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<今日の一枚>

  初秋に、バッハのミサを聴く
東京オラトリエンコールの第14回演奏会
青山貞一
掲載日:2007年9月9日


 大学の友人がバッハのミサやモテットの合唱をしており、たまたまチケットを頂いたこともあり、ひさびさ東京の雑踏から離れ、本格的な教会音楽を聞いた。まるでrライプチヒやザルツブルグの教会にいるようだった。

 コンサートプログラムは、東京オラトリエンコールの第14回演奏会、指揮は岡本俊久氏だ。

 コンサート会場は東京都台東区、東上野4にある上野学園大学のクラシック専用のコンサートホール。通称、、石橋メモリアルホールだ。ここには以下の日本有数のパイプオルガンもある。


出典:石橋メモリアルホールにあるパイプオルガン
http://www.uenogakuen.ac.jp/info/campus/shisetsu.html
 

 調べたら石橋メモリアルホールには、1991年にパイプオルガンが設置されているが、コンサートホールを再開発するとかで、今年中にホールは一端が壊され、新たなホールとなるとのこと。当分の間、このパイプオルガンの音がが聞けなくなる。

 上野学園のホールは、クラシック、それもパイプオルガンと教会音楽用に作ったホールとかで、おそらくヨーロッパの教会で実測したデータをもとに残響などを設計しているらしく、実にすばらしい音響だった。サントリーホール、カザルスホールなど、多数の音楽ホールを手がけた永田穂氏の最初の作品がこの上野学園ホールだったそうだ。
 
 ところで、曲はバッハの合唱、ミサ曲、モテット2曲、ドボルザークのミサ曲です。

 ・J.S. バッハ
   ミサ   ヘ長調 BWV233
   モテット 2番  BWV226  霊は私たちの弱さを助ける
   モテット 5番  BWV229  来たれ、イエスよ、来たれ
 ・ドボルザーク 
   ミサ   ニ長調 Op.86

 ◆J.S.バッハ

 ◆J.S.バッハの作品一覧

 いずれも全楽章を演奏したので時間は2時間30分ほどととなった。ドボルザークの宗教音楽はあまり聞いたことがなかったが、考えてみればボヘミア(チェコ)出身、チェコと言えばプラハ、プラハと言えば、かのプラハ城隣にあるプラハ大聖堂がある。あの協会は中世ヨーロッパでも有数のものだろう。

 ドボルザークのミサ曲は全体として透明感が高い。キリエからアニュス・デイに移行する過程での変化が面白かった。


プラハ城とカテドラル

ドボルザーク作曲の教会音楽  ミサ ニ長調  Op.86     
 このミサ曲は1887年、46歳のときにオルガン伴奏曲。5年後にオーケストラ伴奏(オルガンをふくむ)に書きかえられた。ドボルザークの宗教的作品中〈レクイエム〉と〈スターバト・マーテル〉(哀しみの聖母)に次ぐ重要作。この曲は友人、ヨセフ・フラーブカからの注文で、19日間にいっきに作曲された。
 初演は1887年9月11日、フラーブカの邸宅にあった礼拝堂の献堂式。ドボルザーク自身の指揮のもとにオルガン伴奏で演奏された。声楽部はS.A.T.B.のソロと混声合唱。カトリック教会のミサ通常文に従っている。
  1. キリエ:「自然の神聖な美しさ」に賛嘆しながら作曲されたこのミサは、〈キリエ〉の冒頭から、ボヘミアの森の草原の中にいるような気分に包まれている。
  2. グローリア:3部からなり、「主の大いなる栄光のゆえに感謝したてまつる」の合唱にはじまる静かな中間部、やがて「主のみ聖なり」で第1部の輝かしいしらべにもどり、ポリフォニックな進行をみせて、「アーメン」で結ばれる。
  3. クレド:全曲中もっとも長大な楽章で、第1部は優雅なワルツのようなメロディーを歌う独唱にはじまり、ソロとコーラスの応唱になる。やがて「十字架につけられ」の劇的な合唱が起こる。激烈な感情表現が、中間部の前後の部分と対照される。
  4. サンクトゥス:短い楽章で、合唱が明るく力強く歌い、3.クレドの高揚した気分を持続する。
  5. ベネディクトゥス:オルガンの前奏で静かに開始され「天のいと高きところに ホサンナ」で突如として高らかに歓喜をぶちまける。
  6. アニュス・デイ:全曲中もっとも愛らしく魅力的な楽章。フーガ風に進行し、次第に感情的に激するが、最後はほとんど囁くように「平安を」となり、信仰と希望と愛のミサを静かに、深い感動をのこして終結する。

 合唱は東京オラトリエンコール会員、60数名。アリアはソプラノが奥山恵美子氏、メゾソプラノが栗林朋子氏、テノールが藤井雄介氏、バスが水野憲司氏だった。伴奏は20人規模の弦楽とフレンチホルン、オーボエ、バスオーボエ、ファゴットとパイプオルガンの構成。指揮は岡本俊久氏(もともとは早稲田のグリークラブ出身)。

 なおオルガン奏者の小林教授はその上野学園大学の教授。すばらしい演奏だった。


出典:東京オラトリエンコール公式Webより

 チケットをいただいた渡邊さんは東京オラトリエンコールの一員で、毎週、目黒側沿いの目黒区立住区センター会議室(田道)で練習をしているようだ。時たま目黒線で出会います。



 東京オラトリエンコール(合唱団)はすでに4回もバッハが活躍したドイツのライプチヒに演奏旅行をし、来年4月に5回目の演奏旅行を予定している。相当、バッハに入れ込んでいるようだ。将来、ぜひ、一度、私の好きなドレスデンの国立オペラ劇場で演奏して欲しいものだ。

◆青山貞一:ベルリン紀行(1):ドレスデン:ザクセン王国の栄華を見る


ドイツ・ドレスデンの国立オペラ劇場

 ということで、ひさびさに、中世に生きた精神文化に接することができ、心が洗われた気がした。