説明責任を果たさぬ 「新党日本」(1) 青山貞一 掲載日:2007.6.4 |
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以下は、田中康夫前長野県知事が参議院議員選挙に新党日本の比例代表からで出馬するという時事通信の記事である。新党日本は6月4日に平河町にある都市センターで記者会見を開くという。
だが、新党日本の代表である田中康夫氏は、公党に寄せられた以下の重大な疑問に、依然として何も答えていない。 (1)首班指名で安倍総理に投票した問題: 2006年秋の首班指名で数少ない新党日本所属議員である荒井広幸参議院議員が、こともあろうか安倍晋三総理に投票したこと。 (2)福島県知事選挙で新党日本が自民・公明推薦候補に相乗りした問題: 佐藤栄佐久前福島県知事が官製談合問題で東京地検に起訴された後の県知事選挙で、こともあろうか、自民・公明が推薦する候補者を推薦したこと。 いやしくも政党助成金を受け取っている公党の代表であるなら、上記について、国民、納税者、有権者に対してまともに答える責任がある。しかし、田中康夫氏は、何ら説明責任を果たしていない。 田中代表は、本来、荒井広幸参議院議員を除名措置とすべきであり、最低でも幹事長職を辞任させる辺デキである。しかし、田中代表は除名どころか、民間企業や自治体の場合の懲戒、けん責など何一つおとがめすらしない。 これについては、昨年9月28日、国民新党が以下の記事にあるように、新党日本との統一会派を解消する措置をとっている。当然であろう。
福島県知事選挙問題で私は次の論考を公表した。 ◆青山貞一:節操なく支離滅裂な「新党日本」福島県知事選 私は長野県知事としての田中氏を政策面で支援してきたが、こと新党日本の設立、運営に関しては、荒井議員問題が起こる前から一貫して反対、批判してきた。 ※青山は田中康夫氏が長野県知事時代、特別職、非常勤で環境保全研究所長、その後、政策アドバイザーなどを歴任、現在でも環境審議会、公共事業監視評価委員会委員を歴任している。 荒井広幸参議院議員問題について、私は田中代表に直接電話し事情を聞いた。だが、田中氏からは残念ながら何一つまともな説明はなかった。 あったのは田中氏自身が参議院選挙で出馬するに際し、新党日本が必要であること、なぜ荒井議員問題がありながらも新党日本のだ票となっているかについての言い訳であった。 結局、田中氏ご自身は、国会議員になるためなら、利用できるものは何でも利用する。国会議員になるためには、当時(そして現在でも)政党としての要件を満たしている新党日本を徹底的に利用するということらしい。事実、新党日本にはいわゆる政党交付金がでている。 これには、はっきり言って私はがっかりした。 最近になって民主党の鳩山由紀夫幹事長から田中康夫氏に参議院選挙で比例代表から立候補しないかという打診があった。田中氏は態度を明確にしなかったという。それもそのはずである。
私は新党日本から参議院議員選挙に出馬することに異議を申し立てるつもりはないが、少なくとも冒頭の(1)、(2)の疑義に党首として正面から答えるべきである。もし説明できないなら公党の代表としての資格はないだろう。 もし、説明できない理由が、自分の知名度を生かすための比例代表(全国)からの出馬で、その前提として、新党日本が政党要件を満たしており、22億を超す政党交付金(=税金)があるからだとすれば、なにおかいわんやである。政党交付金の支給額については以下を参照のこと。
もし、田中康夫氏が自分が国会議員になりたい一心で、新党日本なる公党をその踏み台として利用するために、こともあろうか自民党総裁に荒井広幸参議院議員が首班指名した問題を不問に付すとしたなら、国民新党からの絶縁状以前に、市民派をきどる政治家として何おかいわんやとなるだろう。 最低限、荒井広幸議員問題について説明責任を果たし、最低でも幹事長職を自認させるなどの処分を行うことが不可欠である。またこのことを知らない有権者が新党日本に投票しても、今後、参議院で重要事項の採決が行われるとき、荒井議員が安部政権下の内閣法や議員提案法案に賛成する可能性すらある。 次号では、なぜ、比例代表から出馬するか、その理由、背景について報告したい。 つづく |