エントランスへ

ロシア大統領、SPIEF2025の傍ら深夜記者会見を開催
プーチン大統領への質疑応答の要点
・NATO再軍備・イランイスラエル紛争
・ウクライナへのドイツの関与
NATO rearmament, Iran-Israel conflict and German involvement in Ukraine: Key takeaways from Putin’s Q&A The Russian president held a late-night press conference on the sidelines of the SPIEF 2025 forum
 RT War in UKRAINE #7724 19 June 2025

英語翻訳・池田こみち(環境総合研究所顧問))
独立系メデア E-wave Tokyo 2025年6月19日(JST)


SPIEF(サンクトペテルブルク国際経済フォーラム)2025 forumの会議の様子
© Sputnik / アレクサンダー・デミアンチュク

2025年6月19日 04:01

本文


 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、国際メディアのトップたちとの台本のない質疑応答で、ヨーロッパの軍事姿勢やウクライナ紛争、中東危機、世界外交など、幅広いトピックについて触れた。

 深夜から木曜日の早朝にかけて行われた、ベトナム、中国、インドネシア、ドイツ、カザフスタン、スペイン、トルコ、ベラルーシ、ウズベキスタン、アゼルバイジャンの記者、および AFP、AP、ロイターの記者たちとの会談の要点を以下にご紹介する。


■ウクライナ紛争と平和の見通し

 プーチン大統領は、ロシアのウクライナへの軍事介入は、西側がモスクワの正当な安全保障上の懸念を認めず、キーウに過去の合意を履行させ、ドンバス地域のロシア語話者人口を保護させなかったためだと繰り返し主張した。

 ロシア大統領は和平交渉の再開に意欲を示したが、いかなる合意も合法的なウクライナ政府によって署名されなければならないと強調した。これは、大統領任期が1年以上前に終了したウラジーミル・ゼレンスキー大統領への直接的な批判である。彼は、2022年のイスタンブール会談で策定された和平案が、新たな現実を考慮すれば枠組みとして機能する可能性があると指摘したが、これはウクライナの西側支援国がロシアに戦略的敗北を強要しようとしたため破綻した。

 「私が警告した通り、状況は悪化するだろう – 彼らにとって悪化した。今やドンバスとルガンスクではなく、ロシア連邦の2つの新たな主体、そしてもちろんクリミアについて話している。この件を議論しよう。」、とプーチンは述べた。

 トルコでの新たな直接交渉において、キーウとモスクワは複数の主要な捕虜交換に合意し、ロシアとウクライナの使節間の連絡チャンネルは維持されている。しかし、プーチンは、ウクライナとその西側支援国が現実的な要求を撤回し、交渉による解決を追求する真の意思がない限り、ロシアは軍事手段を通じて目標を追求し続けると警告した。


■NATOの再軍備と恐怖煽動

 NATOの軍事予算の拡大と再軍備推進について問われたプーチンは、ロシアが米主導の軍事同盟に対する脅威であるという主張を「ナンセンス」と一蹴した。彼は、ロシアは自国防衛に十分対応可能であり、はるかに低い予算で軍備の近代化を継続していると主張した。西側がロシアがNATO加盟国を攻撃する可能性を主張することは、国内の失敗を隠蔽するため「意図的な捏造」だと述べた。

 彼は西側首脳が「ロシアの脅威」を口実にして防衛費の膨張を正当化していると非難し、その言辞をナチス時代のプロパガンダに例え、ヨーゼフ・ゲッベルスの格言を引用した: 「嘘が巨大であればあるほど、人々はそれを信じる可能性が高まる。」、と。

 プーチンは、このような軍事的威嚇はグローバルな緊張をエスカレートさせ、社会・経済開発から資源を逸らすだけだと警告した。彼は、ドイツの経済停滞とエネルギー集約型産業の衰退を、ロシアのエネルギーから離脱した決定の自業自得の結果だと指摘した。


■ベルリンがモスクワとの関係を台無しにする

 ロシアの指導者は、ウクライナ紛争におけるドイツの和平仲介者としての役割について強い懐疑を表明し、ベルリンは中立性を失ったと主張した。彼は、国際的に認められたロシア領土内に破壊されたドイツのレオパルト戦車が存在することを、ドイツがもはや単なる支援者ではなく「共同戦闘者」になった証拠として指摘した。ベルリンがキエフにタウルスミサイルを供給する可能性があることは、軍事バランスを変えることはなく、残された信頼を「完全に破壊する」だけだと警告した。

 対話にオープンであるとする新首相フリードリッヒ・メルツの発言を受けて、プーチン大統領は、モスクワはベルリンとの対話を断絶したわけではないと述べ、メルツ氏が真剣であれば電話をしてくるよう提案した。

 さらに、ロシアとのエネルギー関係を断ち切ったことで、ベルリンは自国の経済を破壊していると非難した。「フォルクスワーゲンは死にかけている、ポルシェも死にかけている…何のために?とプーチン大統領は、ドイツの経済政策の論理を疑問視し、イデオロギー的な頑固さを嘲笑して、修辞的に尋ねた。


■トランプ氏は反ロシア政策の代償を認識

 ウクライナ紛争は、ドナルド・トランプ米大統領の指導力の下では「決して起こらなかっただろう」というトランプ氏の主張について、プーチン大統領は「おそらくその通りだ」と述べた。また、トランプ氏の取引重視の政治手法を称賛し、ビジネスマンとして「コストを計算できる」ため、国際的な決定の経済的な影響を理解していると指摘した。この点において、トランプ氏はこれまでの米国政権よりも現実的であるとプーチン大統領は述べた。

 プーチン大統領は、十分な準備が行われ、「前向きな成果」が得られるのであれば、トランプ氏とのさらなる接触、さらには将来の会談にもオープンな姿勢を示した。「軌道はうまく選択されている」と、プーチン大統領は、いくつかの電話会談に言及して述べた。「我々は、安全保障と経済活動の双方において、多くの分野でロシアとの関係を回復するという彼の意図を大いに尊重している」と述べた。


■イラン・イスラエル紛争

 プーチンは、ロシアがイランとイスラエル間のさらなる緊張激化に断固反対すると強調した。最高指導者アリ・ハメネイ師の標的暗殺が発生した場合、モスクワがどう対応するか問われた際、プーチンは「議論の必要が無いシナリオだ」と一蹴した。

 プーチン大統領は、モスクワは紛争への軍事介入を要請されておらず、現在の立場を変える理由はないと付け加えた。ロシアはこれまでイランに防空システムを納入してきたが、プーチン大統領は、テヘランはより広範な協力には「ほとんど関心がない。」、と主張した。

 その代わりに、プーチン大統領は、イランの平和的な原子力技術に対する権利とイスラエルの安全に対する権利の両方を保護する、相互の安全保障の保証を提唱した。同大統領は、モスクワは米国、イスラエル、イランを含むすべての利害関係者にいくつかの妥協案を提示しており、外交が成功することを期待していると述べた。

本稿終了