エントランスへはここをクリック   

汚染米流通の裏に
農水省天下り検査機関
の存在が明らかに!

青山貞一
掲載月日:2008年10月10日


 中国や東南アジア諸国から日本が輸入している事故米とよばれるお米に含まれる農薬などの有害物質が問題となっている。

 それらのお米は本来、工業用の糊などにしか使えないはずなのに、お酒やお菓子などに使われ、日本各地で事件化しているのは周知の通りである。

 では、日本政府公認で輸入し、使用しているそれら事故米に、なぜかくもさまざまな農薬など有害物質がかなりの濃度で含まれているのか? 

 というのも当然、輸入されるお米は水際で検査が行われているはずであるからだ。もちろん、含まれているから事故米なんだ、という考え方も出来るが、しっかりと検査をしていればあらかじめそれを公表すべきである。

 公表していれば、関連業者はお酒の材料とすることはなかったし、お菓子に使うこともあり得なかったはずだ。

 私が一時期在籍した長野県の研究所では、県内の全保健所から送られている食品に含まれる農薬などの有害物質の検査をしていたが、これはひとたび日本国内に入ってきたものの検査である。

 自治体の検査機関とは別に農水省などが水際、すなわち成田(航空機)や横浜・神戸(船)などで運ばれてくる各種農作物を試料採取し、そららに含まれる有害物質分析の濃度を検査し、もし基準以上の場合あるいは日本では使用が禁止されている化学物質が含まれる場合は、輸出国への送り返しあるいは廃棄を勧告あるいは命令している。

 かくも多くの有害物質を含む、またカビだらけの米が日本国内に堂々と入ってくること自体??である。

 そんななか2008年10月8日夜の報道ステーションでは、これに関するスクープ番組を放映したが、番組で汚染米流通の裏に農水省天下り検査機関の存在が明らかになった。以下はテレビ朝日の番組紹介である。

 農水省のずさんな検査・管理体制が明らかになった汚染米の不正転売問題。農水省では流通ルートや原因の解明作業を進めていて、農薬「アセタミプリド」が検出されたベトナム米については、三笠フーズから9つの酒造メーカーに流れたことがわかったと発表した。しかし、なぜ農薬にまみれた米が日本に入り込んできたかについては、実は調査すら行われていない。今回番組では、汚染米の輸入ルートを独自取材。何重もの検査をすり抜けた裏に天下りの闇が広がる。

 ところで気になる農水省の幹部や職員の天下り組織だが、それはOMIC(オーミック)だ。OMICは米国、中国、ベトナム、タイなど世界各地に支社がある。全職員は360名もおり、年間農水省からOMICに流れるカネは数10億円にのぼっている。

 世界各国にある農水省天下りによる検査機関 OMIC 公式Web

商 号
海外貨物検査株式会社
英文名:Overseas Merchandise Inspection Co., Ltd.(OMIC)
設立年月日
1954年(昭和29年)12月8日
代表者
代表取締役社長 谷萩 眞一、代表取締役常務 伊藤 敏
資本金
60,000,000円(2006年3月31日現在)
役職員数
約360名(2006年1月31日現在)(但し、現地法人役職員を除く)
事業所数
35(2007年7月1日現在)
国内:11(本社:1 支店:1 分析所:1 駐在員事務所:7 子会社:1)
海外:24(支店:3 営業所:2 事務所:3 駐在員事務所:1 現地法人:15)
本 社
〒103-0026 
東京都中央区日本橋兜町15番6号(製粉会館7階)
TEL:03-3669-5181、FAX:03-3669-5190
主な事業内容
・貨物の品質及び数量・重量の検査・検定・鑑定
・商品の物性テスト、成分分析及び食品安全性検査ならびに遺伝子・蛋白質分析による鑑定
・商品・建造物・船倉等のくん蒸及び消毒
・貨物の積み卸し及び入庫・出庫の管理
・マリンサーベイ及び保険サーベー
・輸出入商品の価格評価および機械類・工場・発電所設備の価格査定
・農水産物、鉱産物および工業製品の生産、加工、流通等にかかわるコンサルタント業務
・有機農産物・有機農産物加工食品等にかかる生産・製造工程の規格適合認定業務
・上記業務の付帯事項
出典:OMIC公式Webより

 番組では、ベトナムから日本に輸出される米に含まれる農薬などの検査に関連し、ベトナムの検査機関にインタビューを行うと、日本に輸出する米はすべて日本の検査機関が担当しており、ベトナム側では一切行っていないという。その検査機関を聞くと、「OMIC」と応えた。

 テレビ朝日はさっそく現地でOMICの事務所を探し当て取材に向かうと、出てきた日本人の支社長は、ケンモホロロ、とりつく島もなく取材拒否。お客のことは一切話せないの一点張りだった。

 その数日後、テレビ朝日に連絡が入り、取材に応ずることになった。

 取材では対応した支社長は、ベトナムのOMICは米をサンプリングして日本の検査機関に送るだけを繰り返すばかりであった。これはタイのバンコックでも同様であった。検査はすべてOMICが独占的に行っているということであった。

 結局、OMICは農水省からの膨大な天下りを養うだけの組織で、今回の一連の事故米問題では、何一つ汚染米について水際での対応がなされていなかったことになる。

 こんな機関に年間数十億円もの国費が投入されているとは驚いた!しかもOMICは米など穀類専門とのこと。実際に分析しているのは東京にある農水省の外郭団体なので、この機関はほとんど税金を無駄に浪費する天下り受け皿団体と思われても仕方ないだろう。