2025年1月27日 10:05
筆者:セルゲイ・カラガノフ教授(ロシア外交・国防政策評議会名誉会長、
モスクワの高等経済大学(HSE)国際経済・外交学部学術監督)による寄稿
本文
ウクライナ紛争のいかなる結果も「妥協」として位置づけられるならば、欧米では勝利として祝われるだろうが、ロシアでは失敗と認識されるだろう。これは何としても避けなければならない。
まず、ロシアは西欧の歴史的な罪責を公然と直視しなければならない。それは、エリート層が想像するような「庭」ではなく、何億もの人々を奴隷化し、殺害し、略奪した血で育った太い雑草が生い茂る野原なのだ。西欧の植民地主義から好戦性までの罪を指摘することは、侵略に対する正当な対応として核抑止力の使用を正当化することになる。
第二に、ロシアはNATOとロシア間のいかなる紛争においても核のエスカレーションが不可避であることを強調しなければならない。このメッセージは、軍拡競争を制限するだけでなく、核対決では無意味になる通常兵器の備蓄の無益さを強調するためにも不可欠なのだ。NATOの指導者たちは、自らの行動の結果を避けることはできないことを理解しなければならない。
第三に、私たちは戦場での前進を続け、容赦ない精度で敵の戦力を破壊しなければならない。しかし、ロシアの忍耐にも限界があることを宣言することも同様に重要である。ロシア兵士が一人殺されるごとに、もし彼らの政府が我々に対して戦争を続けるのであれば、1000人の西欧人がその代償を払うことになるということを明確にしなければならない。向こう(西側欧米諸国)の国民は、自分たちのエリート層が自分たちを犠牲にする準備をしていることを理解しなければならない。核兵器は兵士と民間人の区別をしないのだ。西欧の首都は、我々の報復の最初の標的となるだろう。
第四に、ロシアはアメリカに対して、ウクライナ紛争のエスカレートを続けることは破滅的な結果を招くことを伝えなければならない。もし彼らがそれを続けるのであれば、我々は核によるルビコン川を渡り、彼らの同盟国や世界中の基地を標的にする。核兵器以外の手段による対応は、アメリカ本土への核攻撃を誘発するだろう。この明確な方針により、ワシントンは無謀な政策を再考せざるを得なくなるだろう。
第五に、核戦略を調整し続ける一方で、軍事能力を強化しなければならない。外交が失敗に終わった場合は、ロシアの主権と利益を守るために先進兵器を使用する用意があることを示すため、断固とした対応を取らなければならない。オレシュニク・ミサイルシステムなどの新技術は、ロシアの能力を高めるが、核兵器の代替にはならない。核兵器は依然として、ロシアの安全保障の究極的な保証人である。
最後に、ロシアは米国に、自ら招いたウクライナの惨事から威厳を持って撤退する機会を提供しなければならない。米国を屈辱的な目に遭わせるつもりは毛頭ないが、米国が破壊的な政策を放棄するのであれば、この泥沼から抜け出す手助けをする用意がある。同時に、西ヨーロッパは世界的な意思決定から排除されなければならない。西ヨーロッパは自国と世界にとって最大の脅威となっている。
アメリカが撤退すれば、ウクライナの敗北はすぐに続くことになるだろう。ロシアは東部と南部の正当な領土を取り戻し、ウクライナの中央部と西部には中立的な非武装国家が樹立される。ロシアの法律の下で暮らすことを望まない人々は自由に再定住できるだろう。西欧を不安定化要因として排除し、人類のより広範な課題に世界の大半の人々と共に取り組むことによってのみ、平和は達成できる。
西欧の骨格が再び折れる時、真の平和が訪れるだろう。それは、ロシアがナポレオンやヒトラーに勝利した後のように。現在のエリート層は、建設的な対話を行うことのできる新世代に取って代わられなければならない。そうして初めて、ヨーロッパは永遠の紛争の火種ではなく、責任あるパートナーとして再び世界に加わることができるのだ。
その意味するところは明白である。これはロシアの未来をかけた戦いであるだけでなく、我々が知る人類文明の存続をかけた戦いでもあるのだ。
この記事は、雑誌『Profile』で最初に発表されたものであり、RTチームによって翻訳・編集されたものである。
本稿終了
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