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島々谷川砂防案内簡単報告

田口康夫
渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える会代表

18 August 2009 無断転載禁
初出:独立系メディア「今日のコラム」


 昨日(2009年8月15日)、環境総合研究所そして環境行政改革フォーラムの青山貞一さん、池田こみちさんたちを案内して島々谷に行ってきました。

 最近まで雨続きだったせいか川の水量は多く、二俣で水を取っているにもかかわらずかなりの量が流れていました。06年の復旧工事の現場はさすがにやられてはおらず、小沢からの土砂流出量も少ししか出ておらず、集中豪雨的な雨の降り方がなかったということを示していました。しかし、毎日の雨で山全体が飽和状態気味になっており、普段よりは多い一定量の水を出していることで流量が増えている様に見受けられました。

 今回は下流から6号ダム建設現場までの間をじっくりと歩いて見てもらい、砂防ダムの問題点を説明しました。

 写真1のように5号ダムの上流側にある盛土(トンネル工事で出た廃土を持っていく場所がないため、川の中に放置したもの)がこの雨でいつものように削られていました。


写真1 盛土の大水で持っていかれた崩れ

 ここの右岸側の堆積土砂の高さが、左岸側のフトンカゴ護岸の高さよりも高く、護岸上には大きめの石が多く転がっており、洪水時にはフトンカゴの上をかなりの水と土砂が流れたことを示していました。

 フトンカゴ護岸の上流側のジャカゴは全て落下しており、その付近の2mくらいの滝も消滅していました。元々この付近は5号ダム部が狭窄部、盛土のあるところが拡幅部と蛇行部になっており、川自身が土砂の調節機能を持っていた場所です。

 したがって川幅の半分以上を占める盛土が自然の土砂調節機能を奪うばかりでなく、盛土部の浸食による土砂流出と合わせ、人為的なことで土砂流出を加速さえるという馬鹿げたことが起きています。この事は土砂を調節するという砂防理論からみてもまともではありません。こんな所に何億という予算が使われていること自体問題なのです。

 その他、工事で出た廃土の処理方法の問題(川の中に捨てる・盛る)で護岸が崩れるなどの跡を見てもらいました。


写真2  ムシトリナデシコ


写真3 ビロードモーズイカ

 今回は工事中に持込まれた外来種のビロードモーズイカが川原にかなり繁殖していました。護岸上は4年前に私たちの指摘で砂防事務所が駆除したのですが、川原の中をしなかったことからまた増え始めていました。ムシトリナデシコは以前なかったのですが、最近の工事で一つ目のトンネル手前に土砂を運び込んだ折に種を一緒に持ってきたのではと考えられます。


写真4  危ないテント張り
 
 写真4は、5号ダムの上流側川の中に釣り人たちのテントが張ってありました。よりによって流路跡に張っています。くれぐれもこんなまねはしないように!この辺が晴れていても上流で雷雨があれば一気に水が増える場合もあります。
 
 写真5は、3号砂防ダム上流側の小嵩沢へ通じる吊橋、島々谷本流の上を渡るので3号砂防ダム(高さ31m)からの堆砂状況が見え、ダム効果で川が粒ぞろいの小石だけの川原となっているのがよく分ります。高さが30〜40mありスリルもあります。

 青山さんたちの感想は、「全くむだな事をやっている、砂防ダム反対現場の典型としてアピールしていきたい。中止にした後の使い方も考えることも必要ではないか」などのことを言っていました。精力的に活動している青山さんたちと連携した運動ができることを期待して砂防視察トレッキングを終えた。


写真5 スリルのある釣り橋

 それにしても下界の暑さに比べまるで冷蔵庫の中にいるような涼しさはなんとも快適でした。またミヤマカラスアゲハやヤマキチョウなど夏のチョウが沢山吸水しており

 いい雰囲気もあります。皆さんもぜひ遊びに行ってください。

・8月22日は水殿沢砂防建設現場見学会を開催します。今回は川の中をジャブジャブ渡ります。暑い中、涼みにいきませんか!  問い合わせは田口まで。

・8月21日(金) 松本砂防事務所との話合い

09.8.15 田口康夫