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東京地検特捜部リークによる
大メデイア小沢報道の奇

顕示された事実の真実性を探る
〜解明の視点(5)情報公開〜


青山貞一
14 Jan. 2010
独立系メディア


 大メディアの小沢報道で最も気になるのは、いうまでもなく@事実、A事実認識、B真実性とメディア関係者のC思惑、D決めつけ、E価値判断が交錯し、ないまぜとなっていることである。

 小沢報道の圧倒的大部分の情報は、東京地検特捜部のリークを元にしたもので、その背景には、メディアの思惑で一方的にシナリオを描き、決めつけた予断的な価値判断がある。

 というのも、大メディアの記事をみるにつけ、まともに自分たちで足を使い頭を使い、関連する事実を探し回った形跡がほとんどないからだ。

 一方、肝心要の政治資金規正法にもとづく政治資金収支報告書の記載の詳細な内容、すなわち原簿に近い内容は、なぜか過去3年分しか総務省公式ホームページで公開されておらず、それ以前は総務省公式ホームページに官報(PDF)にあるだけだ。

 しかし、官報に掲載されている政治資金収支報告が過去3年分が原簿に近い個別具体の詳細データ、すなわち事実(事実と真実は異なるが)であるのに対し、官報に系されている情報は概要である。しかも、毎年の政治資金収支報告が年月日の官報に掲載されているかを探すのは容易ではない。

 PDFの記述内容が検索対象となればまだしも、検索できないPDFとなっているため相当な苦労を強いられる。

 そもそも総務省のホームページで過去の政治資金収支報告書の全てを公開していれば何ら問題なく国民、メディアと問わず、原簿レベルでその詳細が見れる。何で3年分しか公開しないのかが大いに問われる。

 インターネットのブログやテレビ朝日サンデープロジェクト(2010.1.10放映放映)などで、小澤一郎からの借入金が2004年度の陸山会の政治資金収支報告書に記載されていたとして大騒ぎとなった情報(以下に関連部分を示す)にしても、当該部分を探し出すのは至難なのである。

◆2004年度 総務省ホームページにある平成17年09月30日付けの官報にある「官報陸山会収支報告書」 162ページ(247)(注:PDFファイルである)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000047155.pdf#page=162


上記は全体のごく一部

 もっぱら上記の官報資料以前に、昨年(2009年6月)時点で小澤一郎からの4億円の借入金は自民党参議院議員の西田昌司事務所が作成しWebで公開している表にはっきりと書かれていた。以下参照。


出典:自由民主党の西田昌司参議院事務所 2009年6月29日作成

 しかも、多くの大メディアは、当初からそれら各年の政治資金収支報告書の概要すら自分で「官報」から探がしていなかった。

 これは信じられないことだが、大メディアの記者、デスクなどが思考停止に陥っていて、ほとんどすべての情報を東京地検特捜部のリークに依存するか、他社が書いた記事をもとに何ら事実を探し求めることなく書いていたことによるものだろう。

 周知のように昨年(2009年)、日本でもヤットのことで公文書管理法が制定され、省庁の現場で恣意的に公文書の管理・保存期間、公開期間を決めることはできなくなりそうだが、これが現場ではなく大臣に決定権をもたせたとしても、今の過去3年分が過去全てとなるかどうかは分からない。なぜなら、それらの規定は政令、規則などで決められるが、それをつくるのも官僚だからだ。

公文書管理法、実効性は未知数 政令づくりはこれから

共同通信 2009/06/24 19:27  

 公文書の適切な管理や保存に向けた政府の統一ルールを定めた公文書管理法が24日成立し、厚生労働省によるC型肝炎患者のリスト放置など行政の信頼を失いかねないような「ずさん管理」の再発防止が期待される。ただ、管理・保存の具体的な基準を盛り込む政令づくりはこれからの課題。どこまで実効性を担保できるかは未知数だ。

 公文書管理法は各省庁ごとに対応がバラバラだった文書管理に関し、文書ファイル管理簿作成や、国立公文書館に移管された公文書の目録づくりを義務付けている。保存可能な公文書の量を飛躍的に増やすため、データの電子化推進も要請。内閣府は「体系化した管理により資料紛失といった初歩的ミスはなくなる」としている。

 また文書廃棄には首相の同意を必要とし、役所側の裁量による処分にも一定の歯止めをかけた格好だ。

 しかし、膨大な文書の存廃を首相が判断するのは実際には不可能。保存の必要がない文書の判断も、公文書管理法は「事案が軽微な場合」としか規定がなく、実際に政策決定過程の検証に役立つかどうかは疑問が残る。


 ちなみに以下は、現在、総務省のホームページで公開されている政治資金収支報告書の陸山会における小沢氏(小澤氏)に直接関連するもの(原簿の複写?)である。以下は平成18年分の例である。

◆総務省公式Webの政治資金収支報告書
http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/

◆平成18年分の「陸山会」報告書部分
http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/000021329.pdf

 ※現在公開されている年は平成18,19,20年のみである。

 下は平成18年文の陸山会の報告書の表紙部分。全体は上記のWeb。



 上記の報告書(原簿)には平成17年及び平成18年に行われたとされる陸山会から小澤一郎氏への2億円づつの借入金返済についても明確に示されている。

 また他の小澤一浪し一郎氏からの借入金返済、借入金返済利子、さらに資産(土地、建物)、たとえば東京都世田谷区深沢の土地、建物についても具体的に示されている。

 したがって、以下のレベルで資金のフローとストックの収支が示されれば、現金主義をとっている収支報告書とは言え、第三者による解明が容易となったと思える。総務省は原簿レベルの情報公開を過去に遡りしっかりすべきである。


◆政治資金収支報告書(原簿)の公開例
  平成18年におけ陸山会の政治資金収支報告書より


平成18年:小沢一郎(系)などからの寄付金収入(寄付額1億1164万円


平成18年:小澤一郎への借入金返済(返済金額2525万310円


平成18年:小澤一郎への借入金利子返済(返済利子金額275万9778円


平成18年:小澤一郎への借入金返済(返済金額2億円


平成18年:小澤一郎への借入金返済(返済金額69万5922円


平成18年:小澤一郎への借入金利子返済(返済金額34万8746円


平成18年:小澤一郎への借入金利子返済(返済金額97万862円


平成18年:資産(土地)一覧(対象物件:世田谷区深澤8丁目28番5号)


平成18年:資産(建物)一覧(対象物件:世田谷区深澤8丁目28番5号)



つづく