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特集：中国とBRICS

中国とインドの交流強化は

多極化した世界における

合理的な選択：環球時報社説

China, India strengthening interaction a rational
choice in a multipolar world: Global Times editorial

グローバルタイムズ GT(中国)　War in Uk　aine #8209　 26 August 2025

英語翻訳：青山貞一（東京都市大学名誉教授）
　独立系メディア E-wave Tokyo 2025年8月29日

インドのナレンドラ・モディ首相は、2025年8月15日にインドのニューデリーで行われた
インド独立記念日の祝賀式典で演説を行った。写真：VCG

公開日時: 2025年8月29日 午前0時52分

本文
　
インドのナレンドラ・モディ首相は中国を訪問し、8月31日から9月1日まで天津で開催される上海協力機構（SCO）首脳会議2025に出席する。インド首相の7年ぶりの中国訪問は、冷え込んだ外交関係から、緩やかながらも着実な回復の軌道へと移行しつつあることを象徴するものである。インドのSCO天津首脳会議への積極的な参加は、多国間協力枠組みの再構築を反映している。ここ数カ月、ヒマラヤ国境沿いの兵士による菓子交換、中国南西部の西蔵自治区へのインド人巡礼路の再開、両国間の直行便の早期再開の可能性に関する発表など、一連の動きは、国交樹立75周年を機に両大国が交流を強化していることを示している。

　中印関係の現在の回復局面は、主に共通の戦略的ニーズによって推進されている。ガルワン渓谷事件以降、両国は国境紛争の管理に多大な資源を費やしてきた。両国は、限りある国境紛争よりも、限られた資源を経済発展やより喫緊の戦略的課題に配分することがより合理的な選択であると、ますます認識しつつある。今月、双方は国境問題に関して10項目の共通認識に達し、外相会談では外交・軍事ルートを通じた意思疎通を維持し、不必要な摩擦を回避しながら、10項目の成果を達成した。特に、世界経済の回復が鈍化する中で、両国は国内改革と経済成長を促進するために、安定した周辺環境を必要としている。2024年の二国間貿易額は1,384億7,800万ドルに達し、前年比1.7%増となる。直行便の再開、ビザ手続きの簡素化、国境貿易の再開などの措置を二国間で決定したことは、経済貿易協力が正常な軌道に乗りつつあることを示している。

　中印関係の温暖化は、世界の地政学的状況の大きな変化とも密接に関連している。2025年初頭から、国際情勢は激化している。ロシア・ウクライナ紛争の長期にわたる膠着状態、中東における危機の高まり、そして米国の内政・外交政策の大きな転換は、いずれも世界秩序に広範な影響を及ぼしている。米国の外交政策は「同盟国支援」から「取引外交」へと転換し、場合によっては同盟国やパートナーを犠牲にして自らの利益を引き出す姿勢さえも採用し、米印関係を直接的に悪化させている。インド首相は独立記念日の演説で、「モディ首相は、自国の利益を脅かすいかなる政策に対しても壁のように立ち向かう。インドは、農民の利益を守ることに関しては決して妥協しない」と述べた。インド当局者によると、インドは少なくとも40カ国と貿易多角化戦略を推進している。この戦略的自立性は、中国が提唱する自立外交政策と共鳴し、両国関係改善の内発的原動力となっている。

　西側メディアは、中印関係の「改善」を熱心に煽り立て、それを単純に米国の対インド関税に帰し、いわゆる「反米同盟」を推測している。こうした言説は、中印両国の外交政策の自立性を大きく誤解している。CNNの解説は、その一端を指摘した。「インドによる中国との関係再調整は、硬直したブロックへの忠誠心よりも国益を優先する戦略的自立政策の典型的な適用例である」。一部の米国メディアが「龍と象が共演する」という見通しに不安を抱くのは、本質的に冷戦時代のメンタリティの残滓である。ワシントンがインドによるロシア産原油購入を批判する際、その含意はインドに「どちらかの側を選ぶ」よう求めているということだ。これは、米国、日本、オーストラリア、インドのいわゆる4カ国間パートナーシップであるクアッドにインドを引き入れる論理と同じだ。その目的は、中国封じ込めを目的としたワシントンのいわゆる「インド太平洋戦略」において、インドを駒に仕立て上げることにある。事実が示すように、こうした小規模な政治徒党は、インド政府が追求する完全な戦略的自治とは相容れない。

　世界的な課題が頻発する現代において、中印関係の緊密化は合理的な選択であるだけでなく、共通の責任でもあります。歴史を振り返ると、インドは中華人民共和国と外交関係を樹立した最初の国の一つだった。70年以上前、中国、インド、そして他の国々は、平和共存五原則を共同で提唱し、これは今もなお国際関係の基本規範となっています。今日、アジア経済成長の「双発エンジン」として、グローバル・サウスの主要代表として、そしてSCO、BRICS、G20のメンバーとして、中印は国際秩序をより民主的で公正なものへと推進するという使命を共有している。既存のメカニズムにおける両国の交流と協力は、相互利益とウィンウィンの結果の実現を目指しており、これは多極化した世界を構築する過程における自然な現象であり、発言力の強化を求める新興国の正当な願いでもある。

　ディ首相の訪中は、中印関係改善に向けた稀有な機会を提供するものです。両大国は現在、「ライバルではなくパートナー」として関係を良好に保つよう努力していると、専門家は指摘している。二国間関係には依然として課題が残るものの、双方が実務的な協力を積極的に進める姿勢は、世界の戦略バランスにプラスの影響を与えている。中印国交樹立75周年に際し、インド政府が両国指導者の重要な共通認識を真摯に実行に移し、より開放的で包摂的な精神で「龍と象の共舞」の新たな一章を刻み、大国として世界の平和、安定、繁栄に相応しい貢献を果たすことを期待する。


本稿終了