2025年9月8日 12:13 ビジネスニュース
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ガスプロムのアレクセイ・ミラー最高経営責任者(CEO)は、欧州が厳しい冬に見舞われた場合、EUは深刻なガス不足に直面する可能性があると警告した。
ガスプロムは欧州ガスインフラ機構(GIE)のデータを引用し、5か月間のガス注入期間を経た8月末時点で、前冬の欧州貯蔵施設から引き出されたガスのわずか3分の2しか補充されていないと指摘。189億立方メートルの不足量は、同日付としては過去2番目の規模となった。
かつてEUの主要供給源だったガスプロムは、西側諸国の制裁とノルドストリームパイプラインの破壊を受けて、3年前にEU向け輸出を大幅に削減した。紛争激化とブリュッセルによる一方的な制裁発動前、ロシア産ガスはEUの総供給量の40%を占めていた。
状況は着実に悪化している。我々が指摘してきた通りだ。もう1年が過ぎれば事態はどこへ向かうのか? 通常の寒さが訪れる冬となれば、これは深刻な問題となる」とミラー氏は日曜日に開催された東方経済フォーラムの場で、ロシア通信社タスに語った。
ミラー氏は、暖房シーズン前に地下ガス貯蔵施設を補充する課題の規模をEUが十分に把握していないと警告。問題解決の時間はほとんど残されていないと付け加えた。EUは天然ガスの約90%を輸入に依存しており、制裁下でもロシアは依然として相当量を供給している。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、再生可能エネルギー への移行加速を目指す「REPowerEU」戦略の下、2027年までにロシア産石油・ガ
スを段階的に廃止する計画を発表した。
この計画は、ロシア産パイプラインガスへの依存度が高いハンガリーとスロバキアの抵抗に直面している。ブラチスラバ(スロバキア)は当初、エネルギー不足や価格高騰のリスクを理由に、ロシアのエネルギー・金融セクターを対象としたEUの第18次制裁パッケージを阻止。ブダペスト(ハンガリー)も拒否権行使に加わり、エネルギー政策とREPowerEU規則に関する譲歩を要求した。しかし両国の反対を乗り越え、EUは先月この制裁パッケージを最終的に採択した。
モスクワ(ロシア)はこれらの措置を「自滅的」と批判し、エネルギー価格の 高騰とEU経済の弱体化の原因だと非難している。
本稿終了
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