まれることになる。



別紙: スコットランド独立の是非を問う住民投票 ― 最近の経緯と今後の予定

*最近の経緯

2012 年 10 月
・デービッド・キャメロン英国首相とアレックス・サモンド・スコットランド首席大臣が「エジンバラ合意」に署名。

・「1998 年スコットランド法」の第 30 章の規定に従って、スコットランド独立の賛否を問う住民投票の実施に必要な立法措置を行う権限を英国国会からスコットランド議会へ移譲することを目的とした「枢密院令」がスコットランド議会と英国国会に提出される。

・協議文書「あなたのスコットランド、あなたの住民投票」で実施した意見集約作業で寄せられた回答を分析した報告書をスコットランド政府が発表。

2012 年秋〜2013 年 1 月
・「選挙委員会(Electoral Commission)」が、スコットランドの独立の是非を問う住民投票のための実務的な準備を開始。スコットランド政府が住民投票で使うことを提案した「スコットランドが独立国であるべきことに同意しますか?(Do you agree that Scotland should be an independent country?)」との質問について、公平性と明快さの点から審査を行った。審査の結果、同委は、2013年1月、質問の文言を、「スコットランドは独立国であるべきですか? はい/いいえ(Should Scotland be an independent country? Yes/No)」に変更することを提案し、スコットランド政府はこれを受け入れた。

2013 年 2 月
・枢密院が前述の「枢密院令」を承認。

2013 年 3 月
・「スコットランド独立住民投票(選挙権)法案」がスコットランド議会に上程される。
・「スコットランド独立住民投票法案」がスコットランド議会に上程される。同法案は、住民投票の期日を 2014 年 9 月 18 日に設定することを提案。


*今後の予定
2013 年 10 月
・スコットランド議会が「スコットランド独立住民投票法案」の第 3 審議(最終審議)を行い、同法案の採決が行われる。

2013 年 11 月
・「スコットランド独立住民投票法案」が女王の裁可(Royal Assent)を受ける。
・スコットランド政府が、スコットランドの独立に向けた詳細な計画を掲げた白書を発表する。スコットランド政府は、この白書について、「独立への案内書(prospectus for independence)」と呼べる内容になると述べている。また、スコットランド国民党以外のスコットランドの政党も、スコットランドの今後に関する各党の展望を掲げた文書を発表する。

2014 年 9 月 18 日
・スコットランド独立の是非を問う住民投票が実施される。