環境総合研究所 自主調査研究 30年間の軌跡 市民参加の地域環境管理/ 環境基本計画策定支援 Citizen Participatory Environmental Management Plan Support 概要、論考、論文、報告、記事、文献 主担当:池田こみち 掲載月日:2017年6月10日 独立系メディア E−wave Tokyo 無断転載禁 |
<概要> 環境総合研究所(ERI)では、昭和61年に研究所を設立する以前から、地域環境管理計画の策定を手がけてきました。これまでお手伝いした自治体の数は20余にのぼります。特に、計画の実効性・実行性を高めるという観点から、ERIは市民・事業者にもっとも近い行政である基礎自治体での計画策定を重視してきました。 自治体の計画策定基礎調査や計画立案の業務と平行して、(旧)環境庁企画調整局環境計画課の委託により、自治体向けの「地域環境計画策定・推進のための手引き書」を作成するための『地域環境計画総合検討調査』を3年にわたって担当し、全国の自治体の環境計画の評価を行い各方面からの課題を新しい計画づくりに反映させてきました。 従来の環境行政は、著しい公害や環境汚染に対応するため、発生源に対する規制・指導を中心とする行政を推進してきましたが、環境問題が産業公害から生活公害へ、優れた自然の保護から身近な自然の保護へ、環境汚染の低減だけでなく快適環境の創造へ、地域環境から地球環境への配慮へと次第に広がり、それに伴って、汚染源も特定の事業者によるものだけでなく、市民一人一人が加害者であり被害者であるという時代に入り、行政のあり方も根本的な転換を迫られることとなりました。まさに、事後対応から未然防止へ、環境資源を適切に管理して行くための環境基本計画や環境管理計画が求められる時代となったのです。 環境計画の策定は、そうした時代の要請を受けて、従来の警察官的行政を大きく見直し、地域環境の現状を把握し、将来を予測した上で、課題を抽出し、ビジョン・目標を描き、その地域にあった適切な処方箋を示すことで、設定した目標を市民と一緒に達成していくための環境行政の拠り所となるものです。 ERIが手がけた基礎自治体の環境計画の多くは、基礎調査・市民意向調査・計画策定まで最低2年の時間をかけて、行政横断的な情報収集と解析に基づき、市民の参加も得ながら、計画立案作業を行ってきました。計画倒れや計画書を作成したらそれで終わりとならないように、計画の進捗管理や事後評価も重視し、計画の実効性を高めることに配慮しました。 作成:池田こみち 最初に手がけたのは、基礎自治体で全国最初の総合的環境管理計画となった『越谷市環境管理計画』、政令指定都市で最初の環境基本条例、計画、計画アセス制度となった『川崎市環境基本条例』、『川崎市環境基本計画』、『川崎市環境調査制度』など、全国に先鞭をつけたものも数多くあります。 行政のための計画だけでなく、市民や事業者が環境計画を推進し目標を達成するための指針となる「環境配慮指針」の策定にも力を入れました。 また、行政だけでなく消費者が応分の役割を果たすための「環境にやさしい消費行動」の調査研究(東京都生活文化局)など、大量生産・大量消費の構造にメスを入れる調査や、LCA(Life-Cycle Assessment)にかかわる環境解析などにおいても先鞭をつけています。 執筆担当:池田こみち 以下は青山貞一の追記です。 私たち環境総合研究所では、これらの地域環境管理計画や環境基本計画とともに、土地利用改変や大規模開発事業に対して計画段階から環境配慮を組み込ませる、いわば「計画アセスメント」について、1980年代から自主研究し、その後環境庁企画調整局からの委託事業で「計画段階の環境影響評価」の理念と手法についての調査研究をしてきました。 すなわち、いくら地域環境管理計画や環境基本計画で地域の環境保全についての目標、方針が示されてても、その地域で大きな土地利用の改変や大規模な開発計画が実施されるときに、計画内容が単なるお題目とならないような配慮を制度、手続、実態の各面で考慮しなければなりません。 しかし、環境系の計画は、とかく計画策定後、財政的裏付け、また多くの場合、条例などの制度的担保がないものもあり、いわゆる「絵に描いた餅」となっているものも多いのです。 環境総合研究所では川崎市の環境基本計画にみられるように、計画目標を地域で実現するための配慮手続の条例化も支援してきました。 このように本来、地域環境管理や環境基本計画は、計画段階の環境配慮や環境影響評価と連動し、土地利用の改変や大規模開発に対する環境面からの誘導指針とすべきものです。しかし、実態を見ると計画とアセスメントは連動せずお題目となっているものも多々あり、地域環境管理や環境基本計画とは別に、あるいは離れていわゆる環境影響評価が形式的に行われている場合が大部分です。 本来のあるべき姿としては、@地域環境管理や環境基本計画→A計画段階の環境影響評価(計画アセスメント)あるいは戦略的環境アセスメント→B実施段階の環境アセスメント(いわゆる実施アセスメント)が不可欠であると思われます。 以下はイメージです。 執筆担当:青山貞一 |
<関連する調査報告・計画書・論文・論考> ■速 報 中華民国 国家環境保護計画改訂会議に参加して 青山 貞一・池田こみち 環境総合研究所 掲載日:2004.8.17, 8.18 http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/aoyama-col250.html ■台湾で環境計画を考える 池田 こみち 掲載日:2004.8.17 http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/aoyama-col264.html
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◆関連報告書
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