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米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)
対ロシア制裁がボーイングの苦境に追い打ち
WSJは、米ボーイングは投資家に対し、
今年予定数のドリームライナー
を納入できないと警告した。

Sanctions on Russia adding to Boeing’s woes – WSJ. The US company has warned investors it will not be able to deliver theplanned number of Dreamliner jets this year, according to the paper
RT
War on Ukraine #5072 5 May 2024

英語翻訳:池田こみち(環境総合研究所顧問)
E-wave Tokyo 2024年5月6日

ベルリンのテーゲル空港に着陸するボーイング787ドリームライナー。AFP / Robert Schlesinger

本文

 ボーイングは、米国の対ロシア制裁による主要部品の不足のため、787ドリームライナーの生産に問題を抱えている、とウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じた。

 熱交換器は、飛行機の環境制御システムや電子機器の温度調節に使用され、アメリカのRTX社のコリンズ・エアロスペース社とモスクワのHS-ナウカ社との合弁会社によって製造されていたと、同誌は金曜日の記事で伝えた。

 しかし、2022年3月、ロシアとウクライナの戦闘が勃発したわずか数週間後、紛争をめぐるモスクワに対する規制の一環として、この合弁会社は閉鎖されたという。

 温度調節部品の製造は、米国と英国にあるRTXの新しい工場ラインに移された。当時、ボーイング社は比較的少数の飛行機しか製造していなかったため、当初はボーイング社の需要に対応することができた。しかし、WSJによると、米航空機メーカーがドリームライナーの増産を図っているため、現在では熱交換器が不足しているという。

 ボーイング社の最高経営責任者(CEO)であるデイブ・カルホーン氏は4月に、「侵略が起こったとき、供給元は移動させられ、そのサプライヤーの能力は我々に追いついていない」と述べた。

 先週、ボーイング社は投資家に対し、熱交換器の不足と、同社が直面しているもうひとつの問題である客室シートの不足のため、今年予定していたほど多くのドリームライナー・ジェット機を納入できないだろうと述べた。

 同社は、今後数カ月は生産が減速するとしながらも、2024年末までには月産5機体制に戻る見込みであることを強調した。WSJによると、同社は今年第1四半期に13機のドリームライナーを納入した。

 
ボーイング737 MAXの月産台数も、1月にアラスカ航空の機体でドアプラグが飛行中に吹き飛んだ後、同社が製造上の問題を解決しようとしているため、1桁台に落ち込んでいるとロイターは先月報じた。737 MAXは、2018年と2019年に340人以上の死者を出した2件の墜落事故を含め、過去に事故を起こしている。

 今週初め、ボーイングのサプライヤーの元従業員で、737 MAXジェット機の製造における基準の甘さに警鐘を鳴らしたジョシュア・ディーン氏が、突然の重病の末に死亡した。3月には、ボーイングの元品質管理者ジョン・バーネット氏が、航空宇宙大手に対する内部告発訴訟で証拠を提出する数日前に、銃で撃たれて死亡しているのが発見された。


本稿終了