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関連報道(主なもののみ)


読売新聞(科学欄) 1997/1/22 朝刊

変化予測し対策を
データ生かす体制が急務


 若狭湾から富山湾岸周辺海域の潮流について解明に挑んだのは、環境影響評価の仕事に携わる環境総合研究所(東京・五反田。青山貞一所長)。大気や水質の汚染予測にコンピュータ・シミュレーションを活用してきた経験を生かし、10日から、手弁当でna号事故の影響予測に着手した。

 汚染が深刻な若狭湾から能登半島にかけての東西南北250kmを6キロ四方の区画に分け、入り組んだ海岸線や海洋地形のデータを入力。油の漂流する速度や方向を大きく左右する風は、過去の観測記録から、現在に季節に最も多い北西、北東風のデータを加え、海流の動きを慎重に考慮しながら、潮流の変化を刻一刻計算した。

 その結果、潮流は、周期的に変動しているが、沿岸部では恒に、若狭湾から能登半島に向かって海岸線沿いにゆっくり流れることが分かった(図2)。この流れの途中で、沿岸から沖にオイルフェンスを張っておけば、被害を軽減できたかも知れない。

 さらに潮流は、能登半島先端部で早さを増して珠洲岬を巻き込む形で富山湾へと南下。湾内に入ると渦を巻いてとどまり、一部が海岸線に沿って新潟方向に向かうため、拡大を防ぐには、湾内への流入をできるだけ防ぐのがカギとなる。

 沖合いの潮流は意外な動きを見せる。潮の干満現象が大きく影響し、風向きにお構いなく東西にふれたり、沖に向かう。流出現場の西側の鳥取、島根県側にも油が漂着するなどして、広範囲に被害が拡大したのは、これが原因らしい。

 青山所長は「事故にすぐに対応できるよう、日本海各地の地形データをあらかじめパソコンに入力しておこうと思う」と、今後の油汚染事故に備え、一層、体制を充実させる考えだ。....


北陸中日新聞(社会面) 1997/1/22 朝刊

油隗運ぶ潮流"電脳"表示
東京の民間環境コンサルタント インターネットで公開
湾岸戦争でも予測に成果


 日本海に広がる漂流油の予測に役立てて−。

 ロシア船籍タンカー「ナホトカ」の沈没、重油流出事故の被害が深刻化する中、1991年の湾岸戦争時にペルシャ湾内で油の動きを予測した東京の民間コンサルタント会社が、北陸三県沿岸の潮流をインターネットのホームページで公開、注目を集めている。

 公開しているのは、環境コンサルタントの環境総合研究所(東京都品川区、青山貞一所長)。同研究所は海流、潮の満干、風を三大要素に、重油を運ぶ潮流を把握。インターネット上の掲示板「メーリングリスト」を利用し、各地の専門家からボランティア的に提供される気象や漂着など最新情報を加味、17日から公開をはじめた。

 これまで瀬戸内海や大阪湾、ペルシャ湾の環境アセスメント(影響評価)を手がけた予測システムを活用、実験を重ねた結果、潮の方向と速度の変化のパターンを描き出すことに成功した。

 ホームページでは、潮流の変化を4時間半毎に示した6枚の図を表示。冬の歩苦戦季節風下で、矢印の向きで潮の流れを、長さで早さを表した。

 能登半島の西側の沿岸部では海岸線に沿って北上する流れがほぼ一定な反面、富山湾内では地形上の関係から時計まわりに渦を巻、中には風向きと逆方向に動く潮もあるなど複雑なパターンを示す。これを元に計算すれば、重油の予測の参考になる、という。

 急激な風向きの変化や大しけなどには対応しきれないなど、一定の限界はあるが、今後潮流図の範囲を新潟県沖にまで広げたい考え。全くのボランティアで3人の同所スタッフとともに取り組む青山所長は「専門家や関係者に参考データとして利用してほしい」と話している。

 アドレスは、 http://www.bekkoame.ne.jp/~t-aoyama


朝日新聞(中部版社会面) 1997/2/6 朝刊

タンカー原油漂流 方向・速度を予測
研究所、ネット上で公開


 福井、石川両県などの日本海沿岸地域に深刻な影響を与えている、タンカー・ナホトカからの重油流出が、どのように漂流するかを科学的に予測したシミュレーション画像を、「環境総合研究所」(東京都品川区)がインタネット上で公開している。

 気象条件などのデータを使って算出し、大しけのあった1月22日には、この情報が多方面で活用された。現在は気象に大きな変化がないため、予測を休止しているが、今後急変があれば再開するという。

 シミュレーションは、外洋の海流や潮流、漂流物への風の影響を総合的に考慮し、各地から提供される海洋地形や気象、漂着データをもとに計算する。予測される重油の 漂流方向や流速は、地図上に矢印で表示する。

 最後のシミュレーションは、1月22日の予測図(図参)はその一部。シミュレーションは同月13日から始め、インターネットでの公開は16日から始めた。22日前後は、1日に最大3000件近いアクセスがあったという。

 青山貞一所長は「海上保安庁や漁業関係者が考慮した海流や潮流だけでなく、風の影響が大きいことが分かった。心配していた富山湾への流入がなかったことは、その現れだ」と話す。

 同研究所は自治体などからの注文を受け、飛行場や道路の騒音、大気汚染の予測をするのが主な業務。湾岸戦争時も、ペルシャ湾で油漂流をシミュレーションして一般公開したという。今回は日本海での重油漂流予測は、青山所長を含め4人の所員が、6台のコンピュータを使って算出した。

 青山所長は「今回は石川、富山両県警がインターネットで提供している連日の観測データなどが非常に役になった。今後も、抜き取りが難航している船首部分に残った重油が流出した場合などには速報を公開するので、活用してほしい」と話している。

 ホームページアドレスは、 http://www.bekkoame.ne.jp/~t-aoyama


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