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真夏の上信越を行くC
野反湖と八間山

青山貞一・池田こみち

23 August 2009 無断転載禁
初出:独立系メディア「今日のコラム」


 次は群馬県、長野県、新潟県、まさに上信越、3つの県境に位置する野反湖だ。野反湖は上信越高原国立公園の中心に位置している。

 野反湖にはいままで5−6回でかけているが、これほど好天に恵まれた日はない。いつも曇りか霧、強風ばかり、快晴でほとんど無風は今回がはじめてだ。

 季節柄、ニッコウキスゲやヤナギランなどの高山植物は咲いていなかったが、何しろ天気がすばらしく、この世のものとは思えないほど湖の色が美しい。一同感激!


真夏の野反湖
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8

 下は野反湖東河畔に広がる富士見峠から八間山。湖の青さ、山々の緑が本当に美しい。山の右側にある灰色の部分は、高山植物コマクサを生育している傾斜地。

 
真夏の野反湖東部湖畔に広がる富士見峠から八間山
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8

 野反湖北部一帯は、佐武流山周辺は、ブナ林などの原生的な天然林による森林生態系の保護地域となっている。これに象徴されるように、野反湖一帯は、自然景観、自然生態系的な見地から見ても希有な地域である。





 今回も湖畔まで降りる。途中、高山植物に出会うが、ニッコウキスゲ(ここではノゾリキスゲ)はすでに終わっていた。残念無念。

 湖畔に降りるとヤナギラン、ツリガネニンジン、ワレモコウ、マツムシソウ、ハクサン・フウロなどがひっそりと咲いている!


ヤナギラン
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8


ツリガネニンジン
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8


マツムシソウ
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8


ハクサンフウロ
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8

 野反湖の湖畔は、いつきても月世界のような地形だ。天気がよいのでいつもと色が違う。


真夏の野反湖の湖畔
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8

 一端、駐車場に戻った後、今回ははじめて湖畔東の富士見峠に広がる八間山を少しだけ登る。下の写真は登る途中で撮影したものだ。ここからは榛名山系がよく見える。


富士見峠から見た榛名山系
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8

 ここを登ってゆくと、コマクサの育成地がある。下はそこで撮影したコマクサだ。


八間山の傾斜地にひそり咲くコマクサ
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8


八間山の傾斜地にひそり咲くコマクサ
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8

コマクサ(駒草、学名Dicentra peregrina)

 ケマンソウ科(ケシ科の一部に含めることもある)の多年草。高山植物の一つ。日本では北海道から中部地方の高山帯の砂礫帯に分布している。

 美しい花と常に砂礫が動き、他の植物が生育できないような厳しい環境に生育する事から「高山植物の女王」と呼ばれている。コマクサの名前の由来はその花の形が馬 (駒) の顔に似ていることが由来となっている。

 高さ5cmほど。葉は根生葉で細かく裂け、白く粉を帯びる。花期は7〜8月。花茎は10〜15cmで淡紅色の花を咲かせる。

 花弁は4個で外側と内側に 2個ずつつく。外側の花弁は下部が大きくふくらんで、先が反り返り、内側の花弁はやや小さく、中央がくびれ、上端は合着している。萼片は2個で早く落ちる。

 他の植物が生育できないような砂礫地に生えるため、地上部からは想像できないような50〜100cmほどの長い根を張る。双子葉類の植物だが子葉の発達が悪く、子葉は一個しか出ない。

 昔は、花の美しさよりも薬草としての価値が高く、古くから腹痛の妙薬として知られていた。御岳では登山記念として、コマクサを「オコマグサ」という名で、一株一銭で登山者に売られていたようで、そこからコマクサは「一銭草」とも云われている。

 日本では北海道大雪山にのみ生育する天然記念物のウスバキチョウの幼虫は、コマクサを食草としている。長野県の信州大学の紋章にもなっている。長野県の信州大学教育学部付属松本小学校の校章にもなっている。

出典:Wikipedia


 コマクサは、現地にあった高山植物の解説。ちょうど今が先頃である!



 野反湖は別荘から約1時間かかるが、いつ来てもその都度新たな発見があって楽しい。ここのコマクサは隣の草津 白根山にも移植されている。

 八間山の傾斜地から駐車場に降りる途中、高山蝶の一種、ベニヒカゲを発見した!


高山蝶、ベニヒカゲ
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8

 ベニヒカゲは、年1回夏に発生するジャノメチョウの仲間。本州では標高1,500m以上の亜高山帯で見られ幼虫は、イネ科植物、オニノガリヤスなど。亜高山帯に見られるスゲ属を食す。ちなみに野反湖は1500m。ヒカゲという名前が付いているが、陽の当たる場所にも飛来する。


真夏の野反湖。八間山の傾斜地から
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8

 下は八間山の麓、富士見峠から見た野反湖駐車場。


八間山の麓、富士見峠から見た野反湖駐車場
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8

 下は駐車場のそばに咲いていたマツムシソウだ。何とも可憐だ!


マツムシソウ
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8

マツムシソウ Scabiosa japonica (マツムシソウ科 マツムシソウ属)

 マツムシソウは北海道から九州に広く分布する多年草。ブナ帯などの山地草原に生育する。草丈は高さ50〜90cmで美しい淡青紫色の花を咲かせ、草原の初秋をいろどる。

 花は長い柄の先端に形成され、多くの花が集まった頭状花を形成する。花序の直径は4cm前後で総苞片は線状。中心部の花は筒状で花冠の先端は5の裂片つに分かれ、周辺の花は3つの裂片が大きく外側に伸びる。ちょうどキク科の筒状花と舌状花に相当する。雄しべは4本で、葯は青い色が濃い。

 マツムシソウの名前の由来は、マツムシの鳴く頃に咲くからであるとのこと。真偽の程は別として、初秋を感じさせる花である。

出典:植物生態研究室(岡山大学波田研)のホームページ


つづく