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ひたすら破たんに向かう

「自作自演国家」日本

〜田中宇論考を読んで〜

青山貞一 Teiichi Aoyama

November 6 ,2014
Alternative Media E-wave Tokyo


 以下は田中宇さんの米国がやめた「量的緩和策」(オバマの最後っ屁)を、日本が従来の「量的緩和策」をさらに拡大する「量的緩和策」を行うと発表し実行したことに関する論考です。

 この論考は有料記事、「陰謀論者になったグリーンスパン」の続きとなっています。
 http://tanakanews.com/141101greenspan.php (田中宇プラス)

 速報したように、米国が「量的緩和策」をやめた途端、米連邦議会は上下両院とも共和党が支配することとなり、永年、共和党がオバマ民主党政権を批判し続けてきた財政破たん問題は、2016年の大統領選挙にむけ、まさに実質的に「まな板の鯉」状態になるはずです。今までのように、先送りや「量的緩和策」は通用しなくなるのです。

 一方、いわば「量的緩和策」について最後の切り札を切ってしまった日本は、今後、財務省が発行する国債のすべてを(財務省出身の黒田が支配する)日銀が買い取る自家消費(自画自賛、自作自演)の国になり、とどめなく持続可能性の乏しい国になることは間違いないでしょう。

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★田中 宇: 米国と心中したい日本のQE拡大
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、 (以下は公開論考、ただし英文出典ははずしてあります)

 この記事は「陰謀論者になったグリーンスパン」の続きです。

 10月31日、ちょうどハロウィンの日に、日本銀行は、円を増刷して日本国債を買い支えるQE(量的緩和策)の拡大を発表した。

 日銀は、これまでのQEで年に50兆円の日本国債を買い支えてきたのを、80兆円に拡大する。これは、日本政府が年間に新規発行する国債の総額とほぼ同じだ。日本は今後、財務省が発行する国債のすべてを(財務省出身の黒田が支配する)日銀が買い取る自家消費(自画自賛、自作自演)の国になる。

 これまで国債の大口購入者だった公的年金基金(年金積立金管理運用法人)は、国債購入を日銀にゆずり、その分の資金で国内と海外の株式、海外の債券を買い増しする。この買い増しへの期待から、日本と米国などの株価が急騰した。世界各国の年金基金のほとんどは最近、金融市場のバブル崩壊を懸念してリスク回避に動いているなか、日本の公的年金だけは逆方向で、株や債券を買い増してリスクを拡大している。


 日銀がQE拡大を発表する2日前、米連銀がQEをやめた。連銀はQEで、7月に350億ドル、8月に250億ドル、9月に150億ドルを増刷して米国債などを買い支えた後、10月に増刷をゼロにした。

 一方、日銀はQE拡大で今後、年に30兆円を増刷するが、この額は1カ月あたりのドル建てに換算すると200億ドル強だ。連銀のQEの最後の方の規模を、そのまま日銀が引き継ぐ感じになる。連銀のQEがドル増刷で、日銀のQEは円増刷という為替の問題はあるが、為替相場も事実上日米などの当局が管理しており、当局にとって為替は問題でない。米国のQEを日本が引き継いだといえる。

 、日銀のQE拡大について、米欧では批判的に描く分析が目立っている。分析記事集サイトのゼロヘッジは「日本のQEは、末期の病人に打たれる(沈痛効果だけで治療にならない)モルヒネだ」と題する記事で「ハロウィンの日に日本が自殺した」と書いたり、QEをアベノミクスならぬ「バンザイノミクス」と呼ぶ記事を出している。

「バンザイ」は、戦時中に米軍艦に自爆の体当たり攻撃を仕掛けた特攻隊員が自爆死の間際に叫ぶ言葉として米国で知られている。この記事によると、かつて日銀のQEを賞賛していたゴールドマンサックスは、今やQEやアベノミクス全体を「失敗がほぼ確実な政策だ」と批判している

 ゴールドマンの日本に対する評価の転換について紹介したゼロヘッジの別の記事は、日本が1970−80年代に世界から絶賛されたソニーのトリニトロンカラーテレビやウォークマンの名前を挙げ、それらの技術への絶賛はもはや過去のものであり、最近の日本は、日本より安くて質の高いものを作る韓国にかなわない状況だと書いている。


 日本を嫌う韓国では、アベノミクスが失敗しそうなことを喜び、韓国のシンクタンクは、アベノミクスの失敗で日本経済がずっと1%の成長を続ける半面、韓国経済が好調でずっと4・5%以上の成長を続けた場合、購買力平価で測った一人あたりGDPで、2020年に韓国が日本を抜くと豪語している。


 日銀の黒田総裁が10月末にQEの拡大を発表する2週間前、日銀の早川英男元理事は「(あまり意味がない)インフレ率2%という目標を深追いせず、市場が反乱を起こす前に、黒田総裁は勝利宣言をしてQEをやめて勝ち逃げをした方が良い」という趣旨の発言をしている。

 しかし黒田がやったことは、勝ち逃げと全く逆方向の、米連銀が危険回避のためにやめたQEを日本が引き継ぐという、他人のリスクを追加で背負い込む行為だった。