エントランスへはここをクリック   


笹子トンネル大事故
構造こそ問題ではないのか?!
青山貞一
東京都市大学名誉教授
掲載月日:2012年12月4日
 独立系メディア E−wave Tokyo



 
中央道山梨県、笹子トンネルの崩落事故は、本当に衝撃的な大事故であった!

 笹子トンネルのような自動車排ガス排気、清浄空気供給の構造は、全国(高速道路3社管内)に12カ所しかないそうだ。


出典:産経新聞

◆笹子トンネル
山梨県大月市と同県甲州市の間にあるJR中央本線下り線のトンネル、または、中央自動車道のトンネル。同区間のJR中央本線上り線のトンネルは新笹子トンネル、国道20号のトンネルは新笹子隧道、山梨県道212号日影笹子線(旧国道20号、甲州街道)のトンネルは笹子隧道という。

沿革
1896年(明治29年)12月 - 笹子トンネル建設開始
1902年(明治35年)7月12日 - 笹子トンネル貫通
1903年(明治36年)2月1日 - 大月 - 初鹿野(現・甲斐大和)間開業時から供用開始
1965年(昭和40年) - 新笹子トンネル完成、供用開始。従来の笹子トンネルは下り列車専用、新笹子トンネルは上り列車専用とする
1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化に伴い、東日本旅客鉄道(JR東日本)に継承
2009年(平成21年)2月6日 - 笹子トンネルが経済産業省近代化産業遺産に認定される。

構造
 

事故の状況
 2012年12月2日午前8時頃(JST)、上り線トンネルの大月市側出口から約1700m付近で崩落事故が発生した[7]。トンネルの天井である横5m、奥行1.2m、厚さ約8cmと9cm、重さ約1.2tほどのコンクリート板およそ100枚が、約110mにわたってV字型に折り重なるように崩れ落ち、事故発生時に走行中であった自動車3台が下敷きとなって燃えた他、けが人も出た。また、トンネル内では火災が発生して消防のレスキュー隊が現場に向かえないほどの黒煙が上がったうえ、その火災で発生した煙をトンネル内の煙除去装置が作動していないため排出ができず、トンネル内部に高温の煙が充満した。 事故発生時に現場を通過したNHK甲府放送局の記者は事故について、「トンネルの壁が突然剥がれ落ち、大きな衝撃を受けた。しばらくは何が起きたか分からなかったが、車の助手席側が大きくへこんでいるのに気付いた」と語っている。崩落現場で下敷きとなっていたレンタカーのワゴン車は、5名の焼死体が山梨県警の捜査員によって発見されたほか、普通乗用車から70代の男女と60代の女性が焼死体となって発見された。また、トラックを運転していて崩落に巻き込まれた食品卸売会社の男性が携帯電話で同僚に助けを求めていたが、救出時には死亡していた。事故発生から丸一日が経った12月3日まで救助活動が行われ、計9名の死亡が確認された。国土交通省によると、日本国内での高速道路における天井の崩落による死亡事故は過去に例がないとしている。事故発生日翌日の未明、山梨県警は中日本高速道路(NEXCO中日本)に対して業務上過失致傷罪で、捜査を始め、大月警察署に捜査本部が設置された。近くNEXCO中日本を家宅捜査する方針である。

出典:Wikipedia

 事故後、新聞、テレビでの識者らの論評の多くは、大事故の原因を<ボルトの老朽化>、<疲労>としていた。

 もちろん、私もそれは否定しない。しかし、トンネルの断面構造をよくよく見ると、そもそも何でこのような不可思議な構造としたのか、が問われる。

 笹子トンネルの延長は長いため、当然、自動車排ガスの本格的な換気が不可欠である。

 だからといって、トンネル上部にあのような構造で1枚1トン超のコンクリート板をボルトで吊す構造は、どう考えても構造力学上あり得ないと思う。


笹子トンネルの断面構造  



出典:毎日新聞

 どうしてもあのような断面断面にしたい場合でも、コンクリート一体構造とすべきである。

 あとから膨大な量のコンクリート版をボルトで吊すような構造はありえないと思う。ひょっとすると、一体構造とする場合より遙かに工期が短く費用が少なかったのかもしれない。

 以下はコンクリート一体構造とした場合の断面イメージである。


コンクリート一体構造とした場合の断面イメージ