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原子力防災計画策定の背景・構成
(ニセコ町 平成25年3月版)

青山貞一

東京都市大学名誉教授・環境総合研究所顧問
掲載月日:2013年7月19日
独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁


 ここで、自治体が策定する地域防災計画の一部としての原子力災害計画における基礎自治体の策定例として北海道ニセコ町の原子力防災計画の概要を示す。

 なお、ニセコ町の原子力防災計画の「退避等措置計画編」は、2013年秋をめどに現在、策定中である。

1.計画策定の背景

 東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所 における事故の発生


 平成 23 年 3 月 11 日の東日本大震災に伴い、福島第一発電所において事故が発生し、今なお、福島県では広い地域で住民が避難を余儀なくされている。

 原子力災害による被害は、環境汚染だけでなく、放射線の影響による健康上の不安を引き起こすとともに、風評被害などの経済活動にも大きな影響を与えている。

 国の法整備及び指針の策定

 福島第一発電所事故後、国の原子力政策の「推進」と「安全規制」が分離され、独立性の高い組織として「原子力規制委員会」が平成 24 年 9 月 19 日に発足した。

 また、同年 10 月 31 日に定められた「原子力災害対策指針」においては、原子力発電所から概ね半径 30km の地域が「緊急時防護措置準備区域:UPZ」とされ、当該地域を含む自治体では、「地域防災計画(原子力防災計画編)」を平成 25 年 3月までに策定することが義務づけられました。

 なお、原子力災害対策指針は、これまで検討課題となっていた「緊急時における判断及び防護措置実施基準」や「緊急被ばく医療」のほか、一部内容の修正を行い、平成 25 年 2 月 27 日に改定されました。
 
 北海道地域防災計画 (原子力防災計画編)の修正  

 北海道は、原子力災害対策指針の決定を受け、これまでの「北海道地域防災計画(原子力防災計画編)」を見直し、平成 25 年 1 月 10 日に修正決定しました。

 主な修正内容は、泊発電所を中心に半径 5km 以内の地域を「即時避難区域:PAZ」とし、半径 30km 以内の地域を「緊急時防護措置準備区域:UPZ」として設定しました。

 これにより、泊村、共和町、岩内町、神恵内村、寿都町、蘭越町、ニセコ町、倶知安町、積丹町、古平町、仁木町、余市町、赤井川村の 13 町村が「地域防災計画(原子力防災計画編)」を作成することになりました。 なお、北海道は、改定された原子力災害対策指針に基づき見直し作業に着手し、本年 5 月下旬頃までに原子力防災計画を修正する予定としています。

 ニセコ町地域防災計画 (原子力防災計画編)の策定

 本町(北海道ニセコ町)では、町民及び一時滞在者(以下「住民等」という。)の生命、身体及び財産を保護するため、地域特性の考慮、地域防災会議の原子力専門委員会委員の科学的知見を踏まえながら、原子力災害対策指針に準拠し、北海道原子力防災計画と一定の整合性を図った「ニセコ町地域防災計画 町地域防災計画 町地域防災計画(原子力防災計画 原子力防災計画 原子力防災計画編)」を策定します。

 この計画は、計画素案を 3 月 11 日から公開して意見募集し、3 月 26 日開催の第4 回原子力専門委員会で協議後、3 月 28 日開催のニセコ町防災会議で決定する予定です。なお、原子力災害対策指針の改定による道の計画が修正された場合は、本町の計画も見直す予定としています。

 このほか、避難等のために必要な「ニセコ町地域防災計画 町地域防災計画 町地域防災計画(退避等措置計画編)」については、継続して原子力専門委員会での協議を進めますが、福島事故の教訓や放射線等拡散シミュレーションの活用、避難計画における科学的な見地、行政機能の継続性や住民自治の確保方法などに配慮しながら、早期の完成を目指したいと考えています。

 また、新たな防災マップ、避難行動マニュアルなどの作成も必要であり、住民の参加も得ながら、分かりやすく利用しやすい資料の作成に努めます。




2. ニセコ町地域防災計画 (原子力防災計画編 )の構成

第1章 総則 全 6 節 

 本計画の目的及び性格を明らかにするとともに、計画策定の基本方針を定めたうえで、本町としての原子力防災対策を重点的に実施すべき地域の範囲を指定し、防災関係機関の役割分担を明確にする。

第2章 原子力災害事前対策 全 14 節

 原子力災害対策特別措置法(以下「原災法」という。)及び災害対策基本法(以下「災対法」という。)に基づき実施する予防体制の整備及び原子力災害の事前対策について記載する。

第3章 緊急事態応急対策 全 10 節

 原災法第 10 条の可能性がある事故・故障若しくはこれに準ずる事故・故障発生時(警戒事象)通報、及び同法同条に基づき原子力事業者から特定事象の通報があった場合の対応、及び同法第 15 条に基づき原子力緊急事態宣言が発出された場合の緊急事態応急対策について記載する。

第4章 原子力災害中長期対策

  主に原災法第 15 条第 4 項規定に基づき、原子力緊急事態解除宣言が発出された場合の原子力災害事後対策について記載する。

つづく