ウクライナの歴代大統領
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War on Ukraine #6766 2 January 2025(MST)
独立系メディア E-wave Tokyo 2025年1月2日(JST)
Source:Wikimedia Commons
ウクライナの歴代大統領
以下の凡例:
①歴代番号、②大統領名(日本語カタカナ)、③大統領名(ウクライナ語)、④大統領名(英語)、⑤所属党名、⑥在任期間、⑦当該期間の首相名、⑧大統領の写真
1 レオニード・クラフチュク
Леонід Макарович Кравчук
Leonid Makarovych Kravchuk
無所属 1
在任期間 1991年12月5日- 1994年7月19日 2年 + 226日
首相 ヴィトルド・フォーキン レオニード・クチマ
2 レオニード・クチマ
Леонід Данилович Кучма
Leonid Danylovych Kuchma
無所属 2
在任期間 1994年7月19日- 1999年11月14日 10年 + 188日
首相 ヴィターリー・マソル イェヴヘーン・マルチューク
パーヴェル・ラザレンコ ワレーリー・プストヴォイチェンコ
3 ヴィクトル・ユシチェンコ
Віктор Андрійович Ющенко
Viktor Andriyovych Yushchenko
我らのウクライナ
在任期間 1999年11月14日- 2005年1月23日 5年 + 33日
首相 ユーリヤ・ティモシェンコ ユーリー・エハヌロフ
ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ ユーリヤ・ティモシェンコ
4 ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ
Віктор Федорович Янукович
Viktor Fedorovych Yanukovych
無所属[※注 以下参照]
在任期間 5 2010年2月25日- 2014年2月22日 3年 + 362日
首相 ミコラ・アザロフ
※注:“ウクライナ基礎データ”. 外務省. 2023年5月24日閲覧。
オレクサンドル・トゥルチノフ
Олександр Валентинович Турчинов
Oleksandr Valentynovych Turchynov
全ウクライナ連合
「祖国」 2014年2月23日- 2014年6月7日 104日 大統領代行
(最高議会議長)
首相 アルセニー・ヤツェニュク
5 ペトロ・ポロシェンコ
Петро Олексійович Порошенко
Petro Oleksiyovych Poroshenko
無所属[注 3] 6 2014年6月7日- 2019年5月20日 4年 + 347日
首相 アルセニー・ヤツェニュク
6 ウォロディミル・ゼレンスキー
Володимир Олександрович Зеленський
Volodymyr Oleksandrovych Zelensky
国民の僕 7 2019年5月20日- (現職) 5年 + 221日
首相 オレクシー・ホンチャルク デニス・シュミハリ
ゼレンスキー大統領の略歴 出典:日本語Wikipedia
ここでは、ゼレンスキーの略歴を日本語Wikipediaから紹介する。別途、ロシア語版のゼレンスキーの経歴などをロシア語から翻訳し紹介する。ロシア語版は全編を和訳している。
ゼレンスキー大統領の生い立ち
“ウクライナ基礎データ”. 外務省. 2023年5月24日閲覧。ウォロディミル・オレクサンドロヴィチ・ゼレンスキー(ウクライナ語: Володимир
Олександрович Зеленський 発音 [woloˈdɪmɪr olekˈsɑndrowɪtʃ zeˈlɛnʲsʲkɪj]、1978年1月25日
- )は、ウクライナの政治家、コメディアン[4]、俳優。第6代ウクライナ大統領[5]。
1978年、ソビエト連邦・ウクライナ社会主義共和国(現在のウクライナ)東部の主要都市クルィヴィーイ・リーフに生まれる[6]。
キーウ国立経済大学(ウクライナ語版)で法学の学位を取得した[6]後、俳優としてのキャリアを積んだ。
その後、制作会社第95街区(ウクライナ語版)を設立。ウクライナの大富豪イーホル・コロモイスキーの所有するテレビ局で、映画や漫画、テレビ番組を制作した[6][7]。その一つが、自身がウクライナ大統領を演じたテレビドラマ『国民の僕』[8]であった。同ドラマは2015年から2019年にかけて放送された。
2018年3月、テレビ番組と同名である実際の政党『国民の僕』を第95街区とともに立ち上げた[6]。
2018年12月31日夜、1+1 TVチャンネルでペトロ・ポロシェンコ大統領の年頭演説と並行して、2019年ウクライナ大統領選挙の立候補を表明した。この際もコロモイスキーの支援を受けた[6]。政治的アウトサイダーである彼はポピュリストとして人気を誇り、選挙に向けた世論調査ですでにフロントランナーの一人となっていた。経済再生や汚職への取り組みなどを公約に掲げ、第2回投票では73.2%の得票率でポロシェンコを破って当選した[9]。
2019年5月20日、第6代ウクライナ大統領に就任した[2][3]。
生い立ち
1978年1月25日、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国(当時)のクルイヴィーイ・リーフにユダヤ系ウクライナ人として生まれた[16][17][18][19][20]。父のアレクサンドル・ゼレンスキーはドネツク・ソヴィエト貿易研究所(ウクライナ語版)(現・ドネツク国立経済貿易大学)のクルイビーイ・リーフ校に勤務する研究者で、ユダヤ人の母はエンジニアであった[21][22][23][注釈 1]。父の仕事の関係で、幼少期の4年間をモンゴルのエルデネトで過ごした。 父方の祖父は旧ソビエト軍人としてナチス・ドイツと戦い、母方の親戚の多くはホロコーストで命を落としたという。
子供の頃から話芸の才能を示し、旧ソ連時代からの伝統を持つロシアのバラエティー番組『KVN(ロシア語版)』(Клуб весёлых и находчивых、面白い奴らのクラブ)にウクライナ代表のアマチュア芸人として出演している[24]。学業面ではキーウ国立経済大学のクルィヴィーイ・リーフ校で法学を専攻しているが、大学卒業後はコメディアンへの道を選んだ[16][25]。
ウクライナ東部出身のために母語はロシア語。元々ウクライナ語は苦手で芸能活動ではこれまでロシア語を使用してきた[26][27]。その後ウクライナ語の猛特訓を受け公の場ではウクライナ語を使うことが多くなったが、英語で話すこともある[14]。
芸能活動
2018年の「第95街区」の公演
1997年、番組内でコメディ劇団「第95街区(ウクライナ語版)」を結成、台本の制作も手掛けるなど若くして番組の看板芸人に上り詰めた[24]。
2003年、「第95街区」をコメディ映画・番組・舞台の制作会社へと再編し、より幅広い活躍をするようになった。KVN視聴者が広がるCIS諸国での巡業やコメディ映画の制作・上映などを手掛け、ウクライナの大手テレビ局「Інтер(ウクライナ語版)」「1+1」などに番組を提供した[16][25]。
2006年、イギリスのダンス番組『ストリクトリー・カム・ダンシング(英語版)』のウクライナ版で本格的なブレイクを果たし、ゼレンスキー出演回は最大瞬間視聴率が87%という驚異的な数字を叩き出している[24]。2008年にはロシアのコメディ映画『Любовь
в большом городе(ウクライナ語版)』に出演。2012年、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが出演したことで話題になったウクライナ映画『ルジェフスキー対ナポレオン(ウクライナ語版)』でナポレオン役を演じている。2016年には、バラエティ番組の舞台上でピアノの死角でズボンを脱ぎ、自身の陰茎を用いてピアノを演奏するように見える芸を披露した[28]。
芸能活動と並行して、不安定な状態が続くウクライナ社会への問題提起も行った。ゼレンスキーはオレンジ革命、マイダン革命などの自由主義革命に肯定的で、ロシア軍の軍事介入後は知名度を持つロシア語圏での反発を恐れず、ウクライナ軍に多額の寄付を行った[29]。一方でロシア文化の弾圧には強く反対した[30]。
2015年、ウクライナのテレビ局「1+1」でゼレンスキーが一市民がふとしたことで一国の大統領になる主演俳優を演じた政治風刺ドラマ『国民の僕』(こくみんのしもべ)が放映された。一介の歴史教師がふとしたことから大統領に当選し、権謀術数が渦巻く政界と対決する姿をユーモアを交えながら描いた同作はウクライナで大ヒットした[15]。2016年、映画版として『国民の僕
第2部(ウクライナ語版)』が放送され、ウクライナ映画賞(金独楽賞)に主演男優賞でノミネートされた。2017年に「国民の僕」の第2シーズン全24話が放映され、2019年に「国民の僕」の第3シーズンが放映された。
政治活動
ドラマから現実の政治へ
ドラマ『国民の僕』の流行を後押しとして、2018年、ゼレンスキーは翌年の大統領選の出馬を宣言した。
2019年の大統領選には過去最多となる44名の候補者が乱立しており、有力候補がオリガルヒ出身のペトロ・ポロシェンコ現大統領とユーリヤ・ティモシェンコ元首相という、ウクライナ政界の混沌を現した状態となった。
そうした中、ゼレンスキーは「第95街区」のメンバーらとドラマのタイトルを冠した政党「国民の僕」を立ち上げ、「私はドラマ同様国民の僕になる」と訴えるなど、既成権力や汚職と無縁なポピュリストとしての立場をアピールした[39][40]。このドラマと現実の政党を重ね合わせた方略は、ドラマと政党の双方の知名度を高めたとの見方がある[41]。選挙活動面では政治集会や討論会などは行わず、原作と同じくインターネット上での呼びかけを集中的に行っている。主人公が作中で国民に呼びかける際に口にする「親愛なるウクライナ国民へ」も多用されている。
内政面では最優先に「反汚職」を掲げ、税金の浪費を止めることを公約している。具体的には議員の免責特権廃止、選挙制度や裁判制度の改革、国民投票による直接民主主義の導入などを掲げている。経済政策でも企業の脱税や賄賂を取り締まり、社会正義を回復させることが経済成長や国外からの投資に繋がると主張している[42]。税制面ではフラット・タックスの導入を検討している。軍に関しては給与体系をNATOに準じた金額に改定する意向を示している[43]。
外交面では東部分離主義勢力(ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国)との戦闘について、軍事力での解決は非現実的であり、国内を疲弊させているとしている。既に占領されたクリミア問題については「現実的に考えればロシア側での政権交代を待つしかない」としている。こうした観点から分離主義勢力を支援するロシア連邦と協議し、戦争を終結させたいとしている[44]。同時に欧州を席巻するポピュリズム運動が選択する欧州懐疑主義の立場には立たず、マイダン革命以降の親欧米派としてEUやNATOとの交流を深める親欧米外交を志向している[45]。
オリガルヒの専横に関しては自身が出演するテレビ局を保有し、選挙活動の支援を行なったとの報道もある[46][47]オリガルヒのイーホル・コロモイスキーとの関係をBBCに問われた際、「自分は誰かの傀儡ではない」とした上で「貴方は4000万名のウクライナ人が全て信念が無いと言いたいのですか?」と答えている[48]。
大統領選挙
ウクライナ大統領選挙の決選投票の勢力図。緑がゼレンスキー勝利地域、赤がポロシェンコ勝利地域。ゼレンスキーは東部と南部で得票率が高い。
2018年の年末に行われた調査では、ティモシェンコに次ぐ9%の支持を獲得して現職のポロシェンコを上回った[25]。選挙戦本番でポロシェンコが巻き返しを図ったが、それを上回る勢いで草の根での支持が広がって最有力候補に躍り出た。2019年4月1日、第一回投票でポロシェンコ(17.8%)、ティモシェンコ(14.2%)の両名を大きく引き離してゼレンスキーが30.4%の得票を得た[49][50][51]。単独過半数には届かなかった事から、決選投票で2位のポロシェンコと争う形となった。
決選投票では「国民の僕 第三部」(Слуга народу3)と題して、支持者に投票を呼び掛けるキャンペーンを行った。決選投票を前にしてもゼレンスキー支持の勢いは留まらず、むしろ勢いを増して日を追うごとに現職のポロシェンコとの差を付け、世論調査での支持率は50%以上に達すると見られている。4月16日、焦りを深めるポロシェンコがゼレンスキーが拒否してきた討論会を挑むと、スタジオや会議場ではなく興行用のスタジアムでの開催という挑発的な条件を突き付けた[52]。
4月20日、投票日前日にスタジアムでの討論会が行われた。ゼレンスキーは政治経験の不足を批判するポロシェンコの政治経歴を「失敗」と切り捨て、ポロシェンコが愛国心をアピールすると紛争で戦死した兵士達に祈りを捧げる仕草を見せた[53]。堅実な政策論で支持を取り戻そうとするポロシェンコを得意のパフォーマンス合戦に持ち込む事で終始翻弄し、主導権を握り続けた。
4月21日、出口調査の段階でゼレンスキーが70%以上を得票し、圧倒的な大差を付けて大統領に選出される事が確実となり、現職ポロシェンコは敗北を宣言した。ガリツィア地方の中心であるリヴィウ州のみでポロシェンコ氏に敗北したが、それ以外のすべての州で勝利した。
注 出典
1^ “ウクライナ基礎データ”. 外務省. 2023年5月24日閲覧。
2^ a b c “Inauguration Of Ukraine's President-Elect Zelenskiy Set For May
20” (英語). Radio Free Europe/Radio Liberty (2019年5月16日). 2019年5月17日閲覧。
3^ a b c “コメディー俳優のゼレンスキー氏、ウクライナ大統領に就任”. AFP通信 (2019年5月20日). 2019年5月20日閲覧。
4^ “人気コメディアンから祖国防衛の指導者に、注目集まるゼレンスキー大統領 ウクライナ”. BBCニュース (2022年2月27日). 2022年10月28日閲覧。
5^ “政治経験のないコメディアンがウクライナ大統領選で圧勝できた理由”. ダイヤモンド・オンライン. 2023年4月9日閲覧。
6^ a b c d e Stephen Mulvey, Kateryna Khinkulova (2022年2月26日). “Ukraine's
Volodymyr Zelensky: The comedian president who is rising to the moment”.
BBC
7^ “Public Designation of Oligarch and Former Ukrainian Public Official
Ihor Kolomoyskyy Due to Involvement in Significant Corruption” (英語). United
States Department of State. 2022年10月28日閲覧。
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