リトアニアは地政学的な動きで トラブルのリスクを負う グローバルタイムズ社説 Lithuania risks trouble with geopolitical move: Global Times: 2021-05-23 翻訳:池田こみち Komichi Ikeda(環境総合研究所顧問) 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年5月25日 公開 |
2019年10月23日、ラトビアのリガで開催された第5回中国・中・東欧諸国(CEEC) 17+1ハイレベル観光フォーラムに出席する参加者。写真提供:新華社 <本文> 人口300万人に満たないバルト三国の小国であるリトアニアは、週末に中国と中東欧諸国(CEEC)との間のプラットフォームである「17+1」協力メカニズムを辞めると発表した。そのわずか2日前の木曜日、リトアニアの議会は、中国のウイグル人に対する扱いを「ジェノサイド」と「人道に対する罪」と表現し、米国、英国、カナダの悪しき先導に呼応した。 「17+1」プラットフォームは、開かれた協力メカニズムである。協力関係が期待通りにいかないと感じたら、リトアニアが脱退することは問題ない。しかし、リトアニアは明らかに、自分たちの退場を強調し、一部の欧米列強、特にアメリカに、自分たちが素晴らしいことをしていると印象づけたいと考えている。 この決定を発表したリトアニアのガブリエル・ランズベルギス外相は、中国がリトアニアの離脱に無関心であることを恐れているかのように、中国が17+1メカニズムを通じてEUを分裂させていると非難した。 これは常にリトアニアのやりかたである。ヨーロッパで最も人口の少ない国のひとつだが、独立後は政治的に急進的で、しばしば反ロシアの動きの旗振り役を務め、自らを「最前線の国家」と称している。ロシアとの緊張関係が高い一方で、ベラルーシなどの近隣諸国との関係も悪く、ポーランドとは歴史的に深い関わりを持っている。 リトアニアは、第二次世界大戦が勃発した後、ドイツがソ連に侵攻する直前の1940年にソ連の一部となった。歴史的な理由から不安を抱えており、NATOや米国への忠誠心は西欧の平均的なメンバーよりもはるかに高い。また、ロシアに対しては国力に見合わない過激な敵対姿勢をとっている。 リトアニアの首都ヴィリニュスの市庁舎の壁には、ブッシュ元米大統領が同国を訪問した際に述べた「リトアニアを敵に回す者は、米国をも敵に回す」という言葉が記されている。この言葉が有効であることを保証することが、リトアニア外交の最大の目的となっているようだ。アメリカの称賛を得ることが、リトアニアの日常的な外交活動の主な指針となっている。 実際のところ、新疆の問題はリトアニアの関心事とはかけ離れていた。国内にはもっと緊急に解決しなければならない問題がある。そして、ヨーロッパ諸国が中国の内政に干渉したいと思っても、決してリトアニアの出番ではないにもかかわらず、このバルト海の小国は、そこまでしているのである。台湾島など他の問題についても、リトアニアは3月に台湾島に貿易代表事務所を開設し、台湾との関係を促進することを発表した。 今年のリトアニアのパフォーマンスは、中国の慣用句によく合っている。 "contemptible scoundrel"(卑劣な悪党)である。しかし、それに怒る必要はない。リトアニアは小さな国で、その人口は中国の1級都市の1区にも満たない。その中国に対する語り口はすべて象徴的なものにすぎない。 それらはアメリカの対中戦略の一時的な反響である。リトアニアが自尊心を持てば、我々もそれを尊重する。リトアニアがやみくもに傲慢で、中国を挑発しようとするならば、我々はそれを無視する。 このような小国が、積極的に大国間の競争の道具になるように振る舞うと、トラブルを招くことになる。バルト海地域の地政学は非常に複雑だ。この地域では、さまざまな極端な歴史的記憶が重なり合っている。現在のリトアニアは古い憎しみをどう解消するかを考えるのではなく、常に新しい憎しみを生み出している。リトアニアは自分が蒔いた種を刈り取ることになるだろう。 リトアニアがいなければ、中国-CEEC協力メカニズムへの干渉は少なくなり、より現実的なものになるだろう。イデオロギー問題とは異なり、中国-CEEC協力メカニズムの下で、より重要なのは、そこに関与する国の数ではなく、具体的な成果である。 リトアニアがこのメカニズムから脱退することに問題はない。しかし、中国の核心的な利益からは距離を置くべきだと提案する。リトアニアには中国を攻撃する資格はなく、これは小国がとるべき行動ではない。 |