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1年後、ニューヨーク・タイムズ記事が
中国の統治システムへの助言で大失敗
張儀 環球時報 2021年5月6日
One year later, a New York Times article flops
for its advice on Chinese system

By Zhang Yi Global Times: 2021-05-10

翻訳:青山貞一 Teiichi Aoyama(東京都市大学名誉教授)
翻訳:池田こみち Komichi Ikeda(環境総合研究所顧問)
独立系メディア E-wave Tokyo 2021年5月11
日 公開 


欧米のシステムの劣化 イラスト:劉瑞/GT Degradation in the Western system Illustration: Liu Rui/GT

 北京大学法学部教授が執筆し、昨年2月にニューヨーク・タイムズ紙の中国語版に掲載された記事が、この2日間、大反響を呼んでいる。

 記事中で同教授は、世界的なパンデミックの下で、「なぜある国はスムーズに解決できるのに、ある国は世間の大事件、さらには社会的、政治的な危機を引き起こすのか?」と問いかけた。彼は、「国が違えば、システムが違えば、危機を解決し、対応する能力も異なる」と述べている。

 具体的には、それは中国がCOVID-19パンデミックの対策に苦慮していた時期であり、後に新型コロナウイルスが世界各地を襲う前のことであった。教授は「中国には立憲民主主義が必要だ」という主張を強化したかったのだろう。

 この記事が失敗に終わったのは、1年後、中国の教授が立憲民主主義が必要だと主張した中国は、パンデミックを見事に収束させ、仕事や生産を速やかに再開したのに対し、民主主義の旗手を標榜する米国では、3,260万人以上の感染者が確認され、579,000人以上の死者が出ているからである。

 最近では、世界で最も人口の多い民主主義国家であるインドが世界の震源地となり、1日の確認件数はピーク時には40万件以上に達している。

 世界中の人々が、COVID-19パンデミックのような公衆衛生上の危機に、「民主主義」国がいかに対処できないかを目の当たりにしたのだ。

 米国の一部のメディアでも、米国式民主主義の脆さを反省している。昨年の『アトランティック』紙には、"America's COVID-19 Disaster Is a Setback for Democracy(アメリカのCOVID-19災害は民主主義の後退である)"というタイトルの記事が掲載された。

 また、今年の『ワシントン・ポスト』紙に掲載された記事では、パンデミックは 「危機に瀕した民主主義と、能力よりも縁故主義に報いる政治システムの症状」だとしている。

 しかし、それでも多くの欧米人は、今回のパンデミックで示された中国の功績とそのシステム上の優位性を認めようとしない。3月下旬、ジョー・バイデン米大統領は、中国に対処する上での課題を強調した。「民主主義が機能することを証明しなければならない 」と。

 復旦大学中国研究所の研究員である宋露成氏は、水曜日に環球時報(Global Times)紙に対して、中国のシステムに変化をもたらそうとする西洋の熱意は、西洋が不安感を反映しているからだと述べた。また、欧米の目的は中国を強くすることではなく、弱くすることだと指摘した。

 「欧米は、中国のような多民族国家が欧米のシステムを採用することのリスクの高さを明確に知っている。古い資本主義国である英国でさえ、多民族社会を管理するのは難しいと考えている」と宋氏は言う。

 パンデミックの中での世界的な闘争から1年以上が経過し、欧米が直面している課題は、その欠陥のあるシステムだけでなく、中国のシステムの成功にも起因している。自分たちのシステムの正当性が大きく問われていると感じている。

 自分の利益を確保するためには、中国の体制変化を煽り、中国を否定するしかないのだ。そして、欧米のハードパワーが衰退しているため、ソフトパワー、つまり価値観がその武器となる。

 ニューヨーク・タイムズの記事が失敗したのは、このアプローチがもう通用しないことを示している。中国をはじめとする多くの国にとって、欧米の民主主義システムの魅力は低下しており、中国の魅力は高まっている。政府の能力は、国民の健康を守り、生活水準を上げることができるかどうかで決まる。

 中国の政治システムを攻撃することは、米国のエリートに心理的な安らぎをもたらすかもしれないが、米国の苦境を解決するものではない。