エントランスへはここをクリック   

ウクライナ議会選挙が

世界に突きつける問い

この先どう生きるべきか


ロシアの声

October 25 ,2014
Alternative Media E-wave Tokyo


 ウクライナではここ数日の間に、この国や欧州だけでなく世界全体の運命にラディカルな影響を及ぼしかねない重要なことが行われる。だが、世界はどうやらそれを覚悟してもおらず、意識もしていないようだ。

 明日の日曜日、2014年10月26日にウクライナでは議会選挙が実施される。

 欧州、米国もこれをウクライナが従来通り自由と民主主義へと進んでいる証拠と考えている。ロシアにはこうした楽観的態度は少ない。

 ロシアは逆にこの議会選挙は、急進党の党首、オレグ・リャシコ氏のようなウクライナのナショナリストの立場を強化するのではないかと危険視している。

 この人物をめぐる問題は、リャシコ氏がロシア人と(とはいえ、ウクライナ国民のかなりの部分を占めるのはロシア人なのだが)ロシアを激しく憎んでいるということだけではない。

 リャシコ氏は現ウクライナ大統領であるピョートル・ポロシェンコ氏をマイダン革命の理想を裏切った臆病者だとして憎悪している点にある。

 全ウクライナ「自由」同盟出身の議員、イリーナ・ファリオン氏にあたってはヒトラーに感激し、ウクライナ人で苗字が「コ」で終わる人間は全員銃殺刑に処すべしと豪語している。むろんポロシェン「コ」大統領もこの例に当てはまる。

 だがさらにもっとひどいのは、ポロシェンコ氏を全く評価しないのがナショナリストの政治家らに留まらず、大統領を総司令官として敬うべき立場にあるはずのウクライナ人軍人らも同じだということだろう。

 軍人らも敬おうとしないのだ。これを証拠付けているのが、ルガンスク、ドネツク両州でポロシェンコ大統領の署名した休戦合意を破って、未だに銃撃戦が繰り返されている事実である。

 ウクライナ人軍人は休戦期間を戦力回復に利用し、今や南部東部の抵抗の砦、つまりドネツクに向かってミサイル、重砲、戦車を用いた攻撃を行う準備万端なのだ。

 ジャーナリストらが録音に成功したウクライナ将校らの電話での会話が示すように、軍部は義勇軍に対する戦闘行動を再び開始する構えであり、これの覚悟はポロシェンコ大統領が政治かとして用心深く行動し、そうした命令を下さずとも変わらない。

 ここ数週間、軍部がドネツク周辺にすさまじい戦力を結集させたこと、またこの休戦期間に数千人の避難民が自宅に戻っていることを考えると、ドネツク攻撃は一般市民に多大な犠牲者を出し、住居、インフラが大規模に破壊される恐れがある。

 そして今、急激な寒さに襲われていることを考慮すると、これはあまりにもカタストロフィー的な結果を招くだろう。

 ドネツクの義勇軍はウクライナ軍がついこないだの手痛い負けに猛烈な巻き返しをかけてくることは知っており、これを断固として撃退する構えだ。これはつまり、ウクライナ軍とそれを支持する国家親衛隊を待つのは容易い勝利ではなく、執拗な戦いと多大な犠牲だということだ。

 もしかすると、また負け戦に終わる可能性もある。ウクライナ軍に問題が持ち上がれば、その度にこれを西側はまたロシアのせいだと責め、またもや制裁をどっさり仕掛けてくることは疑う余地もない。米国は得々として、日本をはじめとするアジア諸国も対露制裁を支持するよう説得したと宣言している。

 だが、欧米市民でも脳みそを持つ、つまり真っ当な思考ができる人たちは制裁発動が思った結果をもたらさなかったことを理解している。制裁はロシア社会を分断させず、逆にこれを結束させたのだ。そしてロシアが講じた対抗措置は欧州経済に大打撃となった。

 それに脳みそのほかに良心を持つ人々は、ウクライナ情勢を理由にロシアを罰したのはお門違いだと認めているのだ。なぜなら繰り返されるマイダンも、合法的に選ばれたヤヌコーヴィチ政権の転覆も、紛いも無いナチス主義者らの活発化も、これによって引き起こされたウクライナ社会の分裂も、内戦も、まったくロシアが仕掛けたことではないからだ。

 ロシアはウクライナ危機の責任は自分にはないとしており、西側の制裁については、国際舞台で本物のライバルとして台頭するロシアを許すまじと必死の米国が、その政策実現のツールとして利用していると考えている。

 だがロシアは自らの目標を捨てるつもりはない。その目標とは米国とは異なり、世界制覇の達成などというものでは全く無く、自国の発展のためにごく普通の条件を確保することであり、そのなかにはユーラシア圏の平和と安定も含まれるが、もちろん自国の境界線、ウクライナ領に接する国境付近の平和と安定も入るのである。
 
 ロシアが西側の圧力に屈しないということは、ソチで開催されたヴァルダイ会議で明言された。ロシアは新たな挑戦や試練を受けて立つ。試練は非常に近い将来、ウクライナ状況の進展が孕むものも同様だ。問題は、西側がこの試練を受けて立つ覚悟があるかということだ。

国際, ウクライナ, アンドレイ イワノフ, ウクライナ情勢, 政治