2002年2月8日朝日新聞尾張近郊版

春日井の産廃計画 汚染調査実施求める
ダイオキシン類 松の葉で分析
 「既に基準超過状態」

 ダイオキシン類による大気汚染を松の葉で調べる手法で、名古屋市守山区の住民らが昨年取り組んだ調査結果がまとまった。住民らは、庄内川を挟んで同区に隣接する春日井市松河戸町で計画されている産廃中間処理施設の建設に反対しているグループで、名古屋市に7日、「現状でも環境基準を超えているのは確実」として詳細な調査の実施などを求めた。

 松葉は脂肪分が多く、脂肪に溶けやすいダイオキシン類が蓄積しやすいとされる。全国に分布するクロマツを利用した調査が、市民活動として広がっている。

 「産廃焼却施設建設をやめさせる守山の会」が、施設の建設予定地から1キロ以内の範囲で13地点の松葉を採集。環境総合研究所(東京都品川区)を通じてカナダの調査会社で分析した。

 検出された松葉1グラム当たりのダイオキシン類の量は約5・72ピコグラムピコは1兆分の1)。大気中の濃度に換算すると1立方メートル当たり約0・57ピコグラムで、環境基準の0・6ピコグラムに迫る。さらに、分類上はダイオキシン類に入る「コプラナーPCB(ポリ塩化ビフェニール)」が、この10〜30%の割合で加わるとされ、合計すると汚染は現状でも基準を上回るという。

 グループの大島良満代表は「今でも環境基準を超えているのは確実。このうえ、施設の建設は認められない」と話し、市が詳しい汚染調査を実施することや、施設の許認可権限のある県に対し、市として住民意見の反映を積極的に働きかけるよう求めた。

(2/8尾張近郊版)