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日本の次期首相に関わらず、
二国間関係のUターンは非現実的
 環球時報社説 2021年9月3日
U-turn in bilateral ties unrealistic regardless of
next Japanese PM  – until China regains
Tang Dynasty strength over Japan:
Global Times editorial  Sep 03, 2021

翻訳:青山貞一(東京都市大学名誉教授)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年9月4日
 

菅義偉首相が自民党総裁選への出馬を見送ったことを伝える日刊紙の号外が、金曜日の東京・銀座で配布された。写真はこちら AFP

本文

 日本の菅義偉首相は金曜日、自民党総裁選への再選を目指さないという驚きの発表を行った。これは、菅氏が日本の首相を続けるチャンスを放棄することを意味する。日本の政治分野は新たな衝撃波に直面することになるであろう。

 昨年9月に安倍晋三氏が辞任した後に菅氏が首相に就任したため、11月28日までに総選挙を実施して自民党を率いなければならず、在任期間はせいぜい1年2カ月ということになる。日本は再び、首相が頻繁に変わる政治的混乱の時代に入るのではないかと多くの人が考えている。

 菅氏が自民党の再選を断念した根本的な理由は、「自分の時代は終わった」と感じているからだろう。自民党の各派閥が再選を支持する可能性は極めて低い。自民党内の高級官僚の調整計画も頓挫したし、次の選挙でエースになることも難しい。撤退するしかないのである。

 菅氏の最大の失敗は、「COVID-19」との戦いである。日本のCOVID-19の1日の患者数は水曜日に20,031人を超えた。日本の社会は、欧米の社会に比べてウイルスに対する不安が大きい。その不安は、東京オリンピック開催の喜びをも凌駕している。

 猛威を振るうCOVID-19の流行で、日本の経済が影響を受けないわけがないのだ。支持率を高く保つためには、菅総理にはほとんど何もできない。その結果、菅総理は金曜日に発表した。日本の株式市場は急激に上昇した。

 現在、岸田文雄元外務大臣、高市早苗元総務大臣、河野太郎行政改革担当大臣、石破茂元防衛大臣が選挙の最有力候補であり、将来の新首相になると考えられている。

 日本は多くの困難に直面しているが、苦境を打開するための現実的なモチベーションと政治的な連帯感の両方が不足している。総理大臣は厳しい仕事に直面することになるだろう。日本が新たな政治的混乱期に陥るという予測は、決して根拠のないものではない。

 今年の菅政権下での日中関係は最悪で、2018年に「正常な軌道に戻る」という評価から一気に深い溝に陥ってしまった。誰が自民党の新総裁になっても、誰が首相になっても、日中関係の大きなUターンは非現実的だと考えられている。

 それは、日本における中国に関する雰囲気がますます不親切になっているからだ。米国の中国封じ込め戦略は、日本にも大きな影響を与えている。日本には、国内的にも国際的にも、中国への新路線を推進する条件が整っていない。

 しかし、中国と日本の力関係の比較は歴史的に変化している。2008年の北京オリンピックの時、日本のGDPはまだ中国よりも上だった。2020年には、中国のGDPは日本の約3倍となり、これは20世紀末の中国大陸と台湾島の経済格差と同じくらいのものであった。

 具体的には、中国の1年間の自動車販売台数は、日本の4〜5倍である。中国の高速鉄道の長さは、日本の新幹線の長さの約13.7倍である。日本の厳しい中国政策の地政学的な意味合いも静かに変化している。

 中国と日本の心が近付くのは、短期的にも中期的にも難しそうだ。日本は本当にアメリカに身を投じており、原爆で攻撃された憎しみや米軍に占領された屈辱を今日まで中和することさえできる。

 中国が、唐の時代(AD618-907)のように、日本に対して包括的な主導権を握ることができなければ、日本は中国を心から尊敬することはないし、中国に対して短期間で相互に敬意を払うこともないだろう。日本の中国に対する態度は、長い間、ぎこちないものになるだろう。

 しかし、日本が中国に対して根本的な脅威を与えることは、もはや非常に難しいことである。日本の長期的な役割は、米国の共犯者となることであろう。私たちはそのことを認識すべきだ。私たちは、新しい勢力図を出発点として日本に対処すべきである。日本社会の対中メンタリティを正確に把握し、日本の脅威を客観的に評価し、この隣国にどう対処すべきかを判断すべきである。

 中日の経済・貿易協力は巨大であり、これは両国関係の最も実質的な部分と考えるべきである。日本の次期首相が誰であろうと、日本が中国に対してより厳しい発言をするようになろうと、日中両国の経済関係は互恵的であり、貿易規模に影響を与えることはない。また、日本が率先して中国との対決に臨むこともないだろう。これらの事実は、中国が日本との関係に冷静に対処する余地があることを示している。

 日本の次期首相が誰になろうと、日本が対中強硬路線をさらに進めることになろうと、中国は想定される課題に対処する能力がある。中国は日本よりもますます強くなるだろう。二国間関係の悪化でより多くの被害を受けるのは、間違いなく日本である。