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神戸空港
借金2000億円 利益45億円

朝日新聞
4 Feb. 2009
独立系メディア「今日のコラム」


神戸空港島 売れた土地4%

 神戸空港の埋め立てで神戸市が発行した市債(借金)約1982億円の返済開始が近づくなか、返済資金に充てる空港島の土地売却益が約45億4千万円にとどまっている。返済初年度の09年度に約265億円が必要で、一時的に企業会計で肩代わりする。一部の土地を最大50%値下げしたが、これまでに売れたのは面積全体のわずか4%。景気悪化で土地売却の先行きは厳しさを増しており、返済計画は1年目からつまずく可能性が高い。(榊原謙)

新年度からの返済暗雲

 神戸空港は16日に開港から3年を迎える。市は造成費約2301億円のうち約1982億円をまかなうため、99〜04年度に市債を発行。10年後に返済する取り決めで、09年度に約265億円、以降は14年度までに各年度205〜650億円を返済しなければならない。

 市が98年に公表した財政計画では、財源に一般会計を使わず、空港島(約272ヘクタール)のうち、空港部分を除く約83ヘクタールを売却し、約2千億円の利益をあげて返済する予定だった。

 市は07年4月から3年間限定で、1平方メートルあたり27万円の土地を最大で半額に値引き。しかし、港湾運送大手や結婚式運営会社など6社が進出しただけで、売却面積は計約3ヘクタールにとどまった。埋め立て許可を国から受けた際、用途を物流業務などに限られたのが足かせになっている。

 神戸市は神戸空港を含む人工島の造成を、特別に設けた企業会計「新都市整備事業会計」でまかなってきた。同会計の市債残高は約3692億円にまで膨らんでいる。一方で、預金計約1717億円を保有しており、空港島の土地売却が進まない場合、この預金で立て替えるという。

 神戸空港をめぐっては、開港当初から市議会や市民から財政計画の甘さが指摘されていた。ある市議は「まず空港建設ありきの計画だった。いまの経済情勢のなかで、土地を売り切れるはずがない」。後藤範三・神戸市空港事業室長は「更に土地売却に努力するしかない」と話すにとどまる。

 同空港は06年2月16日に開港。06年度の搭乗者数は約274万人、07年度は約297万人、08年度は羽田便が1日2往復減るなどの影響で、4〜12月は約198万人(前年度同期比約12%減)となっている。開港前に見込んだ年間319万人の予測には及びそうにない。

『キーワード解説』

 神戸空港 神戸市が管理する地方管理空港。神戸市沖は60年代に国が構想した国際空港の有力候補だったが、騒音の懸念から73年に当時の市長が拒否を表明。しかし、後に市は推進に転じ、91年に国の空港整備計画に組み入れられた。神戸は関西空港と大阪(伊丹)空港を補完する地方空港と位置づけられ、1日の発着枠が30往復に限定され、国際定期便も認められていない。