BRICS+ Global East & South News
西側諸国は崩壊しつつある。
ロシアと中国がすべきこと
旧世界は衰退しつつある。モスクワと
北京は新しい世界を構築している
The West is breaking up, here is what Russia and China must doThe old world
is fading. Moscow and Beijing are building the new one
RT War in Ukraine #7379 1 April 2025
英語翻訳・池田こみち(環境総合研究所顧問)
独立系メデア E-wave Tokyo 2025年4月2(JST)

Outreach/BRICS Plus会議の全体会議における、ロシアのプーチン大統領と
中国の習近平国家主席(左)。© Sputnik
2025年4月1日 08:46
筆者:ティモフェイ・ボルダチェフ
ヴァルダイクラブ プログラムディレクター
※注:2025年1月11日に投稿した以下の論考もぜひお読みください。著者は同じです。
◆抵抗:この地域は西洋支配の影に耐えている偉大なるバランス法則:大ユーラシア安定への道 The resistance: This region perseveres in the shadow of Western dominance.
The Great Balancing Act: Greater Eurasia’s path to stability ティモフェイ・ボルダチェフ著 RT
War on Ukraine #6827 翻訳・青山貞一 11 January 2025
© スプートニク/ アレクサンドル・クリャジェフ
© スプートニク/ アレクサンドル・クリャジェフ
本文
近年、ロシアと中国は、多極化、主権、国際法の尊重を志向する世界の旗手として台頭してきた。世界的な危機や地政学的な混乱を乗り越えてきた両国の戦略的パートナーシップは、今や、外交政策や発展における独立性を求める国家のグループが拡大する、いわゆる「世界の多数派」の基盤となっている。
制裁や情報キャンペーンを含む欧米諸国からの強い圧力にもかかわらず、モスクワと北京は協力関係を維持し、さらに深めている。このパートナーシップは両国にとって重要であるだけでなく、世界的な意義も持つ。大国が国際的な規範を尊重しながら、覇権構造に挑戦する方法を示すモデルとなるのだ。
ロシアと中国が自国のパートナーシップを強化する一方で、西側諸国で進行中の大きな変化にも注意を払う必要がある。特に米国と欧州におけるこれらの変化は、新たな機会をもたらすが、同時に理解し対処しなければならないリスクも存在する。
■西側諸国の分裂
まず、米国と欧州の同盟国との間に大きな隔たりが生じている。ワシントンが下したいくつかの決定に対して、西ヨーロッパの首都が落胆と混乱を表明しているのを目にしており、戦略麺でのギャップが広がっていることを示している。これらの国々は、ますます予測不可能になる米国に対応しようと方向転換を図っているが、相互の誤解は増大する一方である。かつては首尾一貫した統一された「集合体としての西側」であったものが、今では競合する利害とビジョンが入り組んだパッチワークとなっている。
この分裂は、ロシアと中国の政策立案者や専門家にとって、特に注意を要するものである。米国とEUの関係を監視し、共同分析を行うための協調的なアプローチは、今後の舵取りに不可欠である。
第二に、西側諸国の政治エリート層内部の分裂が拡大している。一方の陣営は、世界的な変化と国内の社会経済的課題に適応する必要性を認識している。他方では、時代遅れのグローバリズムモデルに固執し、衰退の根本原因に対処することなく、西側の優位性を維持しようとしている。
この内部対立は、政治的極論が極端化している米国において特に顕著である。この闘争の帰結はまだ明らかではない。しかし、ロシアや中国に対するものも含め、より不安定で攻撃的な外交政策につながる可能性がある。欧米のエリート層は、自らの内部的な失敗を外部化するために、世界的な緊張を高めようとするかもしれない。モスクワと北京は、この可能性に備えなければならない。
■戦略的経済協力
ロシアと中国の経済関係は、米国と欧州が両国(露・中)を孤立させようとする執拗に試みているにもかかわらず、強靭であることが証明されている。しかし、ここ数年で脆弱性が明らかになっている。制裁や二次的圧力の脅威は、貿易の流れを混乱させ、プロジェクトを遅らせている。両国政府にとって重要な課題は、弱点を特定し、安全策を講じることである。
両国の協力を外部からの干渉から遮断することで、相互の信頼を強化し、政治的連携のためのより強固な基盤を構築することができる。これは、欧米諸国の圧力が続く限り、特に重要となる。
■欧州の役割
西欧は依然として世界情勢における複雑な要因である。その経済的影響力は依然として大きく、特に中国にとっては重要であり、その文化と政治の進化は注視に値する。ロシアと中国の分析家は、この地域の将来の役割について評価が異なることがある。しかし、どちらの側もそれを無視すべきではない。
ヨーロッパ諸国で今後起こる政治的変化は、より現実的な指導者たちに道を開く可能性がある。もしそうであれば、モスクワと北京は関与する準備を整えていなければならない。現在でも、関係が悪化しているにもかかわらず、西ヨーロッパは依然として重要なパートナーであり、より広範な戦略方程式における変数である。
■西側の分断統治戦術に対抗する
米国の政策立案者たちは、露中のパートナーシップを弱体化させることに関心を抱いていることを隠していない。中には、ユーラシアの統合が深まるのを防ぐために、モスクワを北京から引き離そうという考えを口にする者もいる。米中関係が悪化すれば、こうした動きは特に激化するだろう。
ワシントンがサイバーセキュリティ、人工知能、核兵器管理などの問題について、露中と個別に対話しようとする可能性は十分にある。その狙いは、相違点を浮き彫りにし、利害が対立しているかのような幻想を生み出すことにある。
このような動きには、警戒と団結をもって対応しなければならない。ロシアと中国の間には、20世紀半ばの歴史的な緊張に匹敵するような深刻な対立はない。現在の戦略的連携は、共有する価値観と現実的な利害関係に基づいている。しかし、この結束は政府レベルと社会レベルの両方で絶えず強化されなければならない。
■拡大する社会と科学のつながり
両国の国民の認識には、依然として古い固定観念の名残が残っている。人と人との交流、教育プログラム、学術協力の面では進展が見られるものの、さらに多くのことが可能である。科学、教育、文化面でのイニシアティブにおけるより緊密な協力は相互理解を深め、残る不信感を払拭することができる。
二国間関係の社会的基盤を強化すれば、外部からの干渉に耐えることができるようになる。政治的な意志は存在する。今こそ、それを具体的なイニシアティブに変えるべきである。
■ユーラシアの共有未来に向けて
最後に、中国とロシアは平和で繁栄する大ユーラシアの形成という責任を共有している。両国は共に、外部からの干渉を阻止し、大陸全体における紛争を管理することに尽力している。この広大な地域における開発、連結性、紛争解決に向けた戦略を調整することは、望ましいというだけでなく、不可欠である。
ユーラシアの未来は、モスクワと北京が自らのビジョンをいかに効果的に調和させることができるかにかかっている。これは単なる学術的な議論ではなく、長期的な影響を伴う現実世界の課題である。
■結論
ロシアと中国は、世界が大きく変化する時代を生きている。両国のパートナーシップはすでに世界政治において最も重要なもののひとつとなっている。しかし、欧米の力学の変化、特に米国と欧州における新たな危機は、両国に危険と機会の両方を提示している。
両国が共有する利益を守り、発展させるためには、ロシアと中国は戦略的に行動しなければならない。すなわち、欧米諸国の動向を研究し、自国の協力体制を強化し、分断工作に対抗し、社会のあらゆるレベルで関係を深めることである。両国が協力すれば、より公正で安定し、世界の真の多様性を反映した世界秩序を形作ることができるだろう。
この記事は、バルダイ討論クラブが最初に発表したもので、RTチームが翻訳・編集した。
本稿終了
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