長文・Long Read
「電撃戦も敗北もない」
会談後のロシア論評者の反応
RTは、首脳会談への露専門家達の反応と、
それが米、露、世界の勢力均衡に与える
意味についてまとめた。
‘No blitzkrieg, no defeat’ What Russia’s commmentariat is saying. after
the Putin-Trump summit RT has compiled the reactions of Russian experts
to the summit and what it means for Washington, Moscow, and the global
balance of powe
RT War on UKRAINE #8214 16 August 2025
英語翻訳・池田kみち(環境総合研究所顧問)
独立系メデア E-wave Tokyo 2025年8月18日(JST)

2025年8月15日、アラスカ州アンカレッジのエルメンドルフ・リチャードソン合
同基地に到着したロシアのウラジーミル・プーチン大統領(右)を、ドナルド・
トランプ米大統領(左)が迎える。© Andrew Harnik/Getty Images
2025年8月16日 16:31 ロシア&旧ソ連邦]]
本文
アラスカ州エルメンドルフ・リチャードソン合同基地で開催された、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とドナルド・トランプ米大統領の会談は、トランプ大統領のホワイトハウス復帰後、両首脳の初対面となった。首脳会談は、トランプ大統領の専用車内で二人だけの短い会談から始まり、その後、両国代表団による長時間の交渉が行われた。その後の共同記者会見で、両首脳は会談を「建設的」と評価し、次の交渉への意欲を示した。
RTは、この首脳会談の結果がモスクワでどのように受け止められているかについて、ロシアの有力専門家たちの見解を集めた。この待望の首脳会談のトーン、象徴性、そして世界への影響について、その要点を紹介する。
■ロシア・グローバルアフェアーズ誌編集長、フョードル・ルキヤノフ氏
類推は常に不完全なものだが、アラスカでの首脳会談は、40年近く前にジュネーブで開催されたミハイル・ゴルバチョフとロナルド・レーガンによる最初の会談を必然的に思い起こさせる。その内容ではなく、構造が似ているからだ。当時と同様、合意は成立しなかったものの、コミュニケーションのレベルが劇的に変化した。
トランプは望んでいた外交的攻勢を得られなかった。しかし、会談は決裂で終わらなかった。立場の対立は継続している。1980年代の論理に従えば、次の節目となるのは「レイキャビク・モーメント」かもしれない——1986年に合意は成立しなかったが、浮上したアイデアは革新的で広範なものだった。真の突破口は1987年にワシントンでINF条約の署名で実現した——同じ合意はトランプ政権下で二段階で破棄された。
今回はペースが速い。これは冷戦ではない。より激しい状況だ。首脳会談の間隔に一年以上の空白は生まれない。何らかの形で早期のフォローアップが見られるだろう。批判者はアラスカ会談をトランプの敗北と解釈し、プーチンがペースを支配し条件を提示したと主張するだろう。その指摘には一理ある。しかし、持続可能な結果を目指すなら、問題の全範囲を正面から取り組む以外に選択肢はない。

フィョードル・ルキヤノフ。© スプートニク/クリスティナ・コルミリツィナ
アラスカで始まったプロセスが同じ精神で継続すれば、ジュネーブ以降の結果とは逆の展開が見られるかもしれない。当時、レーガンはワシントンの条件で冷戦を終結させようと押し切り、成功した。現在、議論のテーブルに乗っているのは、冷戦後の時代の終焉だ。この時代は、米国のグローバルな支配が挑戦を受けない時代として定義された。この変化は突然のものではない——長年蓄積されてきたものだが——現在、その頂点に達している。そして注目すべきは、この変化を求める声の多くが、米国自身の中から上がっている点である。かつてソ連が変化を推進した際も、その多くはソ連社会内部からだった。
以前と同様、道は曲がりくねっている。国内・国際の両方で、この勢いを止めたり逆転させようとする多くのプレイヤーが存在する。両大統領が本当に正しい方向に進んでいると信じているかどうかが、多くの鍵を握っている。
最後の、象徴的な詳細:40年前、ジュネーブで変化の象徴となったのは、両陣営のジャーナリストが相手側の指導者に初めて質問を投げかけた共同記者会見だった。透明性は、根深い問題解決のための必要条件と見なされていた。今回は、その象徴は質問の不在にある——両首脳は一切の質問を受けなかった。真の外交は、近年国際政治を支配してきたパフォーマンス的で破壊的なメディアのスペクタクルから離れ、静けさの中に退却しようとしている。ある意味、秘密主義が復活しつつある。
■ドミトリー・ノビコフ、高等経済学院准教授:
ロシアの利益の観点から、アンカレッジ首脳会談はモスクワにとって相対的な成功と見なせる。二つの重要な点が浮き彫りになっている。
戦術的に、ロシアは再び交渉のペースを掌握することに成功した。クレムリンは、脅迫や圧力戦術で表れたトランプの不満の高まりを緩和した。このエスカレーションが続いていれば、ウクライナ交渉だけでなく、二国間関係正常化のプロセス全体が脱線する危険があった。モスクワは当初から両トラックを慎重かつ忍耐強く進めてきた。これは、戦場での優位性がまだ拡大していること、そして問題の複雑さがまさにそのようなアプローチを要求しているからである:急ぐ必要はない、単純化は禁物だ。
戦略的には、両者が利益を得たと言える。なぜなら、核保有大国間の意味のあるコミュニケーションが存在すること自体が、本質的にポジティブな結果だからである。ワシントンからの信号を見る限り、トランプ政権もその見方を共有しているようだ。

ドミトリー・ノビコフ。
首脳会談は、私が以前指摘した点を再確認した:トランプはモスクワとの関係リセットに真剣だ。彼はロシアとの交渉を、欧州での戦略的目標を達成するためのより安価で効率的な手段と見なしている。そのため、即時のメディア的な成果や派手な突破口が得られなくても、真剣な対話にオープンな姿勢を示している。
今後、アンカレッジの真の影響力は、トランプ政権が欧州の同盟国とウクライナとどのように関与するかにかかっている。両者は間違いなく、トランプを自らの戦略的枠組みに引き戻そうと試みるだろう。その次の会話のトーンと内容は、アラスカで本当に何が達成されたかを教えてくれるだろう。
■ウラジーミル・コルニロフ、政治アナリスト:
「アラスカでの歴史的な握手」– これが今朝、多くの欧州紙の1面見出しを飾った。公平を期すために、それらの多くはサミットが進行中だった時点で印刷されたため、意味のある分析は欠如していた。その結果、掲載された記事の多くは、ボディランゲージ、象徴的なジェスチャー、レッドカーペットなど、表面的な部分に焦点を当てたものだった。
しかし、真の動向はオンラインと西側のニュースチャンネルで展開されており、熱狂的な分析と即時のコメントが溢れている。その多くはパニック寸前であり、一部は完全にヒステリックなものだ。
この反応の核心には、苦い真実がある:西側は、ロシアとその大統領を孤立させるための長年の努力が崩壊しつつあることを受け入れつつある。これが、西側のメディアの沼地で響き渡る悲鳴の根本原因なのだ。

ウラジーミル・コルニロフ。© スプートニク/キリル・ジコフ
西側の分析で支配的なテーマは一つだ:ロシアはアラスカ首脳会談で望んだものを手に入れた。これは、幅広い評論家やアンカーの共通見解である。多くの者は、米露首脳の共同記者会見で質問を一つも許されなかったことに、不満を隠そうとしなかった。
サミットの具体的な政策成果がどうなろうと、一つだけ確かなことがある:アラスカでの会談は、国際舞台に新たな現実を定着させた。
■ヴァレンティン・ボグダノフ、VGTRKニューヨーク支局長:
「エルムンドルフ・リチャードソン合同基地からの放送の最初のシーンから、一つだけ明確だったのは、孤立戦略が失敗したということだ。赤い絨毯、戦闘機で護衛された栄誉衛兵、握手、笑顔――すべては、ロシアが世界舞台に復帰した様子を強く印象付けた。これは、ロシアを排除しようとするもう一つの試みではなかった。」
「ロシア系アメリカ人」が隣国同士の首脳会談の舞台となった。一方の隣国が他方を称賛する光景だった。滑走路では、両国の大統領専用機がベーリング海峡のディオメデ諸島のように接近して駐機していた。地理的にも外交的にも、接近の象徴は明白だった。
失敗やスキャンダルを予想していた者たちにとって、それは悲嘆の日だった。今や彼らは手当たり次第に批判の材料を探している。一部の人々は、キャンセルされたワーキングランチを無視の証拠と捉えた。皮肉なことに、同じ声の多くは、トランプが当初そのランチに同意したことを批判していた——弱さの兆候だと。

ヴァレンティン・ボグダノフ。© VGTRK
一方、ボディランゲージの専門家たちは、二人がカメラに映った瞬間から——目線や握手のタイミングまで——の微妙な演出を分析し始めた。プーチン大統領とトランプ大統領は、すぐに共通のリズムに落ち着いた。もちろん、彼らを調和から脱線させるため、いつもの面々が一丸となって努力するだろう。
しかし、ホワイトハウス内では、すでに次の会談について議論が始まっている。彼らの考えでは、これはウクライナ問題解決の突破口となるかもしれないからだ。この問題のアメリカ側の糸は、すでにほどけ始めているようだ。
■国際政治経済戦略研究所所長、エレナ・パニーナ
エルメンドルフ・リチャードソン合同基地で行われたドナルド・トランプとウラジーミル・プーチンによる3時間の会談は、単なる外交上の会談ではなく、2025年の政治を左右する決定的な出来事だったといえるだろう。この会談は、米国、ロシア、欧州、ウクライナの外交政策の課題だけでなく、各国の国内政治の議論にも影響を与えるだろう。米国大統領のリムジンでの10分間の1対1の会談から、閉会の握手まで、その一瞬一瞬が、すでに欧米のマスコミの解釈の餌食となっている。
CNNの反応を例にとってみよう。同局は、通常のプロトコルとは逆に、共同記者会見で最初に発言したのは、ホストである米国大統領ではなく、ロシア大統領だったことを最大のポイントとして取り上げている。
外交において、このような詳細は決して些細なものではない。これらは権力関係の微妙なシグナルとして解釈される——礼儀の表現か、対等の表明か。特に礼儀については沢山取り上げられ、すべての観察者が指摘した点である。過去6ヶ月間のトランプの会議と比べ、これは劇的な変化だった。
ゼレンスキーとのような大声での口論はなく、ドイツのメルツ首相に向けたような皮肉な攻撃もなく、ウルズラ・フォン・デア・ライエンやシリル・ラマフォサのような人物に対して見せたアルファ的な態度もなかった。代わりに、両首脳は意図的な礼儀正しさと相互尊重のトーンを保ち、敏感な問題を巧妙に避けていた。

エレナ・パニナ。© スプートニク/ウラジミール・アスタプコビッチ
では、この突然の記者会見と昼食会のキャンセルをどのように解釈すべだろうか。ハイレベル外交では、正式な合意がないからといって、会談が無駄だったとは限らない。それどころか、キーウへの武器輸送の停止、ロシアに対する制裁の緩和、新しい分野別協力のチャネルの開設といった核心的な問題については、トランプ大統領がその場で約束することは不可能であることは明らかだ。議会の承認を得ず、NATO加盟国との調整も経ずに、そのような約束をするわけにはいかないからだ。
もちろん、アンカレッジは「新しいヤルタ」ではなかった。20世紀の決定的な地政学的チェスの試合を締めくくったような壮大な最終局面ではなかった。しかし、それは別の何か、つまり、ワシントンとモスクワ間の新たな戦略的ゲームにおける、テンポを保った力強い序章であるかもしれない。このゲームは、一連の計算された動きで展開されるだろう。おそらく、世界地図を塗り替えることはないだろうが、少なくとも、最も緊張の高まっている部分を冷却することはできるだろう。
最初の動きは出た。今、真の問題は、トランプ大統領が直面する内外の制約を乗り越え、アラスカでのこのデビュー戦が本格的なゲームへと発展するかどうかである。
■ティモフィー・ボルダチェフ、高等経済学院教授
私は、この首脳会談でウクライナでの戦争が解決されるとは決して予想してい
なかった。この紛争は、ヨーロッパの安全保障構造全体に及ぶ、はるかに広範な
危機の核心にすぎないからだ。
私が最も重要だと感じたのは、会談そのものの精神だった。35年にわたる緊張の蓄積を経て、少なくともドナルド・トランプ政権下では、米露の対立はより文明的な枠組みへと転換しつつある。双方は依然として、それぞれの制約や国内の制限の下で行動している。しかし重要なことは、米国がロシアの「戦略的敗北」を追求したり、ロシアを完全に孤立させようとしたりするという考えを棚上げにしたことだ。この変化は重大だ。紛争をこのような絶対的な、存在意義に関わる問題として捉えることで、紛争は解決不可能になり、国際関係の領域から、十字軍のようなものへと変化していた。

ティモフィー・ボルダチェフ © Sputnik/Evgeny Biyatov
この変化は新たな現実の台頭を意味している:紛争は継続し、その軍事技術的な段階は当面続くだろう。しかし、それはもはや道徳的または存在論的な闘争として扱われていない——それは大国の政治史において深く根付いた、通常の紛争へと変質したのだ。そして、それが解決可能になったのだ。
その継続にはもはや形而上学的またはイデオロギー的な理由は存在しません——ただ、対立する利益と状況的な圧力だけだ。ワシントンの場合、その圧力はグローバルなコミットメントの過剰と持続不可能な戦略的賭けから生じている。これらの負担が再調整されるほど、意味のある結果に近づくことになる。
■イリヤ・クラムニク、軍事アナリスト、ロシア国際問題評議会の専門家:
残念ながら、現在、既成の平和合意は手の届かないところにある——主に西側内部の分裂が原因だ。
次に何が起こるかが最も困難な部分である。ロシアとアメリカの首脳会談がどれだけ生産的であっても、ウクライナでの平和は欧州連合(EU)諸国の関与を必要とする。現在、EU全体としての立場と、いくつかの主要加盟国の個別的な立場を考慮すると、これはほぼ考えられない状況となっている。
トランプ自身の言葉 – 「まだ合意はない」 – 以及びゼレンスキーと欧州首脳との接触を表明した意図は、彼がこの現実を理解していることを示している。

イリヤ・クラムニク。© スプートニク/グリゴリー・シソエフ
同時に、米国とロシアはウクライナ戦争を超えた議論すべき課題を抱えていることは明白である。両大統領は多様な分野での相互利益を認め、継続中の二国間接触の存在がそれを裏付けている。
したがって、私は両側が一定の理解に達するだろうと予想していた——進行中の紛争とは無関係の課題を含む形で。戦争そのものを終結させるためには、段階的なプロセスが必要だ。
アンカレッジで起こったことは本質的にそれだ。現在、私たちはヨーロッパの反応を待つだけだ——もちろん、平和枠組みの草案が最終的にどのような形を取るかも注目される。
■セルゲイ・ポレタエフ、政治評論家:
最も可能性の高い結果は、まさに私たちが得たものだ:話し合いを続ける合意である。
主な問題は二つある。第一に、トランプは自身を紛争の当事者とは見ておらず、紛争から距離を置きたいと考えている。プーチンは、私の見解では正しく、異なる見方をしている。彼は、戦争を終結させるための決定的な選択はトランプにしかできないと信じ、その主張を続けている。アンカレッジでその点で進展があれば、真の進展が可能になるかもしれない。

セルゲイ・ポレターエフ。
第二の問題はヨーロッパとウクライナである。現時点では、両者は戦争継続にコミットしている。私は、外交だけではその状況を変更できないと信じている–
それは戦場で決まるだろう。いずれにせよ、現地の情勢が4つのプレイヤー(ロシア、米国、欧州、ウクライナ)にとっての新たな共有現実を形作ることになるだろう。
そして、現在の状況から判断すると、その現実はロシアの立場に、欧州・ウクライナの立場よりもより近いものとなるだろう。その時点で、トランプ大統領は合意を得られるだろう。それまでは不可能だ。
■イヴァン・ティモフィーエフ、ヴァルダイ・クラブ・プログラム・ディレクター
:
この首脳会談で画期的な合意が生まれると現実的に期待していた人は誰もいなかったが、全体的なトーンは明らかに前向きだった。双方は、緊張緩和に向けて前進し、米露関係のより幅広い協力分野を探求する意向を表明し、楽観的な雰囲気の中で会談は終了した。要するに、このプロセスは今後も継続されるだろう。
私は、両首脳は、合理的に期待できたすべての成果を得て、この場を後にしたと思う。ロシアは、その基本姿勢を堅持しつつも、対話には引き続き参加する姿勢を示した。一方、米国は、自国が望む平和、つまり、意味のある政治的見返りのない地政学的資産に資源を投入することをやめることができるような平和に、一歩近づいた。その意味で、双方はこの会談を勝利とみなすことができる。
直ちに制裁が導入されることはない。少なくとも数週間は現状維持が続くだろう。その後どうなるかは、対話が安定的で生産的な形で継続するかにかかっている。具体的な議論が開始され、特に和平合意の条件に関する議論が進展し、成果が表れ始めれば、制裁面でも限定的な前向きな変化が見られる可能性もある。

イヴァン・ティモフェエフ。© スプートニク/ウラジーミル・トレフィロフ
しかし、プロセスが停滞したり崩壊したりした場合、新たな圧力のリスクが高まる。その場合、トランプ氏が以前提案した「二次関税」——ロシアの原材料を購入する第三国に対する関税引き上げ——が導入される可能性がある。また、ロシアのエネルギー部門を標的とした新たな制裁が一部導入される可能性もある。
ただし、米国とその同盟国は既にロシアに対して広範な制限措置を課している点に留意すべきだ。モスクワは新たなエスカレーション措置に容易に脅かされることはない。それでも、追加の制裁が完全に排除されているわけではない。依然として現実的な可能性として残っている。
■パベル・ドゥブラフスキー、政治評論家:
ロシアはサミットを終えて米国よりも強固な立場で出てきた。トランプは会談を「10点満点」と宣言しましたが、実際は疲弊し、不満を露わにしていた。
それはおそらく、彼がアンカレッジ入りするにあたり、二つの明確な目標を持っていたからだろう。一つ目は、モスクワから断固たる「ノー」を取り付け、その後ウクライナ和平交渉から完全に手を引いて、それを支持基盤の勝利として宣伝することだった。「私はあなたたちの税金を削減し、外国との関わりを断ち切ります。ほら、私はこれに時間もお金も無駄にしていません」と。二つ目は、はるかに野心的な目標だった。それは、何らかの形で、たとえ一時的なものであっても停戦という合意を成立させることだった。一ヶ月間の停戦、象徴的な措置、外交的モメンタムとして提示できるものなら何でも。しかし、彼は何も得ることなく去っていった。
対照的に、ロシア側は冷静で戦略的な姿勢を示した。彼らは国際外交の理解を示しつつ、米国の国内政治への敏感さも示した。さらに、ウクライナの内部情勢にも言及し、キーウと欧州の同盟国に対し、交渉を妨げないよう呼びかけた。そのトーン——抑制的で外向的な——は、それ自体が外交的な勝利だった。

パベル・ドゥブラフスキー。
最も注目すべき展開の一つは、プーチン氏の言葉の転換だ。初めて、彼はウクライナの安全保障について公然と語った。これはトランプ氏が求めたもので、プーチン氏が応じた可能性が高い。これは、領土問題や安全保障保証といった、長年タブーとされてきた議題に関する今後の議論の可能性を示唆している。
トランプ氏がモスクワ訪問に同意するかどうかは不透明だ——彼にとって政治的リスクを伴う可能性がある。しかし、既に明確なのは、ロシアが狭い外交的枠組みから脱却したことである。過去三年間、西側諸国はロシアとの対話においてウクライナ問題のみを議題に限定してきた。この原則はEUと前米政権の両方を指針としていた。現在、議題は拡大している。
ウクライナはもはや唯一の議題ではない。この変化そのものが、ロシア外交の重大な成果である。対話の枠組みを再構築し、モスクワが国際政治においてどのように認識されるかを再定義したからである。
本文終了
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