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英ブランソン氏による

試験宇宙旅行


解説 青山貞一 (東京都市大学名誉教授)
 
独立系メディア E-wave Tokyo 2021年7月14日

 

Source: Wikimedia Commons By Virgin Galactic/Mark Greenberg , CC BY-SA 3.0, Link

 2021年7月11日、米、ニューメキシコ州において英富豪で冒険家のチャールズ・ブランソン氏が会長を務めるヴァージン・グループ傘下の宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティックが開発した宇宙船「スペースシップ2」にブランソン氏が自らが搭乗し、初の無重力の宇宙遊泳を体験するなど初期の目的を達成した。

 宇宙船によるのテスト宇宙旅行は、日本時間で11日午後11時30日に延期になったが、米国ニューメキシコ州のスペースポートアメリカから以下の写真にあるブランソン氏とヴァージン・ギャラクティックの従業員3人、操縦士2人が宇宙船に乗り込み、約2時間後、無事スペースポートアメリカに帰還した。


Source:The Gurdian UK

 ブランソン氏の宇宙旅行は、両側に、それぞれ小型のジェット機(母船「ホワイトナイト2」)があり、中央にぶら下がる形で宇宙船ジェット機があるめずらしい構造である。地上約15km前後まで両側にある小型ジェット機「スペースシップ2」に運ばれ、その後、中央の宇宙船ジェット機が切り離され、自力で成層圏、オゾン層の上部、地表約85kmまで上昇した。無重力状態を体験しああと、宇宙船ジェット機は通常の小型プライぺートジェット機のように、空港に無事戻った。

 以下、準を追って離陸から着陸までをCNNの映像(の切り出し写真)を元に振り返る。

 まず下は米国ニューメキシコ州のスペースポートアメリカの母船「ホワイトナイト2」(両側)と宇宙船ジェット機(中央)である。


Source: CNN live movie

 以下はスペースポートアメリカを飛び立った母船「ホワイトナイト2」と宇宙船ジェット機である。


Source: CNN live movie

 以下は地上約15kmの高さで、母船「ホワイトナイト2」から切り離された宇宙船ジェット機(中央)である。宇宙船ジェット機は一瞬落下した後、ロケットエンジンを噴射し勢いよく上昇。船内にはこの時、3Gの重力加速度がかかっている。


Source: CNN live movie

 以下は完全に母船「ホワイトナイト2」から切り離された宇宙船ジェット機。


Source: CNN live movie

 以下はその後、大気圏の上端、約地上85kmまで自力で登る宇宙船ジェット機である。


Source: CNN live movie

 以下は、宇宙船ジェット機を尾翼に取り付けられたCCDカメラいより撮影した映像。


Source: CNN live movie

 以下は、切り離された宇宙船ジェット機が単独で地表85kmの上空まで飛行する様子を地上から望遠レンズで撮影したもの。


Source: CNN live movie

 同じく、以下も切り離された宇宙船ジェット機が単独で地表85kmの上空まで飛行する様子。点のように小さく見える


Source: CNN live movie

 以下は地上約85kmにおいて乗組員が宇宙遊泳する様子。


Source: CNN live movie and BBC news

 以下はブランソン氏が地上約85kmの退化さで宇宙遊泳する様子。


Source: CNN live movie
Branson's disappointing space jaunt
US begins its reckoning on Native American children CNN

 以下は大気圏に再突入し、米国ニューメキシコにあるスペースポートアメリカに無事帰還し滑走路に着陸した写真。


Source: CNN live movie

 以下はその後、自力で無事帰還し完全にエンジン停止した際の写真。


Source: CNN live movie

 ブランソン氏の今回の宇宙旅行は、今後、宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティックが無重力体験の宇宙旅行を有料ツアーとして行う際のテスト欄である。

 公開されているその推定費用は、約1050万円〜3300万円とされている。現在までの600人の応募があると言う。

 これを米、露、中などの大型 ロケットによる国際宇宙ステーション滞在型の宇宙旅行の個人負担の費用と比べると、おおよそ約22億円とされるから、今回の弾丸宇宙旅行の費用はそれに比べれば格段にリーズナブルであるが、いずれにしても、一般国民にはおよそ手の届く費用ではない。

 なお、CNNによれば、自ら出資した宇宙船で宇宙を飛んだ富豪としては、ライバルの米アマゾン・ドット・コム最高経営責任者(CEO)だったジェフ・ベゾス氏に先駆けてブランソン氏は一番乗りを果たしたことになる。ベゾス氏は7月20日に自社の宇宙船に搭乗する計画を発表している。

 以下は英国通信社ロイターへのブランソン氏の談話。 

 リチャード・ブランソン氏は宇宙からの動画で「私はかつて星を見上げて夢見る子どもだった。今は宇宙船から美しい地球を見下ろす大人だ」と感慨深げにコメント。また飛行を終えた直後は、孫を抱きながら喜びを隠しきれない様子で「われわれは全ての人にとって宇宙をより身近に感じてもらえる段階に達した。ようこそ新たな宇宙の時代へ」と語った。

 ヴァージンギャラクティックは来年、商業宇宙旅行事業を開始する予定。これに先立ち、数カ月中に少なくともあと2回試験を行うことを計画しているという。

 青山のコメント

 青山自身ここ数年、ミランコヴィッチ理論との関連で数理天文学的視点で、地球温暖化や気候変動問題を一から研究していることもあり、ブランソン氏の今回のプロジェクトについてはライブで映像を見るなど強い関心を持っていた。

 宇宙旅行、宇宙開発は、今まで米、英、中など大国の国の威信をかけての大規模プロジェクトによるものまた、それらの延長で高額のツアーが一部なされていた。

 しかし、ブランソン氏は、従来のようなロケットを使わず自社開発のジェット宇宙機により成層圏、オゾン層を抜け、大気圏外の宇宙空間に到達し、帰還したのは、画期的なものだ。それは単なる富豪の道楽でできるものではなく、永年にわたる自前の探求心、、冒険心などの帰結であり、成果だと思う。

 またブランソン氏は、御年70歳の高齢でありながら、一民間の企業者として従業員ととともに、大きなプロジェクトを失敗しながら成功させた信念に脱帽である。