CO・OPが 農薬入りの冷凍加工食品を 売る時代の末恐ろしさ! 青山貞一 掲載日:2008年1月30日 |
|||||
◆青山貞一ブログはこちら! 毎日誰でもたべている食品に、こともあろうか、有機リン系の農薬(殺虫剤)が含まれていた。 有機リン系農薬(殺虫剤)が含まれていた市販のギョーザを食べたひとが、千葉県や兵庫県で食中毒を起こし、幼児が危篤状態に陥っているという。信じられないことだが事実である。 新聞情報によれば、千葉県市川市に住む飲食店の女性店員ら親子5人と、千葉市稲毛区の母娘2人が、生協で購入した中国製冷凍ギョーザを食べて食中毒の症状を起こし、入院していた。何と、市川市の5人のうち、5歳の次女は意識不明の重篤状態にあるという。保健所が調べたところ、ギョーザから有機リン系薬物「メタミドホス」が検出されたそうだ。 さらに中国製の冷凍ギョーザを食べた高砂市の男性と家族2人がやはり嘔吐や下痢などの食中毒症状を起こしていた。そしてパッケージの内側から有機リン系の農薬「メタミドホス」が検出されていた。 千葉県警捜査1課は流通経路捜査を始めたが、5人は22日夕に冷凍ギョーザを食べ、嘔吐や下痢の症状を訴えたという。また兵庫県警は食品衛生法違反容疑などで捜査を始めたそうだ。
ところで、私が大いに気になるというか、疑問視するのは、こともあろうか通称、日生協、正式名称、日本生活協同組合連合会が売ってきた、@CO・OP本場中国肉餃子30個540g、ACO・OP手作り餃子40個560g、BCO・OPとろ〜り煮込んだロールキャベツ2個×2袋入に、有機リン系薬物「メタミドホス」が検出されていたことだ。 そもそも一般消費者は、CO・OP、すなわち生協ブランドに期待するのは、食の安全、安心である。にもかかわらず、日本生活協同組合連合会の製品を食べて、食中毒になったり、幼児が危篤になるということは、絶対あってはならない。 中国から輸入した冷凍食品を、「安全・安心」を旨とする堂々と売っている生協というのはいかがなものであろうか? これは中国に対する偏見で述べているのではない。多くの食品分析、農薬分析を行う官、民それぞれの研究所の所長を経験して来た者として述べているのである。 官:長野県環境保全研究所 民:株式会社環境総合研究所(食品分析関連) 日本生活協同組合連合会は、確か、ミートホープの牛肉コロッケ偽造だか、加ト吉の冷凍食品偽装問題でも、コロッケなどを売っていたことが問題になっていた(これについては以下を参照) ◆青山貞一:これも、おそらく氷山の一角〜CO・OP 牛肉コロッケ〜 今回の一件は、日生協がしていることが、いかに食の安全、安心からほど遠い、単なるスーパー並みの流通組織であるかを立証してしまったようなものだ。 私たちは、今まで環境を考慮した食をウリにしている生活クラブ生協やグリーンコープなどと一緒にさまざまな環境調査を市民参加、組合員参加でしてきたが、今回のCO・OPブランドによる日生協によるギョーザ問題は、間違いなく消費者への裏切り行為であり、到底看過できない。 古紙再生偽装で環境省やグリーン購入ネットワークが自分の責任を棚に上げ、メーカーをテレビのニュースでも罵っていたが、下請け会社を罵れば済む問題ではないだろう。 以下は、日本生活協同組合連合会が1月30日に出した手作りギョーザ等に関する詫びである。今後このようなことがないよう品質管理体制を一層強化し、再発防止に努めてまいる所存でございます、と言っているが、ミートポープだか加ト吉の一件はどう今回の問題に考慮されていたのだろうか?
ところで、田中康夫氏に依頼され2004年4月から長野県環境保全研究所の所長に兼務で就任して間もなく、化学物質分析のベテラン研究員が中国製春雨の一部に過酸化ベンゾイルが含まれていないのに含まれているという分析結果を出し、騒動となったことがある。 県議会や地元マスコミはここぞとばかりに、田中知事、長野県政叩きの一環として連日連夜、この問題に関しバッシングが吹き荒れた。ベテラン研究者は、もちろん、故意などではなく、中国産の春雨を時間をかけ何度も繰り返し分析を行ったが、一部の中国春雨が誤分析となったのである。食品衛生法など法令違反はなく、結果として長野県が誤分析を謝罪し、原因究明を行い、事業者に報告した。また精度管理、精度保証の体制の見直し、食品分析の国際基準、GLPの徹底などの一大改善、改革も行った。 この問題に関連し、多くの流通業者は、研究所の日頃の努力に考慮され損害賠償を見送られた。 だが、日本生活協同組合連合会(東京都渋谷区)は、次のような見解を長野県に提起したのである。 すなわち、連合会は「安心・安全」を事業使命の根幹として活動している。長野県の誤検出・誤発表を受けて生協連は「食の安全」の観点から、誤公表された商品と同一工場(原料)での生産が明らかな商品を放置することはできないため回収した。補償対象商品の範囲は回収対応とした全品という基本認識を認めていただきたいと当初3500万円超の請求額を県に提起してきたのである。 田中康夫長野県政(当時)は当初、誤公表した商品のみを販売しないよう指導してきたのであり、生協連が当該商品と同じ工場(原料)で生産された商品を回収したのは、念のため、自主的に判断した結果であり、そのリスクは生協連自身が負うべきものと考えた。しかし最終的に生協連の賠償請求に対応した。額は1,777万円であった。 長野県では、土壌、水、大気、廃棄物、食品などを含め毎年何10万件の分析業務をしていた。当然、あらゆる誤分析はあってはならないが、ゼロにすることはなかなか困難であった。 とくにある種の農薬の分析には、LC/MS(液体クロマト・マススペクトグラム)という高度で高額な分析機器が必要であったが、当時の長野県にはなくベテラン研究員のノウハウや創意工夫に依存し、従来の測定分析機器であるGC/MS(ガスクロマト・マススペクトグラム)を使って分析をしていた。春雨農薬の問題はこの一例であったと言える。 ....... 今回の農薬入りギョーザ問題では、なぜか、「安心・安全」を事業使命の根幹として活動しているはずの連合会が、自ら検査せずに、激しい食中毒や危篤といった重大な健康問題を起こしていたことになる。しかも全国規模で。 連合会は、「弊会といたしましては、今後このようなことがないよう品質管理体制を一層強化し、再発防止に努めてまいる所存でございますので、何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます」と上記のお詫びのなかで述べている。だが、牛肉コロッケといい今回のギョーザといい、いずれも問題が発覚してからの対応であり、自ら未然防止的な対応をとっていない。 日本全体で定着してきた「生協」=「安全・安心」のイメージや信頼性を著しく損ねた責任を生協連はどうとるのであろうか、それを見守りたい。まさに明日は我が身なのである。 |