北海道新聞 【道央版】
2004年3月7日朝刊


大都市並みのダイオキシン濃度
 室蘭の広域ごみ処理施設周辺


http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20040307&j=0047&k=200403078488
  2004/03/07 07:00

 【室蘭】
 室蘭市石川町の西いぶり廃棄物処理広域連合(室蘭など七市町村で構成)の最新鋭ごみ処理施設の風下にあたる地区のマツの葉に、風上の地区の十一倍の濃度でダイオキシンが含まれていたことが六日、地元の市民グループが環境会社に依頼して行った測定で分かった。風下地区のマツの葉のデータから大気中の濃度を推定すると東京など大都市並みの高濃度だった。

 調査は昨年十一月、大気中の有害物質をため込む性質のあるクロマツの葉を、施設の風下になることが多い室蘭市白鳥台・崎守地区の九地点と、風上の伊達市南黄金地区の六地点で採取した。採取地点は施設から一−二キロ離れている。

 環境総合研究所(東京)を通じカナダの専門機関で分析した。

 その結果、風上側はマツの葉一グラム当たりのダイオキシン濃度が〇・二九ピコグラム(一ピコグラムは一兆分の一グラム)だったのに対し、風下側は三・二ピコグラムに達した。

 詳細分析で、風下は焼却で生じたダイオキシンが多いとされた。

 また、マツの葉のデータから大気一立方メートル中のダイオキシン濃度を推定すると〇・三ピコグラム程度だった。

 国の環境基準(大気一立方メートル中〇・六ピコグラム)は下回ったが、「首都圏や関西都市圏なみの極めて高い濃度」(環境総合研究所)という。

 生活クラブ生協北海道が一九九九年に札幌など七市町で行ったマツの葉の調査では、一グラム当たりの濃度は〇・二九−一・〇四ピコグラムだった。

 ダイオキシンに詳しい摂南大学(大阪府)の宮田秀明教授(環境科学)は「風下と風上でこれだけ差が出るのは施設の影響と考えるのが妥当。施設が(ダイオキシンをほとんど出さないという)公約通りならこうしたデータは出ないはず」と話している。

 この施設は二〇〇二年の国のダイオキシン規制強化に合わせて昨年四月に本格稼働。想定外の故障が相次いだため、二月中旬から大規模改修に入っている。

 西いぶり広域連合・真柄淳二事務局長は「大気などのモニタリング調査では環境基準が守られている。マツの葉のデータは見ていないので、コメントすることはない」としている。