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リトアニアの中国・欧州委員会17+1脱退は、
プラットフォームの基本を変えるものではない
脱退は協力メカニズムの負の資産を
減らすことになると考えられる
Chen Qingqing and Yang Kunyi (陳清清、楊昆伊) GT
Lithuania’s decision to quit China-CEEC 17+1
won’t change fundamentals of platform
Withdrawal seen as reducing negative assets
in cooperation mechanism

Sby GT staff reporter Global Times: 2021-05-23

翻訳:池田こみち Komichi Ikeda(環境総合研究所顧問)
独立系メディア E-wave Tokyo 2021年5月26
日 公開 


2020年4月14日、リトアニアのヴィリニュスで荷降ろし中の「中国郵政」CR
エクスプレス第1ブロックの列車。写真:新華社


<本文>

 中国の専門家が日曜日に語ったところによると、リトアニアが週末に中国と中東欧諸国(China-CEECs)との間の17+1協力メカニズムからの脱退を発表した後、他のヨーロッパ諸国がこれに追随する可能性は低いとのことである。安全保障やイデオロギーの問題で米国から圧力を受けているバルト地域の国は、中国-CEECメカニズムにおいて大した役割を果たしていないからである。

 また、一部の専門家は、リトアニアの機構脱退の決定は、協力機構における「負の資産を減らす」チャンスであり、中国-CEEC協力機構が長期的に大いに持続可能なものになることを可能にするものだと評した。

 ポリティコ誌は、リトアニアのガブリウス・ランズベルギス外相の話として、リトアニアが17+1協力メカニズムから「現実的な目的」で脱退したこと、また他のEU諸国にもこの構想を放棄するよう促したことを報じた。同氏はさらに、EU圏の結束が成功の鍵であると詳しく述べたと、同メディアは伝えている。

 今回の動きは、中国の新疆ウイグル自治区政策に対するEUの非難をめぐり、中国が最新の対抗措置を講じたことが一因となっている。リトアニアの国会議員が北京の制裁リストに載せられたと、中国国際問題研究所ヨーロッパ研究部の崔宏建部長が日曜日のGlobal Timesに語った。

 中国とEUの関係が、今回の中国-EU包括的投資協定(CAI)の凍結を巡って混乱する中、中国-ECEC協力メカニズムの中では比較的小さな市場であるリトアニアが、この機会に中国に対して立ち上がったと崔氏は語った。

 「政治・安全保障の問題では、リトアニアは旧ソ連や現在のロシアに対して一定の恐怖心を抱いています。だから、中国とロシアが戦略的に接近しているとき、その恐怖心から、リトアニアは中国と一定の距離を保たなければならないのです」と語った。

 リトアニアが中国に挑戦しているのは、貿易やビジネスの面だけでなく、北京の核心的な利益に関する問題についても明らかだ。例えば、リトアニアの議会は1日、中国のウイグル人に対する扱いを "ジェノサイド "や "人道に対する罪 "と表現する決議案を可決した。中国外務省は、これは中国の内政に対する重大な干渉であると非難した。

 3月には、リトアニアが、中国が不可侵の領土としている台湾との関係を促進するため、島に貿易代表事務所を開設すると発表した。これには中国も強く反発し、バルト諸国に「一国一城の原則」を守るよう求めていた。

 リトアニアが脱退の決定を発表したことは一見注目を集めたが、中国の専門家は、同国の機構からの脱退は中国・欧州連合(EC)の協力関係に大きな影響を与えないだろうと述べている。

 実際、リトアニアの脱退は、17+1の協力関係には何の影響も与えないだろうと、北京の中国社会科学院のヨーロッパ研究の研究員であるLiu Zuokui氏は、日曜日に環球時報に語った。「それどころか、今回の脱退はメカニズムからの『いくつかの負の資産』を減らすのに役立つ」と同専門家は述べている。

 中国と中東欧諸国は、2012年にポーランドで初めて首脳会談を行い、協力と貿易を促進するための「16+1」プラットフォームを立ち上げた。メディアの報道によると、2019年にギリシャが同プラットフォームに参加すると、「17+1」と名称が変更され、中国とEUの関係を補完する重要な存在となった。

 しかし、リトアニアは、中国の対中・東欧諸国との貿易のごく一部にすぎない。中国商務部によると、2019年の中国の対リトアニア貿易額はわずか13億5,000万ドルを記録した程度であり、2019年末の時点で、中国の輸出市場としては22位、輸入元としては10位である。

 対照的に、中国と中・東欧諸国との貿易は近年、活況を呈している。2020年、中国の対中東欧17カ国の貿易額は全体で8.4%増加し、初めて1,000億ドルに達した。

 特定の協力プラットフォームまたは国際機関を脱退することは、通常の慣行だ。リトアニアは17+1にあまり貢献していないが、バルト地域の他の国と協力して騒ぎ立て、メカニズムそのものにダメージを与えている、とLiu氏は言う。

 中国の専門家によると、ある意味、リトアニアのような国の脱退は、中国と欧州の協力メカニズムを改善する機会にもなるという。プラットフォームで全体の半分を占めるヴィシェグラード・グループとの貿易関係がうまくいっているため、メカニズムの重要な部分はそのまま残っているからである、とLiu氏は指摘している。


注)ヴィシェグラード・グループ(Visegrád Group)または、ヴィシェグラード4か国は、中央ヨーロッパの4か国による地域協力機構を指す。ヴィシェグラード諸国、又は頭文字から略してV4と表現されることもある。V4は、1991年2月15日にチェコスロバキア、ハンガリー、ポーランドの3か国が、ハンガリーの都市ヴィシェグラードでの首脳会議において設立された。これら諸国は、伝統・文化的に近縁であることもあって、各国の友好・協力関係を進めること及びヨーロッパ統合の進展等を目的としている。チェコスロバキアは、1993年にビロード離婚より分離したが、チェコとスロバキアの両国ともグループのメンバーとなった。これらの4か国は2004年5月1日にそろって欧州連合に加盟している。