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●夕張の現地視察 2010年6月21日、午前中ホテルでゴミ弁連の総会があった。総会は午前11時で終了し、その後、用意されたミニバスで夕張市内の現地視察を行った。 ミニバスによる現地視察 ●大夕張ダム視察 現地視察では、大夕張ダムを視察する。 大夕張ダムは北海道夕張市を流れる一級河川である石狩川水系の夕張川上流部に建設されたダムである。このダムは夕張川沿岸農地のかんがいを目的に北海道開発局によって建設された農業用ダムである。 1954年に着工し1962年に竣工している。 大夕張ダム湖の位置 出典:グーグルマップ 大夕張ダム湖 撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8 ●夕張シューパロダム計画視察 その後、1991年(平成3年)から建設省(現在の国土交通省)が多目的ダムとして夕張シューパロダムの建設を進めている。このダムは、2013年(平成25年)に完成する予定だが、既設大夕張ダムの155m下流に新たなより高い堤防をつくることになり、この夕張シューパロダムが完成すると、大夕張ダムは完全に水没して姿を消す。事実上ダムのかさ上げである。 夕張シューパロダムが完成すると、大夕張ダムは完全に水没して姿を消す (この図の上は東となっている。青いラインが夕張シューパロダム完成後の水位。) 撮影:鷹取敦、Digital Camera Casio Exilim EX-H10 何と夕張シューパロダムが完成するとこの鉄橋も水没する 撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8 炭鉱の町、夕張市において最後の炭鉱となった大夕張炭鉱の閉山後、地域振興策としてシューパロダムの建設は、地元ではほとんど無批判に受け入れられた。 しかし、その後、夕張市が再建団体に転落したように、ダムによる地域振興の経済的効果はきわめて疑わしく、移転地区の住民は他の市町村に転出し、地元商店街も衰退するなどけっして北海道開発局主導のこのダム開発による地域経済の振興策は功を奏しているとは言い難い。 ダム建設による地域振興策の一環として期待された観光開発は、ダム周辺整備計画の検討を行うことを目的に、「夕張シューパロダム周辺整備検討委員会」が2001年(平成13年)に設立された。 2004年(平成16年)、周辺整備の基本方針として同委員会は、「巨大ダム建設を契機として、夕張岳の自然や炭鉱・林業などの歴史を資産として守り育てる」ことを諮問したものの、周辺整備事業の主体となるべき夕張市が財政破綻することで、周辺整備計画はまったく具体化していないようだ。 2009年8月の政権交代後も、シューパロダムは20133年の完成に向け建設が進められているが、日本各地にある巨大ダム同様、官僚主導の不要な公共事業による税金・公金のの無駄使いの側面は否めず、すばらしい道南の自然や景観が破壊されている。 下は計画地には水没を前提に道路のかさ上げのための橋脚があちこちにつくられている。 撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8 ●産廃安定型最終処分場の予定地視察 夕張シューパロダムの予定地視察後、問題の産廃処分場の計画地を視察した。場所は、夕張市の中心街から南に20数km下った紅葉山地区である。 安定型産廃最終処分場の計画地 出典:グーグルマップ 夕張市紅葉山地区の現地視察 2010年6月21日 撮影:鷹取敦、Digital Camera Casio Exilim EX-H10 下は紅葉山地区の地形図である。計画地は200m級の里山の谷部分にあり、そこには沢が流れている。 安定型産廃最終処分場の計画地 出典:グーグルマップ 上記の地形の断面は、矢野氏が報告された河岸段丘となっており、その一番下の谷の部分に沢がある構造となっている。 下の写真は、紅葉山の河岸段丘の一部を示している。 夕張市紅葉山地区の現地視察(河岸段丘) 2010年6月21日 撮影:鷹取敦、Digital Camera Casio Exilim EX-H10 夕張市紅葉山地区の現地視察(河岸段丘) 2010年6月21日 撮影:鷹取敦、Digital Camera Casio Exilim EX-H10 下の写真は、その沢の部分を示している。 夕張市紅葉山地区の現地視察 2010年6月21日 撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8 下の写真の右側はまさに地滑りの可能性が高い傾斜地となっており、その下に沢がある。 夕張市紅葉山地区の現地視察 2010年6月21日 撮影:鷹取敦、Digital Camera Casio Exilim EX-H10 夕張市紅葉山地区の現地視察 2010年6月21日 撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8 崩落しやすい地質を示す石 2010年6月21日 撮影:鷹取敦、Digital Camera Casio Exilim EX-H10 計画地には熊谷氏の報告にあるように、絶滅危惧種など希少な生物が多数生息していることが分かっている。 下は沢の下流。 撮影:鷹取敦、Digital Camera Casio Exilim EX-H10 現地調査後、私たちはミニバスで新夕張空港に向かい羽田空港に戻った。 |