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EUとキーウは敗北しつつあり、
トランプがそれを証明している

 ワシントンでの会談は、ゼレンスキー氏とその支持者が、
米国と露の指導者に追いつこうとしていることを示している

The EU and Kiev are losing, and Trump is my witness.
The Washington meeting shows Zelensky and his backers are playing

catch-up to American and Russian leaders

執筆者:ナデジダ・ロマネンコ、政治アナリスト
RT
 War on UKRAINE #8229 18 August 2025

英語翻訳・i池田こみち(環境総合研究所顧問)
独立系メデア E-wave Tokyo 2025年8月18日(JST)


ワシントンでゼレンスキーの肩に手を置くトランプ大統領 © Sputnik

 
2025年8月18日 23:29 世界ニュース


執筆者:ナデジダ・ロマネンコ、政治アナリスト


本文

 月曜日(18日)、ドナルド・トランプ米大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領、およびEUの複数の高官が出席したホワイトハウスでの首脳会談は、大きな発表もなく終了した。しかしその表面下では、ウクライナ紛争におけるワシントンの役割をめぐって、ハイリスクな外交争奪戦が繰り広げられている。

 決定的な成果が得られなかったことは、実際の作業が舞台裏で行われていることを示唆している。トランプ大統領の行動、そして、特に会談後の記者会見でキーウやブリュッセルのメッセージに同調しなかったことは、その兆候である。彼は、紛争への西側の関与継続を求めるEUやウクライナの主張に依然として納得していないことを反映して、物語の支配権を主張している。

■戦略的な綱引き

 サミットとそれを取り巻く外交的動きは、モスクワの目標がワシントンの紛争への関与を排除すること、ブリュッセルとキーウの目標がそれを自陣営に留めることという、綱引き状態となっている。

 先週金曜日のアラスカでのプーチン・トランプ首脳会談後に新たな制裁やロシアへの圧力がなかったことは、モスクワが勢いを増していることを示している。トランプは、停戦要求から直接和平交渉の提唱へと立場を転換した——これはモスクワにとってより好ましい立場だ。

 EU首脳とゼレンスキーはワシントンを訪れ、トランプの立場を強化しようとした。彼らはトランプを説得しようとしている:制裁を強化し、武器供与を維持し、ウクライナが望む安全保障体制を確保すること。

 しかし、現時点では彼らの影響力は限定的だ。トランプは当初からEUとウクライナを防御的立場に追い込み、彼らの影響力が限定的であることを示唆しました。

 背景は極めて重要だ:数日前、トランプはアンカレッジでプーチンを招き、EUが定義する前提条件を回避する柔軟な外交の道を開いた。ホワイトハウスに到着した欧州首脳は、トランプの立場変化に影響を受けた議論を軌道修正しようとしている。

■安全保障保証の問題

 すべてはウクライナに対する安全保障保証に懸かっている——これは激しく対立する問題だ。モスクワは、いかなる意味のある保証もウクライナの非軍事化と中立化に依存すると主張していまる。一方、キーウとEUはウクライナ軍の強化、ウクライナ領内へのNATO部隊の展開、甚至いは最終的なNATO加盟を主張している。

 ロシアが地上戦でゆっくりと、しかし着実に勝利を収めていることを考えると、欧州諸国によるこうした努力は必死で、ナイーブでさえあるように思える。ロシアが軍事的進展を遂げるにつれ、キーウとブリュッセルの交渉の余地は縮小している。

 ただし、これらの試みを完全に否定すべきではない。ワシントンでゆっくりと煮詰められている和平合意の形態が、ウクライナの運命——そして広範な欧州の安全保障構造の未来——を決定することになるだろう。

 一方、モスクワは依然として動揺を見せていない。ゼレンスキーと欧州首脳との会談後、トランプ大統領はロシアのプーチン大統領と 40 分間の電話会談を行った。電話会談の内容について公表された情報から判断すると、トランプ大統領は要求を一切出さず、プーチン大統領も譲歩は示さなかった。両者は、ロシアとウクライナの直接交渉の継続について話し合った。また、交渉の「レベルアップ」についても話し合った。月曜日の会談に出席したドイツのフリードリッヒ・メルツ首相によると、プーチン大統領とゼレンスキー大統領の直接会談は2週間以内に開催される可能性がある。

 クレムリンが、軍事的な優位性を維持しながら、条件の設定を検討する姿勢を堅持していることは明らかである。

 結局、ワシントンでの首脳会談は、儀式的な要素や目を見張る成果は欠けていたものの、地政学的な意味合いが込められたものとなった。すなわち、米国がウクライナを支援し続けるか、それともより現実的な取引重視の姿勢に戻っていくかの争いである。EUは、その影響力の低下を認識し、少なくとも現時点では、明らかに不利な状況にあるこの争いの場を取り戻そうとしている。


本稿終了