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関連スレッド 公共事業 自然破壊 北軽井沢 次第に国民の関心が薄れている八ッ場ダム工事問題であるが、国民の多くは、2009年秋、民主党がコンクリートから人へと、この八ッ場ダム工事の中止を声高らかに宣言したことを政権交代のひとつの大きな成果と感じ取ったはずだ。 しかし、実際に現地を訪れてみれば、それが計画からほぼ半世紀以上に渡るあらゆる土木工事のデパートのように大規模に自然を改廃し、工事のための工事がひたすら行われてきた事実に唖然とするばかりで、何とも嫌な感じを受ける。 ◆青山貞一:止まらないダム・道路建設 PDF(印字用)版 私達は、公共政策や公共事業を評価、判断する重要な視点として、@社会経済的な必要性、A土地利用・環境面・技術面からの妥当性、B情報公開、市民参加など適正手続(Due Process)面からの妥当性の3つを掲げ、絶えず個別具体の現場で検証してきた。 出典:青山貞一、東京都市大学公共政策論のパワーポイント 八ッ場ダム事業は、どう見ても上記の必要性、妥当性、正当性のいずれもが欠けていると思える。 確かに、国道145号の付け替えや危険な曲がりくねった道が広くまっすぐに高規格化されたことで便利に安全にはなったと思う。 しかし、その一方で、東京などから訪れる観光客は、一目散に草津にたどり着くことができ、肝心な地元、長野原町や川原湯温泉は通過点となり町は廃れていくことが危惧される。 従来からダム湖で栄えた町がないと言われるように、この長野原でもすばらしい道路、鉄道、河川改修や山の斜面、下線護岸の法面はコンクリートで固められたものの、それで「万骨枯れる」ことが目に見えている。 人々は新しい道路をドライブしながら新緑や紅葉を楽しむことと思うが、そのまままっすぐ草津に流れるのは必至である。 この先、どのように長野原町や川原湯温泉街を立て直し、生活を軌道に乗せていくのか、道の駅や新駅などのハードの整備だけではまったく展望はないだろう。 まずは、今回撮影した映像、写真と後に掲載する動画から現状をご覧いただき、この半世紀、巨額を投じて政治がこの地域にしてきたことが何だったのか、じっくりと考えていただければ幸いである。 この谷間の虚構で繰り広げられている現実と実態は、日本の行く末を暗示している。かのローマ帝国が滅びた直接的な原因は、不要な土建公共事業をブリテン島、すなわち現在のスコットランドやイングランドなど英国の地まで行ったことにある。 私達は2012年7月、現地、英国でその痕跡を見てきた。八ッ場ダムはじめ日本各地で巨額の税金、借金で進められてきた巨大なダム構造物が1000年後、ハドリアヌスの長城ならぬ国土交通省の長城とならないことを願うばかりである。
<現代に通用する教訓、ハドリアヌスの土木事業撤退の英断> ハドリアヌスの長城の近くには兵士用の浴場などの遺跡が発掘されており、ローマ帝国支配時代の同地における要塞の戦力報告書や兵士、市民の人口統計調査書などが発掘されている。 ハドリアヌスはローマ帝国の東部で係争中のパルティア戦役の事態収拾にあたった。パルティアはカスピ海南東部、イラン高原東北部など中東から中央アジアにまたがる一大遊牧民の長である。 残存するハドリアヌスの長城 撮影:Nikon CoolPix S10 2012-7-25 ハドリアヌスはこれらの状況をふまえ、ローマとして防衛や植民地維持が困難なメソポタミア方面からの即時撤退を進めるとともに、隣国パルティアとの関係改善に努力した。ハドリアヌスの決定には、国境を示しそれ以上の拡大を戒める意図もあった。この結果、両国間の紛争は減少し、東部国境に長期にわたる安定をもたらしたのである。 ハドリアヌスは東方の隣国との外交問題を収拾した後、一転し国内に目を向ける。 |