所沢ダイオキシン裁判

環境総合研究所の勝訴確定(2003.6.26)について

2003年6月26日

青山貞一
株式会社環境総合研究所
代表取締役所長


 
最高裁は2003年6月26日に環境総合研究所に対し以下の判決を下しました。

<最高裁決定(判決)主文>


 
2003年6月26日、最高裁判所から環境総合研究所に電話がありました。1999年9月にはじまり、「さいたま地方裁判所」、「東京高等裁判所」と連続して勝訴しておりました通称、所沢ダイオキシン裁判(謝罪広告等請求事件(正式にはこう呼ばれる))の上告審の決定通知がありました。

 上告人(農民側)から最高裁に出されていた株式会社環境総合研究所に対する上告を棄却し、上告受理申し立ても受理しないと言うのが内容でした。これで一審、二審と勝訴しておりました環境総合研究所の勝訴が確定しました。

 以下が最高裁決定主文の骨子です。


                  
最高裁決定の内容

最高裁決定(主文、理由)のPDF1
最高裁決定(主文、理由)のPDF2


 テレビ朝日(正確には全国朝日放送株式会社)及び株式会社環境総合研究所に2003年6月27日午前に書留郵便で届いた最高裁からの決定の主文と理由を公表します。以下から上記を読みとるのは専門家でないと難しいかも知れません。そこで若干の解説を付けました。

 なお、最高裁裁判では、環境総合研究所は弁護士を立てず本人訴訟(環境総合研究所、青山貞一)でのぞみ、全面勝訴となりました。普段あまり最高裁決定(判決)を見ることがないと思いますので、PDFファイルを含め以下をご覧下さい。


◆最高裁の決定 

 平成14年(受)第811号

   決定

   当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり(略)
   
   上記当事者間の東京高等裁判所平成13年(ネ)第3301号謝罪広告等
   請求事件について、同裁判所が平成14年2月20日に言い渡した判決に
   対し、申立人らから上告があった。
   よって、当裁判所は、次の通り決定する。

   主文
   「本件上告を棄却する。
    上告費用は上告人らの負担とする」

   理由
   「民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民訴法
    312条1項又は2項の場合に限られるところ、本件上告理由は、違憲をいう
    が、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、
    明らかに上記各項に規定する事由に妥当しない。
    よって、裁判官全員一致の意見で、主文の通り決定する」

◆註1)

 原告(農民)側は最高裁に対し上告理由書を出す中で地裁、高裁など下級審判決に関し憲法違反についての上告と法令、判例違反について上告受理を申し立てていました。要約すれば、前者は@憲法違反(違憲)、後者はA法令解釈違反ないし、最高裁の判例解釈違反についてです。

 本日届いた最高裁決定では、上告人らがテレビ朝日、環境総合研究所に出していた上記2つの上告につき、ひとつめについては以下に示すように事実誤認であり明確に棄却しました。以下に主文及び理由を示します。


 次は上告人らがテレビ朝日、環境総合研究所に出していた残りの上告内容(上告受理申し立て)についての決定です。以下に示します。

 平成14年(受)第846号

   決定

   当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり(略)
   
   上記当事者間の東京高等裁判所平成13年(ネ)第3301号謝罪広告等
   請求事件について、同裁判所が平成14年2月20日に言い渡した判決に
   対し、申立人らから上告受理の申立てがあった。よって、当裁判所は、次
   の通り決定する。

   主文
   「1.本件のうち、申立人らの相手方全国朝日放送株式会社に対する請求
     に関する部分を上告審として受理し、その余の部分を上告審として受
     理しない。
    2.前項の受理する部分に関する申立ての理由中、4を除く部部分を排除
     する。
    3.第1項の受理しない部分に関する申立費用は申立人らの負担とする。」

   理由
   「申立ての理由によれば、本件のうち、申立人らの相手方全国朝日放送株
    式会社に対する請求に関する部分は、民訴法318条1項の事件に当たる
    が、その余の部分は、同項の事件に当たらない。また、受理する部分に関
    する申立ての理由中、4を除く部分は重要でないと認められる。
    よって、裁判官全員一致の意見で、主文の通り決定する」

◆註2)

  上記主文のなかで「その余の部分を上告審として受理しない。」と言うその余が環境総合研究所に相当します。この部分により環境総合研究所の勝訴が最終的に確定しました。

 また上記の理由における民訴法318条1項とは、法令の解釈に関する重要な事項を含むものであり、最高裁が判断することになるという意味になります。

 以上

<謝辞>

 1999年秋に本裁判が開始されてこの方、多くの方々にご心配をおかけしました。この最高裁決定(完全勝訴)でとりあえず私の気持ちが晴れました。

 この間、激励、支援を頂き心から感謝しております。皆様のご支援が私はじめ池田こみち、鷹取 敦が必死にがんばる大きな支えとなりました。

 今後とも米国から日本で唯一の「たたかうシンクタンク」と評価されてきた株式会社環境総合研究所をご支援下さい。環境総合研究所は、小さな民間研究所です。しかし、今後とも、おくすることなく誰も行わない、誰も行えない調査に邁進する所存です。