9 Feb, 2025 20:58
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テクノロジー界の大富豪で、新設された「政府効率化省(DOGE)」の大臣を務めるイーロン・マスク氏は、日曜、米国政府が資金援助するメディア機関であるラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティ(RFE/RL)とボイス・オブ・アメリカ(VOA)の閉鎖を要求した。マスク氏は、これらの機関はただ税金を浪費するだけであり、もはや時代遅れであると述べた。
RFE/RLは1950年に設立され、親米・反ソビエトのプロパガンダをヨーロッパに広めることを目的としており、当初はCIAが運営していた。ボイス・オブ・アメリカはナチスのプロパガンダに対抗するために1940年代に設立され、1947年にはソビエト連邦に焦点を移した。現在も米国議会から資金提供を受けており、その運営は米国政府によって直接管理されている。VOAとRFE/RLの両方を監督する米国国際メディア庁(USAGM)は、米国連邦機関である。
マスク氏は、ドナルド・トランプ米大統領の特使であるリチャード・グレネール氏が、Xの番組で日曜にこれらの放送局を批判したことへの反応を示した。
「ラジオ・フリー・ヨーロッパとボイス・オブ・アメリカは、アメリカの納税者が支払っているメディアであり、国営メディアだ。これらの放送局は極左活動家で溢れている。私はこれらの記者たちと何十年も一緒に仕事をしてきた。が、それは過去の遺物だ。政府が支払うメディアは必要ない。」と、グレネル氏は述べた。
マスク氏はX上で次のように回答した。「そうだ、閉鎖しろ。ヨーロッパは今や自由だ(官僚主義の抑制は別として)。もはや誰も彼らの言うことを聞かない。年間10億ドルの米国の税金が燃やされている中、過激な左翼の狂人たちが自分たちに向かって話しているだけだ。」、と。
当初、RFE/RLは「ラジオ・リベレーション・フロム・ボルシェビズム(RadioLiberation from Bolshevism(役者注:ボルシェビキに由来する革命的社会主義思想のひとつ)」という名称だった。この放送局は1956年にラジオ・リベレーション(Radio
Liberation)と改名され、その後、「解放(liberation)」よりも「自由化(liberalization)」を強調する方針転換に伴い、現在のラジオ・リバティ(Radio
Liberty)という名称になった。
ロシアは2020年にRFE/RLを「外国代理人」に指定し、2022年にはウクライナ紛争に関する「虚偽の情報を含む資料の公開」を理由に放送局を禁止した。その子会社であるCurrent
Time(ボイス・オブ・アメリカとの合弁事業)は2024年にロシアでブラックリストに載った。
近年、マスク氏とグレネル氏は共に、政府によるメディア組織への資金提供に強く反対する意見を表明しており、納税者の資金はこのような報道機関の支援に使うべきではないと主張している。
マスク氏は、ポリティコ、AP通信、ニューヨーク・タイムズなどのメディア組織に対する連邦政府の支払いを批判しており、納税金の非効率な使い方であり、廃止すべきだと考えている。マスク氏のチームは、これらの支払いの取り消しに取り組んでいる。ホワイトハウスの報道官であるカロライン・リービット氏によると、政府はポリティコの購読料として800万ドル以上を支払っている。
同様に、グレネル氏はメディア購読への政府支出を公に非難し、このような資金提供は直ちに打ち切られるべきであるというマスク氏の姿勢を支持している。グレネル氏はXに投稿した。「米国政府はメディア購読料の支払いを直ちに停止しなければならない。」、と指摘。
VOAの2024年度予算は2億6750万ドル(※注:406.6億円)、RFE/RLは1億4220万ドル(※注:216.1億円)であった。米国議会管理委員会は2025年度の総予算として9億5000万ドル(※注:1444億円)を要求した。同委員会は、100か国以上で64言語による放送を行い、毎週4億2700万人の視聴者にリーチしていると主張している。
トランプ大統領は、マスク氏を政府支出削減を目的とした臨時機関であるDOGEのトップに任命し、「特別政府職員」とした。
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