1.サンプリングの時期
全国一斉調査は9月〜11月末日となりますが、個別調査、個別グループ調査につきましては、随時採取が可能です。詳しくはご連絡ください。
2.松の種類
原則として クロマツ(別名:雄松(オマツ))とします。その理由は、これまで摂南大学の宮田教授や環境庁などがクロマツを対象に分析を行っており、比較がしやすいことが挙げられます。また、1999年度の松葉調査も原則としてクロマツをベースにしました。アカマツはクロマツに比べて吸収量・蓄積量が半分程度であることが宮田研究室の研究で明らかになっています。
3 サンプリングの量
- 松葉100gが1検体となります。
- 松葉10gの目安:クロマツの場合、およそ60本を採取する。松葉は針葉2本で一組の葉となっています。 2本セットで60本ほどを採取するとおよそ10gになります。松葉には同じ木でも長いもの、短いものがありますが約60本がめやすとなります。郵便用の秤などを用いておよその目方を量っておきましょう。
松葉サンプルの例(その1:1検体合計100g以上)
(1)地域の平均的な濃度を知りたい場合
対象とする地域(市区町村など)から片寄りなく採取する必要があります。地区内をいくつかのブロックに区切り(東西南北あるいは町村境など)、各ブロックから数10gを採取します。
- 採取地点の住所を必ず控えておいて下さい。
- それぞれのブロックごとに採取した松葉を袋に入れて、地点番号と採取場所を明記してとりまとめ、ご送付頂きます。
- 右の図のように、区や町丁界で区切る方法とは別に、対象エリアを碁盤の目のように区切り、それぞれの升目のなかから松を採取するという方法もあります。
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- 詳しくはご相談ください。
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<平均値用の採取地点イメージ>
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松葉サンプルの例(その2:11検体分)
(2)特定の発生源の影響を知りたい場合
- 産業廃棄物焼却施設の影響を知りたい場合には焼却炉から半径200m程度までの範囲の松葉を採取して下さい。
- 地域の年間を通じての主要な風向(卓越風向)がわかる場合には、その方向の松葉を採取して下さい。
例:北北東の風が卓越している場合、風下の南南西と北北東から採取。
- 主風向がわからない場合には、発生源
を中心に東西南北の各方向から平均的
に松葉を採取して下さい。
- 煙突が高い特定の一般廃棄物焼却施設の影響を特定の範囲の松葉で把握するのは、かなり難しいです。煙突が高くなればそれだけ排ガスも拡散されますので、複数の発生源からの影響が複合的・累積的に松葉に蓄積されることに
なるからです。
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<特定地点の採取イメージ>
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4 サンプリングの仕方
- 松は毎年4月〜5月に花を付け、その後5月〜6月に新芽が伸びてきます。そのため、8月〜10月の夏場の松には新しい葉と古い葉が両方ついています。
- サンプリングにあたっては、最低6ヶ月以上地域の大気を呼吸してきた古い葉を採取しなければなりません。枝の先端は新しい葉が密生していますので、できるだけ枝の下の方から葉を採取してください。
- 葉の付き方は木によって違いますので枝の先端からどのくらい下に古い葉がついているかは一概に言えません。古い葉は新しい葉に比べて葉の色が黒っぽい濃い緑色で、堅い葉ですのでそれを目安にしてください。松ぼっくりができている松の場合には、そこから下が古い松葉です。4ヶ月未満では呼吸量が足りませんので、できるだけ1年以上経過した松葉を採取して下さい。
- 摂南大学宮田秀明教授によれば、4ヶ月以上たっていれば、葉に取り込まれるダイオキシン濃度は比較的安定するということですので、新芽をとらないように気を付ければ大丈夫でしょう。
<注意事項>
- お家の方が大切にしている盆栽の松などはやめましょう。
- 植木屋さんが手入れをしているような松の場合には、葉の数が少ないので気をつけましょう。
- 公園など公共の場の松からとる場合には、一応、管理者に説明してからの方がよいでしょう。
- 学校の校庭などにある松の場合も、勝手にとらずに学校にことわってからにしましょう。
- よそのお宅の庭の松からとらせていただく場合には、一応、おことわりしてからにしましょう。
5 事務局に送付するまでの取り扱い
- 採取後は、あまりさわったり、放置したり、洗ったりせず、すみやかに袋に入れて下さい。
- 乾燥させたり、湿気の多いところにおいてカビがはえたりしないよう冷暗所あるいは冷蔵庫に保管し、採取後できるだけ早くERIに郵送して下さい。
- ポリエチレンの袋に入れて、下記事項を所定の用紙に明記の上、事務局に持参あるいは郵送し下さい。
<記載する事項>
- 採取者名及び住所・電話番号等連絡先
(代表者がとりまとめている場合には、個票への記載は番号のみでもかまいません)
- 採取月日
- 採取場所(住所:地図上に記せるように)
- 松の種類(わかる場合)
- 特記事項(周辺に廃棄物焼却施設あるいは処分場があるかどうか。ある場合にはそれとの位置関係などを明記する)
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松葉のブレンドの様子(事務局にて) |
参考資料
●サンプルは原則としてクロマツとします。
<クロマツ:Japanese Black Pine 別名:雄松(オマツ)>
葉 : |
針形でかたく、冬芽は白っぽく閉じ、長さ10〜15センチ内外、先端は鋭くとがり、2本ずつ束生して密につき、枝先の方を向く。基部は褐色の苞葉に覆われる。当年生の枝は無毛で黄褐色。 |
樹 皮: |
灰色、不揃いな枝状にひび割れする。 |
花 : |
4,5月ごろ開花。雌雄同株、雄球花は、帯黄色、雌球花は紫赤色、当年生枝の基部と頂端に別々につく。 |
果 実: |
卵形の球果、長さ7センチ足らず。紫色または緑色で熟して灰褐色となる。 |
分 布: |
日本(本州〜九州)、朝鮮南部。北海道にも分布しています。 |
生育地: |
沿岸域に自生し、耐潮性、耐乾性が強く、海岸砂防林として多く利用される。 |
変 種: |
葉が黄色っぽいオウゴンショウやジャノメクロマツなど斑入り品種や変わり葉の品種もある。 |
<アカマツ:Japanese Red Pine 別名:雌松(メマツ)>
葉 : |
針形で細く、長さ7〜10センチ、2本ずつ束生、鮮やかな緑色。基部は褐色の膜状の鞘に覆われる。枝端の方を向いている。当年生の枝は無毛で緑色。葉枝ともクロマツに比べて柔らかい。 |
樹 皮: |
帯赤褐色のち灰赤色となり、年とともに不規則な板状にひび割れする。 |
花 : |
雌雄同株、雄球花は黄褐色、雌球花は赤色、当年生枝の基部と先端に別々につき晩春に開く。 |
果 実: |
円錐形の球果、淡い褐色、長さ5センチ足らず。2年目に熟する。 |
分 布: |
日本(本州〜九州)、朝鮮、中国東北部 |
生育地: |
海岸から山地まで広く分布。 |
<エゾマツ:Yezo Spruce>
葉 : |
針形で細く、扁平、長さは1.5センチばかり、表面は暗緑色。裏面に2本の広い白線があり、枝の上面では枝先の方に傾き、下側では広がってつく。当年生枝は無毛で淡色。 |
樹 皮: |
灰褐色。深く割れて薄くはがれる。 |
花 : |
雌雄同株、雄球花は赤みを帯び、雌球花は紫赤色。春に開く。 |
果 実: |
円柱形の球果で下垂し、赤褐色、大きいものは長さ7.5センチほどになる。 |
分 布: |
アジア北東部、日本北・中部。 |
生育地: |
急な斜面や乾燥平原上の亜高山帯林。 |
<五葉松:Japanese White Pine 別名:姫小松>
葉 : |
針形でわずかにねじれ、長さ2〜6センチ、ややねじれて5本ずつ束生し、外面は緑色又は青緑色、内面は青白色(気孔線が白く目立つ)。断面は三角形。当年生の枝は緑色を帯びる。 |
樹 皮: |
灰色、うろこ状、深く裂ける。 |
花 : |
雄球花は紫赤色で開いて黄色となり、雌球花は赤色、当年生枝の基部と頂端に別々につき、初夏に開く(5〜6月ごろ)。 |
果 実: |
卵形の球果、長さ7センチ内外。緑色で熟して開けば赤褐色となり、種鱗は革質。 |
分 布: |
日本(北海道南部〜九州) |
生育地: |
山地、石の多い土地。 |
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