注)本声明を「独立系メディア」のWebに掲載中に、三浦和義氏が
ロサンゼルスで自殺したとのニュースが飛び込んできた。
ご冥福をお祈りするとともに、以下の声明にあるように日米
両国による人権侵害に強く抗議するものであります。
米国ロサンゼルス捜査当局は米国自治領サイパンで2月以来、7か月余にわたって不当に身柄を拘束してきた三浦和義氏を本日、ロスに移送した。
私たちは、日本の最高裁で無罪が確定した三浦氏に対する米国捜査当局による長期拘束を重大な人権侵害として抗議してきた。
しかし、サイパン・ロスの裁判所は拘束を正当化する決定を出し、三浦氏はロス移送を受け入れざるを得なくなった。三浦氏は、ロスで徹底的に闘う決意を新たにしているが、今回の移送は不当拘束をさらに長期化するものであり、あらためて強く抗議する。
三浦氏は2月以来、サイパンで身柄釈放を求めて人身保護請求を行う一方、ロスにおいては逮捕状無効を申し立て、その取り消しを求めてきた。これに対してサイパン地裁・最高裁は請求を棄却。ロス郡地裁は9月26日、逮捕状の一部を有効とする決定を出した。
ロス郡地裁決定は、逮捕状記載の被疑事実である「殺人」「殺人共謀」のうち、殺人については「日本で判決が出ており『二重の危険』に当たるため無効」としたが、殺人共謀については「日本の刑法には共謀罪に当たる規定がなく、日本の共謀共同正犯とは構成要件が異なるため共謀罪に『二重の危険』は適用されず、その訴追は有効」とした。
だが、逮捕状で挙げられた共謀を推定させる行為は、日本の検察当局が三浦氏を「殺人の共謀共同正犯」として起訴した際に挙げた「事実」や公判で主張した「共謀行為」に含まれている。
その「共謀の事実」が存在しなかったことを日本の裁判所は認めて、「共謀共同正犯による殺人」という検察主張を退け、無罪が確定したのである。
ロス郡地裁決定は、「日本では、共謀罪では裁かれていない」と極めて形式的な判断で、事件の実体というべき殺人罪で無実が立証された三浦氏を「二重の危険」にさらした。
もともとこの事件は、メディアの「疑惑報道」に煽られた日米捜査当局が緊密に協力し、情報交換したうえで、米国側の逮捕状記載事実(共謀を推定させる行為)も含めて、日本で起訴することで合意したものである。
その「日米合作」というべき起訴事実が日本の裁判所で認められなかったからといって、「今度は米国で、別の法律で」というのは、まさに「一事不再理」の原則に反する不当な人権侵害である。
起訴された人の99・9%が有罪になる日本の裁判で無罪が確定した事実こそ、三浦氏の起訴がいかに根拠のないものであったかを示している。日本政府は、最高裁が下した判断を無視・否定する米国による身柄拘束に抗議すべき立場にある。
最高裁も、この暴挙に抗議すべきである。まして、日本の捜査当局が米捜査当局に再度「捜査協力」するなど、自国の司法判断を軽視し、ないがしろにする行為と言わざるを得ない。
私たちは、米国捜査当局の不当なロス移送に強く抗議し、直ちに三浦氏の身柄を釈放するよう要求する。また、日本政府が米国政府に三浦氏の釈放を求め、早期帰国に向けて自国民保護の義務を果たすことを強く要請する。
また、日米のマスメディアに対して、日本における確定無罪判決の内容を詳細に広く伝え、三浦氏に対する人権侵害を一刻も早く止めさせるために、ジャーナリズムとしての本来の役割を発揮されることを期待する。
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「三浦和義氏の逮捕に怒る市民の会」事務
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