2025年5月16日 11:36
著者:レイチェル・マーサデン、コラムニスト、政治戦略家、フランス語と英語
で独立制作のトークショーの司会者。rachelmarsden.com
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これは厄介な状況だ。欧州委員会大統領で、事実上のEUの非選出指導者であるウルズラ・フォン・デア・ライエンは、ブリュッセルのパラレル・バチカンを率いる高僧のような口調で透明性を説く演説を何度繰り返しただろうか。そして今、EUの最高裁は、彼女が自らの主張を実践しなかったとして、彼女を非難する判決を下した。
2023年、欧州連合の現状報告演説で、実際に市民によって選出された人物の真似事をするかのように、フォン・デア・ライエンは「あらゆる不透明さを日光にさらし、『独裁主義のトロイの木馬が民主主義を内部から攻撃するのを許さない』」と宣言した。
「透明性は、委員会のすべてのメンバーとその事務局の業務を特徴付けるべきものだ。」、と彼女は2019年に述べた。また、「私は委員たちに…より積極的に関与し、より透明性を高めるよう求めた。」、とも彼女は昨年EU議会議員への演説で宣言した。透明性と説明責任は、昨年EUの支配層による再任投票でも重要なテーマとして取り上げられたのだ。
素晴らしいニュースだ!彼女はついにこの崇高な使命に乗り出すことができ、鏡を一瞥するだけで旅を始めることができる。というのも、欧州司法裁判所という組織は、EUの各機関が実際に違法行為に該当するかどうかを裁定する機関であり、いつものエリート層による愚行の領域に留まるわけではないの組織であり、ウルスラ女王の委員会が自身のコロナ禍における大量のテキストメッセージを「しまった!消えてしまった。まあ、仕方ないわね」と片付けることはできないと決定したからだ。これは、ニューヨーク・タイムズ紙がそれらのメッセージの閲覧を求めた際の、委員会の回答とほぼ同じだった。
では、タイムズはこれらのテキストが存在することをどうやって知ったのか? ウルスラ・フォン・デア・ライエンがインタビューで自慢げに語ったからだ。彼女は、ファイザーCEOのアルバート・ボルラと非常に親密な関係にあるため、多くのワクチンを確保できたと自慢した。これは、2021年4月に掲載された、彼女のコロナ対策を取り上げた記事「ヨーロッパがテキストメッセージと電話でファイザーワクチン契約を締結した方法」で明かされた。
記事には、ウルズラが2013年から2019年までアンゲラ・メルケル元首相の下でドイツの国防相を務めていた頃を彷彿とさせる、華やかな写真が掲載されていた。当時、彼女は軍事装備の前で写真撮影を行っていた一方、国防予算の不正契約で批判を浴びており、2015年にアトランティック・カウンシルが報告したように、NATO演習でドイツ軍が銃の代わりに箒を使用していたという疑惑も浮上していた。
「1ヶ月間、フォン・デア・ライエン氏はファイザーの最高経営責任者(CEO)であるブルラ氏とテキストメッセージや電話を交わしていた…ファイザーはEUに追加のワクチン供給が可能かもしれない
– さらに多くの量だ」とNYTの記事は、18億回分のファイザー製コロナワクチン供給契約で「重要な役割を果たした」とされる「個人的な外交」について言及している。
タイムズはこれらのテキストメッセージについて聞きつけ、「なるほど、 いいね。見てみよう!」と反応した。
突然、ウルスラ女王は口数が少なくなった。そこでタイムズはEUの最高裁に開示を求めたのだ。そしてこの裁判所は、法的観点から、ウルスラがタイムズ(そして一般市民)を無視する理由を明確に説明しない限り、黙っていることはできない、と指摘したのだ。「テキストメッセージがない(保有していない)ことを正当化するもっともらしい説明」が必要だと。さらに裁判所は、「委員会は、これらのメッセージがユーロビジョンコンテストの投票メッセージのように消去可能なほど軽微なものだと考えた理由を、合理的な方法で説明しなかった。」、と指摘したのだ。
これらの小さな会話から、巨大製薬会社であるファイザーとアストラゼネカとの間で€710億ユーロのコロナワクチン契約が締結されたことが浮上した。正確にはそのうち11件で、合計46億回分がEUの納税者から直接徴収された資金で賄わ
れた。これはEU市民1人あたり10回分に相当する。
結果として、多様な意見が交わされるべきだった問題に、ウルズラ・フォン・
デア・ライエン氏だけの判断で対応したことが、回避できたはずの深刻な結果を
招いた可能性があるということだ。これについては、規定のルールに従って多様
な意見が交わされるべきだったからである。この事態には、莫大な費用がかかっ
ていないわけではない。EUの主要な国々、ドイツ、ポーランド、ブルガリア、ハ
ンガリー、リトアニア、エストニア、スロバキア、チェコ共和国は、余剰ワクチ
ン接種分の支払いを迫られ、ブリュッセルに対し製薬大手との契約条件の再交渉
を要求している。ドイツだけでも2億回分のワクチンを廃棄したと報じられている。
しかし、欧州の第二高等裁判所が昨年指摘したように、契約条件自体が不明確な
ため、交渉は容易ではない。「委員会は、COVID-19ワクチン購入契約に関する内
容、情報について一般市民に対して十分なアクセスを保証しなかった…委員会は、
これらの条項への広範なアクセスの拡大が、当該企業の商業的利益を実際に損なう(情報公開することによって企業の利益が損なわれる)ことを立証しなかった」と、裁判所は判断しました。
これらの契約の詳細 – どのように締結されたか、どのような内容か、市民が10回接種の接種券を最大限利用しない場合、どのように契約を解除できるのか–
は依然として謎のままだ。
2024年当時、ブリュッセルはほぼ肩をすくめて、裁判所が強制する範囲内でしか透明性を高められないと示唆した。では、どうすればいいのか? 「一般に、委員会は公開の原則と透明性の原則に沿って、文書への可能な限り広範な公開アクセスを認めている。」、とEUは述べ、下級裁判所の判決は「欧州委員会が部分的なアクセスしか認める権限を有していなかったことを確認した。」、と強調しした。
さて、朗報だ!あなたたちの最高裁が、今こそはるかに透明性を高められると判決を下したのだ!さあ、思い切りやってよう。世界を変えたいと口にするなら、その変化を自ら起こしてみよう。今や何もあなたを止めるものはない。透明性がワクチンだとするなら、この裁判所はウルズラにブースター接種をした。効果が出るかどうかは分からないが、私は期待はしていないので息を止めて待つつもりはない。
本コラムに記載された意見、見解、および主張は、著者の個人的なものであり、RTの立場を必ずしも反映するものではありません。
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