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村井長野県知事の
側近中の側近、首つり自殺
 

青山貞一 Teiichi Aoyama 26 Feb. 2009

独立系メディア「今日のコラム」


 田中康夫県政時代に3年ほど特別職、地方公務員で勤務した長野県だが、その長野県の村井県政で、どうみても「トンデモなこと」が起きているようだ。

 田中氏の後に長野県知事に就任した村井仁現知事の片腕中の片腕として県の任期付き任用で長野県に参事として就任している右近謙一氏(59)が、24日夕方、長野県庁近くの路上の電柱にロープで首をつって自殺していたことがわかった。

 ※長野県組織(右近氏は総務部参事)

 現場は長野商業高校野球部グラウンドの脇。右近氏はスーツ姿で、現場に遺書などはなかった。長野市消防局の話だと、電柱には地面から約3メートルの高さにロープがかけられていた。

 自殺の原因は今のところ定かではないが、右近氏が「西松建設」の巨額な裏金事件に関連し、2月24日の直前まで東京地検特捜部の事情聴取を受けていたことが分かっている。

 準大手ゼネコン「西松建設」(東京)の裏金問題に関しては、東京地検特捜部が1月19日、同社元社長の国沢幹雄容疑者(70)が海外から裏金7千万円を不正に日本に持ち込んだことに関与していた疑いが強まったとして、外国為替及び外国貿易法(外為法)違反の容疑で逮捕している。

 同社トップの逮捕により、特捜部は、国内外で作られた20億円超の裏金の使途など全容解明を目指している。東京知見特捜部は1月14日、香港の銀行口座などに集めていた西松建設の裏金の中から2006年2月〜07年8月に計7千万円を、税関手続きを経ないまま5回に分けて不正に日本に持ち込んだとして、同社の海外担当だった元副社長の藤巻恵次容疑者(68)らを外為法違反容疑で逮捕した。

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 ところで、長野県在住で田中康夫前知事を徹底批判し続けた奥秋昌夫の追撃コラムによれば、県幹部からの聞き取りで、東京地検の事情聴取は2月21日、22日、23日の3日間に及んだことがわかったという。

 右近氏の自殺は24日である。となれば3日間に及ぶ事情聴取と何らかの関係があったことは想像に難くない。一体、どんなやり取りがあったのか?

 これは準大手ゼネコン西松建設(東京)の不透明な資金の流れをめぐる疑惑捜査の一環とみられる。東京地検は「一貫して参考人としての事情聴取で、適正に行われた」とする一方、聴取の時期や内容などの詳細は説明せず、自殺との因果関係についても「コメントする立場にない。心よりご冥福をお祈りする」としている。

  東京地検は上述のようにすでに西松建設の元社長らを逮捕しているが、そこでは広瀬勝貞大分県知事が100万円、石川嘉延静岡県知事が100万円(巻末に記事あり)とともに、村井仁長野県知事が20万円のパーティー券を購入してもらったことがすでに報じられている。ただ20万円のパーティー券を購入問題だけで自殺するとは思えない。

 信濃毎日新聞などによれば、右近氏は広島県出身。1972年に防衛大を卒業後、航空自衛官となり、1986年6月に退官。村井知事が衆院選で初当選した同年7月から秘書を務めた。自民党を離党、その後復党する際も行動をともにするなど、20年余にわたり政治活動を支え、知事の「側近中の側近」(県幹部)とされる。

 2006年8月の知事選で当選した村井知事が、同年12月1日付で県の危機管理担当参事(任期付き部長級)に起用。同年12月に4年4カ月の任期で危機管理担当の参事(部長級)を務めていた。同氏の県職員への採用をめぐっては、知事が就任後、衆院議員時代の秘書らを相次いで採用したことから、県会の一部に「人事権の乱用だ」などとして撤回を求める動きがあった、という。

 一方、村井知事は取材に応じ、「(自殺の動機は)分からない。(参考人聴取は)心当たりがなく、全く知らなかった。知事の職務を行う上で右近氏のサポートが欲しいと思い、(参事登用の)人事を行った。(不正は)あり得ないと思う」と説明。西松建設については「わたしの立場で申し上げることはない。検察も方針があって調べていると思う」と語っている。

 先の奥秋昌夫の追撃コラムによれば、「村井知事は右近氏の自殺ですっかり弱気になり、辞職まで口走っているという情報もある。このまま辞めることはないだろうが、一部の人たちがなんとなく期待していた「もう一期」やる可能性は限りなくゼロになったのではないか」と述べている。

 今後、金銭授受を巡る一大政治家スキャンダルに進展する可能性もある。

長野知事元秘書自殺、
西松建設事件で参考人聴取数回

 村井仁・長野県知事の元秘書で、24日に死亡した右近謙一・同県参事(59)が、東京地検特捜部の事情聴取を受けていたことが分かった。関係者によると、準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)を巡る捜査で参考人として複数回、事情を聴かれていたとみられる。地検は「聴取の方法は適正だった」と説明している。

 右近参事は、村井知事が衆院議員時代に公設秘書を務め、06年12月から主に危機管理を担当する部長級参事に採用されていた。24日夕、長野市内で電柱にロープをかけて首をつっているのが見つかり、死亡が確認された。県警は自殺を図ったとみている。

 村井知事は衆院議員だった05年、政治資金パーティー「村井仁シンポジウム」を東京都内で開いた際に、西松建設OBが設立した政治団体「新政治問題研究会」から20万円の献金を受けている。【安高晋】

 東京地検の谷川恒太次席検事の話 当庁が参考人として事情聴取していた右近氏が死亡されたとの報告を受けました。心よりご冥福をお祈りします。

毎日新聞 2009年2月25日