エントランスへはここをクリック         

大阪府民の悲劇
しっかり目に焼き付け、心に刻む必要がある
A tragedy for the people of Osaka
We need to see it and take it to heart

池田こみち (環境総合研究所顧問)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年10月11日
 

出典:デモクラシータイムズ「いまこそ科学的コロナ対策を!(兪 炳匡)
【山岡淳一郎のニッポンの崖っぷち】20211005」


大阪府民の悲劇

 
青山貞一の勧めで、「いまこそ科学的コロナ対策を!(兪 炳匡)【山岡淳一郎のニッポンの崖っぷち】20211005」(動画)を視聴した。

 ジャーナリスト山岡淳一郎氏と医師であり神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センター教授(医療経済学ご専門)の
兪 炳匡(ゆう へいきょう)氏の対談だ。極めて重要な内容で、視聴者のコメントの中にもあったが、まさに、「すっきりした。溜飲、目から鱗」というのが第一印象だ。

 ※注)兪 炳匡(ゆう へいきょう)氏学歴・経歴
 1967年大阪府に生まれる。1993年北海道大学医学部卒業。1993~95年国立大阪病院で臨床研修。1997年ハーバード大学にて修士号(医療政策・管理学)取得。2002年ジョンズ・ホプキンス大学にて博士号(PhD、医療経済学)取得。2002~04年スタンフォード大学医療政策センター研究員として高齢者介護制度の国際比較研究に従事(2004年以降非常勤研究員)。2004~06年米国厚生省疾病・管理予防センター(CDC)エコノミストとして遺伝子スクリーニングを含めた予防医療の経済評価に従事。現在はニューヨーク州ロチェスター大学医学部地域・予防医学科助教授として、医療経済学の研究(特にインフルエンザ予防接種の経済評価)・教育に従事。関心領域は、高齢化が医療制度に与える影響の国際比較、予防医療(特に予防接種・スクリーニング)の経済評価(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
『「改革」のための医療経済学』より


 
中でも衝撃的だったのは、日本人は一般市民は、政治家だけでなく、学者の中にも「欧米に比べて感染者、死亡者共に少なくうまくやっている」といった根拠のない自己満足、優越感に浸ってしまう傾向が多いが、実際のところ、下図にあるように、大阪府について、世界の状況と比較してみると、2021年の5月~6月の間に人口100万人当たり2週間累計で猛烈な感染者数、死亡者数を出していたインドを上回る死亡者を出していたというのである。


出典:デモクラシータイムズ「いまこそ科学的コロナ対策を!(兪 炳匡)
【山岡淳一郎のニッポンの崖っぷち】20211005」


 その理由は明白。「日本維新の会」の府政が「身を切る改革」「改革なければ成長なし」といった政策をこの数年大阪府において推進し、それを府民が是としてきたことに他ならない。保健所を減らし、病院を統廃合しすることが府民のためによい政策であるとして推進してきた結果だ。

 この事実はデータがはっきり示している。しっかり目に焼き付け、心に刻む必要がある。

その他;

・日本の新型コロナウィルス感染者数の予測は、国交省ほぼ一本であるのに対し、アメリカでは、CDC始め、Johns Hopkins University などの大学や民間の研究機関など20以上の機関が予測を公表している。

 また、州ごと、州内の各郡ごとにおよそ3000エリアの感染予測を公表し、だれでもが直ぐにそれにアクセスして見ることができる。日本にはコロナ対策に関連してコスト・ベネフィット分析がまったく行われていない。PCR検査をできるだけ多くの人が受けるとコスト的に無駄であるという指摘が国の検討会の中でも指摘されているが、どのように無駄なのか分析結果が示されないため、説得力が無い。

などなど、ひとつひとつが頷ける指摘ばかりだった。改めてこの対談のエッセンスをまとめてみたいが、今日はまず、「大阪の悲劇」について是非皆様に確認していただきたいと思い対談で示されたグラフを切り出した。

 私自身の国別、地域別にCFR(致命率)の分析を行ってきたが、日本の場合、国の平均では1%を下回る「優等生」となるが、地域別に見た場合には、決して優等生ではなく、大阪府や東京都のように一極集中した都市部や政策が間違っている場合には、インドを上回る悲劇に見舞われているということを知る必要がある。

 東京・大阪への一極集中が日本全体のデータを歪めてしまうこともあるというのは当然あり得ることで有り、アメリカのようにより地域の実情に応じたきめ細かい分析に基づいた政策が検討されるべきなのはまさにその通りである。マスコミも各地方地方でより地域に密着したデータの分析を行っていく必要がある。

 未だにPCR検査は、誰でもいつでもどこでも無料で受けられる体制すら作られていないのは極めて異常だ。自民党はこの間のコロナ対策の課題をまずきっちり洗い出し反省した上で、まさに、「今こそ科学的なコロナ対策を!」実行して欲しい。