頂上から2〜3kmの地震計は 明確に地震回数を記録していた! 青山貞一 Teiichi Aoyama October 4, 2014 Alternative Media E-wave Tokyo |
2014年10月4日現在、心肺停止者+死亡確認者は、51人に達した。これはこれまでの戦後最大の火山噴火犠牲者を出した長崎県雲仙普賢岳の43人を大幅に超すものである。 すでに、御嶽山山頂近くと御嶽滝越の2箇所に設置していた長野県の地震計が故障していたのに、そのまま放置していた事実を朝日新聞が伝えている。 下はその記事にあった御嶽山の各種観測点の配置図である。下図には、御嶽山山頂から三笠山がある南東方面に2〜3km離れたところに気象庁の地震計が2カ所あることが分かる。 御嶽山頂の地震計、昨夏から故障 噴火時、観測できず(朝日新聞) http://digital.asahi.com/articles/ASG9Y76JCG9YULBJ01X.html 熊井洋美 2014年9月30日15時02分 以下の毎日新聞記事もある。 ◆御嶽山噴火:山頂周辺、地震計故障 5基中3基データなく 毎日新聞 2014年09月30日 20時25分(最終更新 09月30日 20時34分) http://mainichi.jp/select/news/20141001k0000m040058000c.html 気象庁は「データがあっても噴火警戒レベルを引き上げられた可能性はないが、火山活動の推移を追う上で、特に山頂のデータがない影響はある」と影響を認める一方で、「データがあっても噴火警戒レベルを引き上げられた可能性はないが」とデータ解析をすることなく述べている。だが、当然のこととして、頂上の噴火口近くの地震計があれば、より事前予知に貴重なデータが得られることは言語を待たないだろう。 出典:日刊スポーツ ところで、ふたつある地震計のどちらかは不明だが、平成26年 No.40 週間火山概況(平成26年9月26日〜10月2日)に1日単位の地震回数の以下のグラフが見つかった。 このグラフは、 御嶽山山頂から2〜3kmに設置している気象庁の地震計による地震回数を示すグラフである。グラフは、地震そのものの規模ではなく、一定規模以上の地震が起きた回数が示されている。 平成26年 No.40 週間火山概況(平成26年9月26日〜10月2日)における 御嶽山の1日単位の地震回数 出典:気象庁 何と、山頂から2〜3km南に設置している地震計の地震回数から今回(9月27日)の噴火の予兆は十分見て取れる。すなわち、9月5日過ぎから10回、50回、25回....と9月26日まで地震の回数が記録されていたからである。 となると、もし故障で置き去りにされていた山頂近くの長野県の地震計が健在であったなら、間違いなくもっと多くの地震回数が確認、記録されていたと思われる。 下のグラフは、同じく気象庁の平成26年 No.40 週間火山概況(平成26年9月26日〜10月2日)にあった草津白根山の1日単位の地震回数である。このグラフでは2014年の3月〜10月上旬までが記録されているが、9月の上旬から下旬は、1日当たり1から10と、御嶽山に比べると著しく地震の回数は少ないことが分かる。 平成26年 No.40 週間火山概況(平成26年9月26日〜10月2日)における 草津白根山の1日単位の地震回数 出典:気象庁 すなわち、御嶽山は気象庁の山頂から離れた地点で計測した地震回数でも、この時期かなりの回数の地震があったことが分かる。もちろん、長野県の山頂付近の2つの地震計が健在であったなら、もっと多くの地震回数を記録していたことは想像に難くないだろう。 以上は、この分野素人の青山がデータから評価しても、気象庁、予知連絡会、長野県などは、9月上旬において最低限警戒レベルを2、できれば10日前後から入山規制の3とすべきことが分かる。 仮説として、もし長野県の頂上に近いところに設置している地震計が健在だったときのデータと、同時期の気象庁が頂上から2〜3kmの位置に設置している地震計のデータがあれば、両者の相関係数をとることで、今回の気象庁のデータをそれなりに補正することが可能となる。ひょっとすると、頂上付近の9月上旬から9月26日までの地震回数が気象庁の値の数倍高い可能性があるかも知れない。 もし、それが検証されれば、長野県の地震計の故障放置は、致命的な過失となることは間違いないだろう。 以下は長野県軽井沢町による浅間山の噴火警報周知の例である。 出典:軽井沢町 |