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◆加藤登紀子 鴨川に未来社会モデルをつくりたい ●加藤登紀子さんとの出会い 2010年9月18日午前、NHKBSハイビジョンのプレミアム8で「加藤登紀子さんの半生」ついて再放映をしていた。私も加藤登紀子さんや亡くなられた藤本敏夫さんと同じ時代を生きた人間として、加藤さんがはじめて語る藤本さんについてお話に聞き入ってしまった。 私が加藤登紀子さんにお会いしたのは、2003年4月である。私が技術顧問をしているゴミ問題、環境問題約100名の弁護士の集まり、通称、ゴミ弁連の総会が千葉県の木更津市であった。 私はその総会で基調講演を行った。内容はその年2月下旬から3月にかけ同僚の池田こみちさんや友人の広田次男弁護士の3人で敢行したカナダのノバスコシア州で行われている世界でも希有な「社会実験」についてである。 なにしろノバスコシア州では、ゴミは分別すればもともと資源であるとして、ゴミを出さず、燃やさず、埋め立てないことを目標としたまちづくりをしている。3Rや5Rはあっても、燃やさず、埋め立てずという先進国のまちは世界ひろしといえ、ここ以外にはない。実際、2008春には最後に残っていた最後のひとつの焼却炉も廃炉となった。 ノバスコシア州やその首都ハリファックス広域自治体では、市民、NPO、企業参加で「ゼロウエイスト政策」を徹底推進しており、ゴミはできる限り出さないことをベースに、出たゴミも徹底分別すれば大部分は資源という考えのもとに、ゴミを燃やさず、埋め立てずに循環型社会づくりを進めている。 そして、ノバスコシア流の循環型社会づくりの背後には、スチュワードシップといって、「人がいやがることを率先して行う」そして「隗より始めよ」というミッションがある。 実はその総会に千葉県鴨川で藤本敏夫さんと有機農業のまちづくりを進めていた加藤登紀子さんが参加しており、私の講演にえらく感激され、ぜひ一度鴨川に来てお話ししたいということになった。おそらく私が話したカナダの事例がよほど気になったのだろう。 そこで同僚の池田こみちさんと鴨川を訪ねた。加藤さんは、地元鴨川で進めている循環型社会づくりに協力してほしいこと、そのためにご自身が中心となった行っている「未来たち学校」でカナダ・ノバスコシア州における社会実験の話をして欲しいとおっしゃられた。 歌川広重・六十余州名所図会-安房小湊内浦 参考 青山貞一・池田こみち:カナダ・ノバスコシア州の廃棄物資源管理 青山貞一:脱焼却、脱埋立への挑戦〜ノバスコシア州の循環型社会実験〜前編 青山貞一:脱焼却、脱埋立への挑戦〜ノバスコシア州の循環型社会実験〜後編 以下は2003年当時に書いた論考の再掲です。 .... 鴨川は東京駅から特急わかしおで約2時間、外房の海と里山に囲まれたなかなかすばらしいまちです。しかし、この一見のんびりとした町にもさまざまな環境問題、とりわけゴミ問題、産廃問題が押し寄せています。 歌手の加藤登紀子さんは、昔からこの地で自然王国づくりを若者と一緒に進めています。まさに持続可能な社会づくりを模索しています。 加藤登紀子さんと 鴨川・自然王国にて その加藤登紀子さんと私の出会いは、この2003年4月下旬、木更津で開催されたゴミ弁連木更津総会です。 カナダ・ノバスコシア州で行われている市民参加による脱焼却、脱埋立のまちづくりを加藤さんが聞かれ、一度「未来たち学校」で話をして欲しいと言われました。 その後、6月になって、加藤さんと故藤本敏夫さんがつくられた「自然王国」に一泊させて頂き、循環と共生のまちづくりの実験場を体感させていただくことになりました。 同時に鴨川市のゴミ行政の現場をつぶさに視察しました。市長らにもお会いし、市役所の会議室で行政、議会、NPOの皆さんに、私の政策提言を行いました。
今日(2003年11月16日)、加藤さんらの「未来たち学校」で、鴨川市民を相手に、日本と世界のゴミの現状、実態を報告し、その上で地域のゴミ問題を解決するための政策提言を行いました。 通常この種の講演会には若いひと、学生がほとんどいません。しかし、県立高校講堂(文化ホール)に集まった約400名に及ぶひとたちのざっと1/3が若いひとでした。 会場は千葉県鴨川市にある県立長狭高校文化ホールです。安房鴨川駅からも近くです。 加藤さんが生徒会長を務める「未来たち学校」は、すべて本当の学校形式で進められます。第一限、第二限、第三限と言うように。 第一限の前、そして全体がはじまる前に地元の音楽演奏家、打楽器ファミリー(6人家族)による本当にすばらしい演奏を3曲を演奏しました。その後、加藤さんが沖縄の曲を1曲歌われました。 会場では東京にある加藤さんの会社、トキコプランニングの音響スタッフのプロがあらかじめ持ち込んだアンプ、スピーカー、ミキサー、マイク等が所狭しとセッティングされていました。加藤さんの総合プロジュースのもと、各種リハーサルが行われました。 ファミリーバンド、バンブー 司会は「用務員」役の未来たち学校スタッフ その後、第一限目として後援してくれている自治体の鴨川市やお隣の町の助役が挨拶し、第二限がはじまりました。 加藤さんによる江戸時代のゴミ問題についてのお話の後、青山が1時間講演、休憩後、第三限の質疑応答になりました。 まず江戸自体のゴミ問題について話されました。江戸時代は、今の言葉で言えば「定常状態の社会」、「持続可能な社会」であり、循環と共生が江戸社会を支えていました。 そして20世紀、私たちのまわりは大量生産、大量消費、大量廃棄、さらに大量焼却が蔓延しはじめました。その日本の実態、すなわちゴミをやたら焼却することによる健康・環境リスク、また財政リスクなどの増大についてデータを示しじっくり話しました。そして最後に、では私たちは、今後一体どうすればよいのか、について政策提言を行いました。 政策提言のもととなったカナダのノバスコシアの話を中心に、排出抑制、脱焼却、脱埋め立てのまちづくりを提案しました。 池田さんからは、現在稼働中の焼却炉が命を全うしたら、焼却(もちろん溶融も)なしの鴨川とするようにとの具体的提言もなされました。この地ならできると! 三限では、たくさんでた質問に加藤さんが司会役となり、青山、池田がひとつひとつ答えました。会場からは多くの提言もでました。 鴨川の地でどう持続可能な循環と共生のまちづくりを進めるか、市民、NPO、行政、事業者それぞれの役割分担と協業をどうするか、国、県にさきがけ国庫補助に依存せずにそれらを実行するかについてもたくさんの意見がでました。 打楽器ファミリーの代表、つるさんも私の話を最後まで聞いてくれ、良く分かったし、自分たちがすべきことも理解できたと喜んでくれました。 第三限終了後、加藤さんが作詞した「未来たち学校」のテーマソングを全員で歌いました。本格的な音響設備と加藤さんの生の歌で会場は大変盛り上がりました! 私も今年は春から、「音楽と講演」をいろいろ試行してきました。しかし、今回ほど、いきいき、のびのびした講演会はありません。なぜ、「未来たち学校」に若い人が多いのかも良く分かりました。 いつも感ずることですが、音楽があると、これほど気持ちが和み、話がはずみます。今後、ぜひ加藤さんにも参加して、おもいきり歌ってもらいたいと伝えました。 空き缶で造ったカンリンバを披露する冨山さん 空き缶で造ったカンリンバを披露する冨山さん
以下は、「未来たち学校」第三回講演会の案内ページ
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