コラム 2004年 元旦に思う 日本外交が目指すべき モデルとしての「小日本主義」 青山 貞一 その1へ戻る |
◆日本外交が目指すべき「小日本主義」 ひるがえって、オーストリアと日本はともに、第二次世界大戦前まで、対外膨張主義を進めてきた国家である。その結果、直接、間接的に独裁的かつ軍国主義な国家を生みだした。 オーストリアは過去の痛ましい経験を石に刻むなかで、スイス同様、「永世中立国」化を憲法で宣言した。国民はまさに国際紛争の解決に武力を行使しないことを国内外に誓っているのである。 一方、日本はもとより何ら正当性のない米英のイラク戦争を支持したにとどまらず、五〇億ドルに及ぶ「復興資金」の拠出に合意した。さらにイラク特別措置法を制定するなかで戦争状態が終結しないイラクに自衛隊を派遣たのである。 9.11以降、あれよあれよのうちに、日本は「大日本主義」の道を歩み始めた。 政府は詭弁の限りをつくして正当化しようとしている。が、誰がどう見ても、憲法第九条に抵触することは明らかである。 今の日本が経済大国でるなら、あればこそ、日本にできることは数々あるはずである。 湾岸戦争の「トラウマ」が再三もちだされるが、トラウマをことさら喧伝したのは誰であろうか。 日本が湾岸特別税を戦争終結後永年にわたり黙って払い続けたことこそ特筆すべきではないのか。日本国民がトラウマとしてもつべきは近隣アジア諸国への侵略による悲劇である。 私は、日本は憲法第九条に象徴される「小日本本主義」を明確に堅持すべきだと思う。いつの世にも、「スモールはビューティフル」なのである。同時に、欧米諸国だけでなく、近隣アジア諸国と政治、経済を含め友好的な関係を樹立する外交を展開するなかにこそ、その持続性があると考えている。 ここ数年、私たちが実感したことは、ことさら危機を煽るブッシュ政権や日本政府が結果的にさまざまな危機、リスクを世界に、日本にもたらしてきたことである。 たまたま日本とオーストリアの国旗は白と赤の二色である。 私はつねづね、日本は欧州の小国オーストリアの永世中立外交にこそ、多くを見習うべきであると思っている。 |