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農水省のトンデモ言い訳!
〜増えている化学物質過敏症〜


青山貞一

掲載月日:2008年9月21日


 ところで、農作物や加工食品、水などに含まれる金属類や化学物質の中には、ミネラルなど人間が生きて行く上で必須のものもある。だが、金属類の多くは体内に多く摂取した場合、悪影響を及ぼす。必須のものでも、摂取しすぎれば健康を害するのは当然のことである。

 特に、重金属類やある種の化学物質については、摂取量によって生体への影響、被害の出方が大きく異なることが知られている。当然、大量に摂取した場合、生体影響が大きく、致死の可能性もある。有機水銀による水俣病、カドミ摂取によるイタイイタイ病などがその一例である。

 では、少ない量を摂取した場合どうなのか?

 少ない量を体内に摂取した場合の生体への影響は、ひとによって大きく異なる可能性があることが、ここ10数年の米国における大学や研究所などの研究で分かってきた。

 たとえば化学物質を多量に摂取すれば、急性中毒となるが、それよりは少ないものの一定量を一度に摂取した場合、あるいは継続的に摂取した場合、ひとによって「化学物質過敏症」という厳しいアレルギー症状を呈する可能性が指摘されている。しかも、一度、化学物質過敏症になると、かなり少ない摂取量でアレルギー症状や化学物質過敏症に固有な症状を呈することになる。

 たとえば、動物実験で有害作用が見られないほど暴露量が少ない無毒性量の場合でも、化学物質過敏症や多重化学物質過敏症の人にとって固有の症状がでることが最近の研究から明らかになってきている。

図1 従来の暴露量と生体影響の関係
出典:厚生労働省

図2 化学物質過敏症を考慮した暴露量と生体影響の関係

 以上の関係を図で示すと以下のようになる。図1が従来の暴露量と生体影響の関係、図2が化学物質過敏症を考慮した暴露量と生体影響の関係である。ただし、ADIは一日単位の許容摂取量である。

 また東京都杉並区にあるプラスチック廃棄物の中継施設の周辺で起きた「杉並病」はその典型例である。

 この場合、非常にやっかいなのは、同じ量を摂取しても「化学物質過敏症」とならない人がいることだ。症状がでない人がいることから、「気のせい」ではないかなどとされ「杉並病」を煩っているひとびとの気持ちを逆なでしている。