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取り沙汰される
安倍首相辞任の別のわけ!?

青山貞一
 
掲載日:2007.9.13


 国会の本会議で所信表明までしながら国民や野党議員に謝罪ひとせずに辞任した安倍首相だが、当人が会見で話さなかった辞任理由、辞任原因がいろいろ推察されている。

 なかには、もちろん健康問題もある。

 「病院の入り方もコソコソ」安倍首相が検査 産経新聞 
 安倍首相退陣は「健康問題」 日刊スポーツ
 与謝野氏ら健康問題強調 「仕事との両立で苦悩」 中日新聞
 首相が体調不良で受診 「健康と仕事の間で苦悩」 北海道新聞 
 安倍首相は「機能性胃腸症」、3─4日の入院が必要と診断=主治医

 次に、長妻昭衆議院議員は12日夜のテレビに出演したなかで、次を述べた。

 自民党が7月の参議院選挙で大敗したのは、いわゆる宙に浮いた5千万件国民年金問題がある。これが、どうみても来年3月までに解決できそうもないというのだ。

 気の弱い安倍首相は、ミスター年金の長妻議員にぶつけるために、舛添を厚労大臣にするところまではよかった。しかし、その舛添大臣が年金情報を調べれば調べるほど、社会保険庁のモラルハザードが明白なっており、到底来年の3月までに安倍首相が公約したことが、到底、果たせないことが分かってきた。

 おそらくこれも安倍辞任劇の理由、原因、すくなくとも遠因にあることは間違いないだろう。

憤激スクープ これじゃ「消えた年金」問題が解決するわけがない
社保庁・村瀬長官は安倍首相の「5000万件調査指令」を【鼻で笑って】握り潰していた

それにしても役人というのは、ここまで世の中をナメているものなのか。社保庁は「消えた5000万件」を調査しろという安倍首相からの命令をまったく無視していたのである。

調査などやる気もなかった

 この組織に誠実さを求めるのは無理なのだろうか。「社会保険庁の説明を聞く限りでは、問題にまっすぐに対応していないという印象だ」


週刊現代 バックナンバーのリード文

 次の理由として、講談社の週刊誌、週刊現代が9月15日発売号に掲載予定の「安倍首相自身が相続税を3億円を脱税していた疑惑」も取り沙汰されている。

 週刊現代の編集部によると、安倍首相は父晋太郎氏の死亡に伴い、相続した財産を政治団体に寄付。相続税を免れた疑いがあるという。晋太郎氏は1991年5月に死亡した。その遺産総額 が25億円に上るとされている。

 週刊現代の編集部は、安倍首相側に質問状を送付、12日 午後2時が回答期限としており、15日発売号で掲載する予定だったという。 以下はそれを伝える時事通信の記事。

週刊誌が「脱税疑惑」取材=安倍首相側「全くの誤り」

 辞任表明した安倍晋三首相について、講談社の週刊誌「週刊現代」編集部は12日、「脱税疑惑」があるとして、首相側に取材を申し入れていたと明らかにした。一方、安倍首相の事務所は「全くの誤り」と反論した。

 同誌は「数カ月取材してきた『安倍首相の相続税3億円脱税疑惑』を報じることが、政界で話題になっていることは聞いている」などとするコメントを出した。記事は15日発売号に掲載するという。

 安倍事務所によると、父の故晋太郎氏が個人資産を政治団体に寄付し、相続税の支払いを免れたのではないかとの内容の質問が週刊現代からあった。

 同事務所は、収支報告書には「第3者からの寄付を故晋太郎名義で記載しているにすぎない」と、全面的に否定している。

時事通信 2007年9月12日

 事実のほどは定かではないが、ここでも、やたら強弁してきたわりに、気が弱いおぼっちゃまの安倍首相にとって、スキャンダルに発展必至の3億円脱税問題が事実であれば、間違いなく火だるとなることの恐怖に怯えていた可能性がないとはいえない。

 週刊現代と安倍首相とは別件でも犬猿の仲にある。12日の安倍首相辞任で果たして15日発売の週刊現代に脱税疑惑の記事が掲載されるかどうかが注目される。

....

 さらに、以下のような原因も取り沙汰されている。それは内閣改造で自民党のナンバーツーである幹事長とした麻生衆議院議員に、軒を貸し母屋を取られそうになっていたことへの不信感である。事実、遠藤農水相辞任では、麻生幹事長はシンパと一緒に首相に相談することなく遠藤大臣に引導を渡していた。

内閣で「孤立」した安倍首相…
「麻
生にはめられた」と不信感も?

 遠藤農相の辞任劇で「カヤの外」に置かれた安倍首相。農相更迭から後任人事まで、すべて与謝野官房長官と麻生幹事長の2人で決めてしまった。いまや閣内でも完全に孤立しているという。安倍政権は前代未聞の異常事態に突入している。

 内閣改造で「人心を一新」した安倍内閣は、閣議前の雰囲気も一変したという。町村外相、伊吹文科相、高村防衛相、額賀財務相……などの派閥領袖クラスが周囲を睥睨(へいげい)し、威厳を見せつけるように談笑。首相が入室しても、首相そっちのけで私語をつづけ、首相は借りてきた猫のように小さくなっている。

 首相は緊張し、寂しげでほとんど会話をかわさない。 (中略)

 閣僚からは首相をないがしろにする発言も続出している。「安倍さんを支えるために大臣になったわけじゃない」(額賀財務相) 「首相より与謝野さんと協議を進めることになる」(舛添厚労相) 首相は「解散権」さえ封じられてしまったという。自民党関係者が言う。

 「安倍首相は、自分の続投を支持してくれた麻生太郎を信頼し幹事長に抜擢。人事権の一部も預けた。ところが、いまごろになって『麻生にはめられた』と不信感を持ち始めているといいます。

 というのも、気がついたら、与謝野官房長官、鳩山法相、二階総務会長、大島国対委員長と内閣と党の中枢を“麻生シンパ”で固められてしまった。首相にとって最大の懸念は、解散したくても解散できない恐れが出てきたことです。

 麻生幹事長の政権戦略は、安倍首相に早期に総辞職してもらい、後釜
に座ること。安倍首相に解散をされては困る。そこで首相が解散に走ろう
としたら、与謝野官房長官や鳩山法相に羽交い締めにさせて解散を断念
させ、総辞職させる作戦だとみられています」(政界事情通)

日刊ゲンダイ 2007/09/08

 いずれにしても、今回の辞任劇で、世界各国に安倍首相の無責任さ、アナクロイズム的異常さ、人事の稚拙さが情報発信されたはずだ。

 舛添厚労大臣を含む改造内閣は、わずか16日の短命で終わった。 小池百合子防衛大臣がライス国務大臣にあった直後、そして安倍首相がブッシュ大統領にあった直後に、それぞれ大臣や首相を辞職したのである。

 世間知らず、経験不足のおぼっちゃま首相は、国際公約や外交における日本の信頼性をことさら強調しながら、結果的に首相自身が日本の国際的信頼性を落とすことになってしまったのである。何とも皮肉な結果だ。