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大間原発事故時
放射性物質拡散シミュレーション
インタビュー

青山貞一
掲載月日:2013年4月25日
独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁


 既報のように、環境総合研究所は4月一杯をめどに、所在地、オフィスを東京都品川区旗の台6から東京都目黒区大岡山1に移転することになっており、本日、4月24日、ほぼ移転を完了した。

 今日、午後、新オフィスへの最初の来訪者があった。北海道放送(HBC)報道局の森記者である。

 研究所では一年前、日本の原発が地震、津波などにより事故を起こした場合を想定した3次元流体モデル(有限差分法による数値計算)によるシミュレーションシステムを発表した。

 今回のインタビューは、上記のシステムには含まれない、青森県大間に建設中のJパワー(旧電源開発株式会社)の大間原発が福島第一原発並の事故を起こした場合の詳細な地形と気象などを考慮したシミュレーション(模擬実験)の概要についてである。

 日本の通常の環境影響評価(環境アセスメント)では、この種の事故時のシミュレーションは行われていないことに加え、SPEEDIでも計画中、建設中の原発を対象としたシミュレーションは行っていない。


新オフィスで北海道放送(HBC)の取材に対応する青山貞一(右)
撮影:鷹取敦 2013.4.24


新オフィスで北海道放送(HBC)の取材に対応する青山貞一(右)
撮影:鷹取敦 2013.4.24


青森県大間と北海道函館の位置関係
出典:グーグルマップ

 今回のHBCの取材は、同テレビ局が企画している大間原発問題についてのドキュメント番組の一部として行われたものである。

 大間原発のドキュメント番組は5月以降に放送予定とのことだが、HBCは、すでに現地大間には何度も入り綿密な取材を行っているという。また事故時の気象、とくに風向が南風系の場合、大間原発から排出される放射性物質は、23km〜35kmの範囲で津軽海峡を越え、対岸の函館市などに影響が及ぶことが予想される。

 私は昨年秋以来、北海道電力泊発電所との関連で原発から30km圏(UPZ)にあるニセコ町の原子力防災計画策定委員会の委員として北海道に足を運んできたが、大間原発が事故を起こした場合、青森市など青森県内への影響もさることながら、北海道の函館市に甚大な影響が及ぶ可能性が高いことが私達のシミュレーションで判明している。


新オフィスで北海道放送(HBC)の取材に対応する青山貞一(中央)
撮影:鷹取敦 2013.4.24

 昨年末、政権がかわってからこの方、原発の再稼働問題ばかりが報道される昨今だが、フルMOXのABWR(改良型の沸騰水型原子炉)である大間原発が民主党末期に例外的に建設が認められ現政権でも強力に開発が進められている。

 しかし、周知のようにABWRでは燃料に全面的にプルトニウムを使用するだけに、苛酷な事故が起きた場合に排出される放射性物質は、通常のBWRやPWRと異なる各種も含まれることが想定される。

 さらに原発立地は大部分が沿岸立地である。沿岸立地の場合、日本では必ず漁業補償問題が生ずるが、よく考えなくても海岸、海浜は何も漁師、漁民のためだけにあるのではない。

 今回も、相当の額が補償費としてばらまかれているようだが、将来世代に持続可能な社会づくりが世界的に課題となっている今、果たして日本の海をこれ以上原発立地として金銭的な補償のみで売り渡してよいのだろうか?