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ウクライナのNATOへの扉は閉ざされ、バイデン再選の可能性を弱める可能性が高い
Ukraine’s Door to NATO Shut as Likely
to 'Weaken Biden's Re-election Chances'

 スヴェトラーナ・エキネンコ Sputnik International
 War on Ukraine #5233 10 June 2024


英語翻訳:池田こみち(環境総合研究所顧問)

E-wave Tokyo 2024年6月11日 

<写真キャプション:ウクライナ国旗とNATO旗>© AFP 2023 / ODD ANDERSEN

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 ワシントン(米国)とブリュッセル(EU)は、ウクライナのNATO加盟は「不可避」だと主張しているが、いかなるタイムラインの提示も避けている。2023年7月、ヴィリニュスで開催されたNATO首脳会議の初日に発表されたコミュニケには、ウクライナはさらなる改革を行う必要があり、「同盟国が同意し、条件が満たされた」後にのみ招請されるという注意書きが含まれていた。

 ジョー・バイデン米大統領は、自身の再選への望みを打ち砕かれることを恐れ、ウクライナのNATO加盟を阻止している。

 ウクライナのゼレンスキー氏がNATOのドアをいくら叩いても、バイデン氏が11月の選挙に勝つチャンスを失う可能性があるため、ドアは閉ざされたままだとBusiness Insiderは報じている。

 「バイデン氏は、再選の可能性を弱めないために、米国は関与しないという認識を米国民に定着させようとしている。」、と欧州外交評議会の客員研究員レオ・リトラ氏は同ニュースサイトに語った。

 「NATOの誰も、特にアメリカの誰も、第5条をテストすることを望んでいない」と彼は付け加えた。

 NATO条約第5条は、いずれかの加盟国に対する攻撃は、すべての加盟国に対する攻撃であると定めている。

 ハリス・ポールとクインシー研究所が2月に行った調査では、アメリカ人の約70%が、バイデン政権がウクライナとロシアとの交渉による和平にできるだけ早く導くことを望んでいることが明らかになった。一方、5月に行われたロイター/イプソスの世論調査によると、バイデンの支持率は過去2年間で最低の水準に落ち込んだ。ホワイトハウスでのバイデンのパフォーマンスを支持する有権者は36%しかいなかった。

 バイデンは先日の『タイム』誌とのインタビューで、「ウクライナのNATO加盟には準備ができていない。平和はNATO(に加盟すること)を意味しない。」、と7月9日から11日にかけて開催される同盟首脳会議に先立ち語った。

 また、副大統領在任中にウクライナを訪問した際、「著しい腐敗」を目撃したことも認めた。キエフ政権は NATO加盟の代わりに、自国の「安全保障 」について解決しなければならないだろう。

 ウクライナは、ワシントンで開催されたNATO首脳会議での加盟スケジュールの突破口に望みを託していた。しかし4月、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、ウクライナのNATO加盟に関する合意はこの会議では期待できないと述べた。

 「その決定を下すためには、すべての同盟国の同意が必要であり、コンセンサスが必要である。」、とストルテンベルグは言った。「私は、7月のサミットまでにその合意が得られるとは思っていない、」、と。

 米国のジュリアン・スミスNATO特使は5月、同盟加盟への「橋渡し」としてキエフに安全保障パッケージを約束し、その姿勢を繰り返した。スミス特使は、「橋は明るく、鋼鉄製で、ウクライナの友好国が一歩一歩橋を渡り、最終的に加盟できるよう、われわれは全力を尽くす。」、と比喩的に語った。

 NATO加盟問題での進展のなさが、米・ウクライナ関係の緊張を高めている、とフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。2023年のヴィリニュスでのNATO首脳会議が、ウクライナの加盟期限を提示することなく終了したとき、ゼレンスキーは、この遅れは「前例がなく不条理だ」と激怒した。

 ヴィリニュスでのサミットで発表されたG7共同宣言は、ウクライナとの「長期的な安全保障上の約束と取り決め」を二国間で交渉することを約束した。
 
 これまでにウクライナは、英国、ドイツ、フランス、デンマーク、カナダ、イタリア、オランダ、フィンランド、ラトビア、スペイン、ベルギー、ポルトガル、スウェーデンといったNATO加盟国と二国間安全保障協定を結んでいる。

 英国は1月、ウクライナとこのような協定を結んだ最初の国であり、今後10年間にわたってキエフに広範な軍事的・財政的支援を提供することを約束した。ワシントンはキエフとの安全保障協定の交渉を終えていると、あるアメリカ政府高官は述べた。

 キエフ政権は、これらの協定は範囲も実施メカニズムも限定的で、NATO加盟の代わりにはならないと批判している。

 2024年以降のキエフに対する具体的な軍事援助の約束がないことは、「ウクライナとその同盟国、NATO内の分断が現在直面している課題を反映している」とドイツ外交評議会の東欧プログラム責任者、シュテファン・マイスター氏は述べた。

 米独両国は、ウクライナの同盟への早期加盟に声高に反対している。アメリカ政府関係者 アントニー・ブリンケン米国務長官は4月、ウクライナはいずれNATOに加盟すると主張したが、その時期については明言を避けた。ロイド・オースティン米国防長官は議会証言で、ウクライナのNATO加盟はロシアの国益に反するとさえ認めた。

 ウクライナは2022年9月にNATO加盟の前倒しを申請した。しかし、この数十年間、NATOの拡大は急ピッチで進められてきたにもかかわらず、軍事同盟はキエフの加盟承認から遠ざかってきた。

 冷戦後、ロシアの国境にこれ以上近づかないという西側諸国の公約に反して一挙に拡大したNATOは、2023年3月にフィンランドを、その1年後にはスウェーデンを吸収した。モスクワは、軍事ブロックがロシア国境沿いで進めている軍備増強がロシアの安全を脅かしていると繰り返し警告してきた。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、モスクワがウクライナの非同盟状態を継続することは、長年にわたる紛争を終結させるために不可欠であると考えていると繰り返している。2022年2月にロシアが特別軍事作戦を開始した理由のひとつに、キエフが同盟への参加を表明していることがある。


本稿終了