現地調査報告 San Diego Waste Management
サンディエゴ
循環型社会づくり@

青山貞一 武蔵工業大学環境情報学部
 
2007.12.9 転載禁

1.はじめに
   カリフォルニア州・サンディエゴの廃棄物資源管理の概要

 米国には何度も来ているが、今まで米国の廃棄物処理や廃棄物資源管理の現場に足を踏み入れることはなかった。米国は日本のように何でもかんでも燃やして埋めるという政策はとっていないことは知っていたが、かといってカリフォルニア州とはいえ、やはり米国は米国、世界的な大量生産、大量消費、大量廃棄の国、大部分の廃棄物はそのまま最終処分場に行っているのではないか、と推察していた。

 今回、はからずもカリフォルニア州サンディエゴ在住の天田芳穂さんのはからいで、はじめてその現場を見ることができた。 最初に、カリフォルニア州の廃棄物資源管理の概要を見ておこう。カリフォルニア州は、いうまでもなく、米国全州のなかで一番環境問題に熱心な州であり、いわゆるゼロ・ウエイスト政策を州政府が率先遂行していると聞いている。

カリフォルニア州統合廃棄物管理法

 カリフォルニア州では1989年に制定された州法(The California Integrated Waste Management Act)、Assembly Bill 939により、1995年から2000年の間に最低でも郡市町村毎に廃棄物の50%以上を資源に転換(Divert)することが義務づけられている。

 その方法は、いわゆる3R、すなわち@発生抑制、A再利用、B再資源化のいずれかによってである。これらの目的を達成するため、州、市町村は廃棄物の資源化を民間企業などとパートナーを組み実施する。そして現在、すべての市町村や郡は、2006年を初年度として新たな削減目標を義務づけられている。

ゼロ・ウエイスト・カリフォルニア(Zero Waste California)

 カリフォルニア州では、州内の各市町村、郡などの基礎自治体に対し、ゼロ・ウエイストを理念とし、それを具体化するために廃棄物の発生抑制、3Rなどの政策を推奨している。同時に上述のカリフォルニア州統合廃棄物管理法を州法として制定し、それを根拠に具体的な廃棄物削減目標を示すなど、世界的に見ても先進的な環境政策を実践している。

 ※カリフォルニア州のゼロウエイスト

 以下はゼロ・ウエイストの理念の説明に出てくるセオダー・ルーズベルト元大統領の言葉である。これは1907年12月3日の第7回目の年次報告のなかで話されたもの。

"To waste, to destroy our natural resources, to skin and exhaust the land instead of using it so as to increase its usefulness, will result in undermining in the days of our children the very prosperity which we ought by right to hand down to them amplified and developed."--Theodore Roosevelt, Seventh Annual Message, December 3, 1907

 カリフォルニア州のゼロ・ウエイスト政策では、学校生活に着目し、たとえばゼロ・ウエイスト・ランチとして食べ残しをなくし、不要な食べ物は買わず、食べ残しは堆肥化することを推奨している。

 カリフォルニア州では、日本で言うところのスーパーなどでくれるレジ袋についても、すでにサンフランシスコ市で有料化しているなど、先進的な試みが次々に行われている。サンディエゴ市でも、多くの市民が段ボール箱をスーパーでもらい、それにまとめ買いしたものを入れ車で自宅に運んでいるとのことだ。今回現地でお世話になった天田さん宅でも、奥様やお嬢様はレジ袋はとっくにもらっていないとのこと。

 以下はサンディエゴに出発する前日に掲載された記事。
 
サンフランシスコ市、レジ袋配布を禁止
 ビデニュース、2007年11月21日

 アメリカのサンフランシスコ市は、20日、環境への配慮から、スーパーなどを対象に、ビニール製のレジ袋の配布を禁止する条例を全米で初めて施行しました。

 条例では、1年間の年商が日本円にしておよそ2億2000万円以上の食料品や日用雑貨などを扱う大型店舗が対象で、今後はトウモロコシなど土に戻すことのできる素材の買い物袋や再生紙を使った袋しか配布できなくなります。

 違反した場合は、初回が100ドル、2回目が200ドルと店側に罰金が課せられるということです。

 条例施行初日の20日には、店側が紙袋を配布したり持参した布製の袋などに商品を詰める市民の姿が見られました。サンフランシスコ市の隣のオークランド市でも、来年からレジ袋配布が禁止されるなど、追随の動きが広がっています。

 以下はサンフランシスコ市議会で条例が可決されたときのサンフランシスコ・クロニクルの記事。

全米初 サンフランシスコ市が買い物用ポリ袋の使用禁止
 サンフランシスコ・クロニクル 2007年3月28日

 サンフランシスコ市は、ポリエチレンやポリプロピレンなど石油を原料とする買い物用レジ袋(ポリ袋)を小売店が使用することを禁止する全米初となる法律を可決した。大手スーパーマーケットで半年後、大手薬局では1年後をメドに実施する。法案を提出したロス・ミルカリミ氏は、「世界中の注目に驚いている。他の州や市も追随して欲しい」と反響の大きさにびっくりした様子。

 一方、食料品協会では、小売店と買い物客の双方がコストを負担せざるを得なくなるとして法案可決に失望している。サンフランシスコ市では2年前、ポリ袋を使うことに対する課税を検討したことがある。同協会は課税案に賛成し、760万枚の袋を減らせると試算していた。だが、算定基準があいまいだとして市側に却下された経緯がある。

 なお、小規模な小売店は今回の法律の対象とならない。対象外の店舗は、サンフランシスコ市でおよそ9万5000店になるという。


サンディエゴ行政協議会

 なお、サンディエゴ市を含むサンディエゴ郡の市町村に共通に係わる問題(事務)は、サンディエゴ行政協議会、San Diego Association of Governments (SANDAG)が対応している。環境に配慮した廃棄物資源管理も同協議会の主要なテーマとなっている。そこでは、廃棄物の発生抑制と再資源化により最終的に埋め立てるゴミを減らすことで、よりよい環境、安全な公衆衛生そして健全な財政に資することを目的としている。

サンディエゴ市の廃棄物資源管理

 サンディエゴ市でも他の米国の都市と同様、原則として焼却処理はなく廃棄物の多くは、米国流の埋め立て処理が主流である。もちろん、米国では地域によっては焼却処理が行われているが、広大な土地がある米国では焼却後の灰を埋め立てるのではなく、リユース、リサイクル困難物の直接埋め立てが行われている。

 ※サンディエゴ市資源管理諮問委員会の市民参加に関する声明

 ※サンディエゴ市資源管理諮問委員会のメンバーリスト
 
 サンディエゴ市で廃棄物資源管理をしているのはサンディエゴ市環境サービス部である。環境サービス部は、@収集運搬、A廃棄物の資源化処理・処分、Bエネルギー、持続可能性・環境保全の3つに分かれている。

市環境サービス部のロゴ

 サンディエゴ市の家庭から出るゴミは、おおよそ次のように処理される。

(1)一週間一度回収に来るいわゆる生ゴミ →
    上記の最終処分場に併設された施設で堆肥化

(2)生ゴミ以外の有機物(枯れ木、枯れ葉、間伐材など) → 
    上記の最終処分場に併設された施設で堆肥化

(3)びんかん・プラスチック容器類 →
    市が定期改回収・運搬しリユースリサイクル

(4)段ボール、新聞紙などの紙類
    市が定期回収し、原則リサイクル

市のリサイクル・リユースプログラムのロゴ

(5)重金属類、各種乾電池、蛍光灯、廃油などの有害物質 
    有害物質処理専門部門へ

(6)アスベスト及び鉛の管理

  米国ではどこでも重金属、とくに鉛問題が重視されている。

鉛問題を警鐘する市のロゴ

(7)家電、自動車など粗大物 →
    リサイクル・リユースセンターへ

自動車関連リサイクルロゴ  

(8)日本のグリー購入に類する調達プログラム

環境に優しい製品購入のロゴ

(9)省エネ・小資源推進のためのプログラム

省エネ、資源管理のためのロゴ

(10)その他、リユース・リサイクル困難物 → 
   上記以外のリサイクル困難物は最終処分場に直接埋め立て

ミラマー最終処分場関連ロゴ

   本ブログは、主に(10)に関するもの。

(11)持続可能なまちづくり関連プログラム

持続可能性に関するロゴ  
 
 出典:Source: City of San Diego

2.サンディエゴ市の廃棄物処理・資源管理の現場へ

 サンディエゴ市の最終処分場は、サンディエゴ市の中心市街地とホッジ湖がある北部の中間にある(以下のグーグル地図参照)。最終処分場の北には、海軍基地があった。この処分場は巨大、広大で羽田飛行場がいくつも入るほどである。


サンディエゴ市のミラマー最終処分場


サンディエゴ市最終処分場の北にある海兵隊の飛行場
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


グーグルマップで見たミラマー処分場。
敷地の一部に海兵隊の大きな飛行基地がある


 米国到着の翌日の2007年11月23日、以前から聞いていたサンディエゴ市の廃棄物処理、処分の現場に行く。23日、朝食後、天田さんが庭木や葉の不要物を乗用車の後ろに乗せ、スコップをもって二人でご自宅から州際道路をサンディエゴの最終処分場に向けて進む。この広大な最終処分場は、ミラマーという地域にある。


なにしろ広大 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 ※サンディエゴ市のミラマー処分場を紹介するビデオ(英文)

 見るからに広大な廃棄物処理処分場施設の入り口でサンディエゴ市環境サービス部廃棄物処分課の女性職員のチェックを受ける。

 チェックは、市民であるかどうかのチェック、市民と市民以外で各種料金が異なる。また市民か企業・事業者であるかによっても料金が湖となる。さらに持ち込み量が小口なのか大口なのかによっても料金が湖となる。

 私たちの場合、市民で小口、しかも樹木などの有機物の持ち込みである。

 天田さんがドライバーライセンスを見せる。次に何を持参したかをチェックする。これは持参物の種類により料金が違うからである。庭木などの有機物をもってきたのか、その他、粗大ゴミや不要物、たとえば布団とか布とかをもってきたのかがチェックされる。


処分場への入り口チェックゲート 
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 庭木など、いわゆる生ゴミ以外の有機物を持参すると、下の写真にある伝票を切ってくれた。持参した有機物の代わりにバケツ一杯の堆肥(コンポスト)を市がくれることになる。


もらった伝票。これを係りに見せることでコンポストがもらえる
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 天田芳穂さんは庭木などの有機物を持参した。職員は、車を止め、いちいちそれを入れたプラスチックバケツを開けチェックしている。チェック後伝票を渡される。

 なお、ゴミなどの処分場への持ち込み処分料金を以下に示す。

 持ち込む自動車の種類、規模により、また@サンディエゴ市民であるか、A市内に企業・事業者があるか、Bサンディエゴ市以外の住民・企業・事業者により処分料金は大幅に異なっていることが分かる。またゴミではなく庭木などコンポスト化が可能な有機物の場合、市民の持ち込み料金は無料であることも分かる。天田さんの場合、これに相当する。

つづく

サンディエゴ市ミラマー最終処分場での処分料金
ゴミ持込自動車の種類:Cars, pickup trucks and small trailers
自動車の種類 持ち込み物の種類
乗用車 一般廃棄物 Clean Yard Waste/Wood
*市民、市内居住者 $5 Free
市内にある企業・事業者 $6 $3
市外居住者あるいは企業・事業者 $19 $10
バン・ワンボックス
*市民、市内居住者 $12 Free
市内にある企業・事業者 $16 $6
市外居住者あるいは企業・事業者 $33 $20
トレーラー (5'x 8'x 3')
*市民、市内居住者 $12 Free
市内にある企業・事業者 $16 $6
市外居住者あるいは企業・事業者 $38 $25
*With proper proof of residency and self-hauled by resident.
Pickups or trailers modified to make them other than 5'x 8'x 3' or larger vehicles will be charged the Standard Disposal Fee.

サンディエゴ市ミラマー最終処分場における標準以上の自動車の場合のゴミ持込料金(ゴミ1トン当たり)
Standard Disposal Fees per Ton
 Vehicles larger than standard cars, pickup trucks and small trailers, or modified vehicles
Weighted Loads 持ち込み物の種類
市内居住者  一般廃棄物 Clean Yard Waste/Wood
2トン以下 $35 Free
2トン超え $43 Free
企業・事業者
市内ゴミ $43 $22
市外ゴミ $49 $25